こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した球状星団「M92(Messier 92)」の中心付近。


ヘルクレス座の方向、地球から約2万7000光年先にあります。まばゆい星々の密集した姿に美しさを感じます。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した球状星団「M92(Messier 92)」(Credit: ESA/Hubble & NASA Acknowledgement: Gilles Chapdelaine)】

球状星団は、数万から数百万個の星々が互いの重力によって球状に密集している天体です。天の川銀河には約150個の球状星団が存在しますが、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、M92はその中でも特に明るいものの一つとして知られています。


宇宙の年齢に匹敵するほど古い星々?

ドイツの天文学者Johann Elert Bodeが1777年に発見したM92は、非常に星が密集した構造をしており、全体で約33万個もの恒星が含まれています。見かけの明るさは6.3等で、夜空が十分に暗い良好な条件であれば、肉眼で観測することも可能です。


球状星団に含まれる星々の成分を調べることで、天文学者はその星団がいつ頃誕生したのかを推定することができます。M92を構成する主な元素は水素とヘリウムであり、それ以外の元素の痕跡はごくわずかしかありません。天文学の分野では水素とヘリウムよりも重い元素をまとめて「金属」と呼びますが、M92はこの金属量が非常に少ないグループに分類されます。


星を形作るガスの中に重い元素が少ないということは、その星々が誕生したのは、宇宙に水素とヘリウム以外の元素がほとんど存在しなかった初期の時代であることを意味します。このことから、M92は天の川銀河に存在する星団の中でも最古の部類に入り、その年齢は宇宙そのものの年齢に匹敵するほど古いのではないかと考えられています。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡のアーカイブデータから隠れた名作を探し出す画像処理コンテスト「Hubble's Hidden Treasures」に応募されたGilles Chapdelaineさんの作品をもとに、HSTの「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」で取得した可視光線と近赤外線のデータを使って作成され、ESA/Hubbleから2014年12月8日付で公開されていたもので、NASA(アメリカ航空宇宙局)のHST公式Xアカウントが2026年3月11日に改めて紹介しています。



 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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