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保育園児5人の裸の写真を撮影・保存したとして、性的姿態等撮影や児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた30代男性の初公判が2月20日、京都地裁で開かれた。検察側は拘禁刑1年2カ月を求刑した。

被告人は事件当時、保育士として勤務。被害児童はいずれも勤務先の園児だった。保護者から信頼されていた被告人はなぜ犯行に至ってしまったのか。法廷では、犯行の動機や背景が問われた。(裁判ライター・普通)

●特定の園児を狙った犯行

保釈中の被告人はスーツ姿で出廷。短髪で眼鏡をかけ、終始小さな声で応答した。

起訴状によると、被告人は昨年7月と8月、勤務していた保育園内で女児ら5人(うち1人は2回)を撮影し、裸の姿を保存したとされる。被告人はいずれの事実も認めた。

検察側の冒頭陳述などによると、被告人は専門学校卒業後、そのまま現場となった保育園に就職。10年ほど勤務したのち、被害園児の1人であるAさんが所属するクラスの担任となった。

捜査段階の供述では、Aさんが自分を慕っていたことから「全裸の映像を手に入れたい」と考え、犯行に及んだとされる。盗撮はプールでシャワーを浴びる園児を見守る際におこなわれ、Aさんを撮影する過程で他の4人も映り込んだという。

●母親「衝動的という理由じゃ足りませんか?」

弁護人は、被告人が被害園児や勤務先に宛てた謝罪文を証拠請求した。

母親が情状証人として出廷した。事件当時は被告人と同居しており、年齢の近い交際女性がいることも知っていたということもあり、園児に対する犯行については、心底驚いたようだ。

被害者側は弁償を拒否しているが、弁償金を用意するため、被告人の保釈保証金は周囲から借り入れたという。今後は被告人に精神科を受診させつつ、携帯電話の追跡機能を入れるなどして生活を見守っていくとした。

一方、検察官や裁判官から犯行動機について問われると「衝動的になったと聞いた」と答えるにとどまった。衝動の原因を確認したかと問われた際には「衝動的という理由じゃ足りませんか?」と逆に聞き返す場面もあった。

●憧れの職業を失うことになりそう

弁護人からの質問に対して、被告人は現在も年齢の近い交際相手がいることを明かし、「園児を性的対象と見ていない」と主張した。

弁護人:どうして撮影をしたのですか?
被告人:​​Aさんが自分のことを好きでいてくれて、ちょっと気持ちが間違った方向にいってしまい。

弁護人:保育士なら、園児から好きと言われることもありそうだが、他の子を撮影したいと思ったことは?
被告人:ないです。

Aさん個人に特別な感情を抱いていたと説明する一方で、改めて理由を問われると「自覚できていない小児性愛があったのかな…」と述べ、動機を明確に整理できていないようであった。

被告人は勤務先を退職しただけでなく、児童福祉法に基づき保育士資格の剥奪も予定されている。

保育士は、自身が園児の際から憧れていた職業だったという。その職業を失うことに「頑張った自分も裏切ることになって…」と悔しさをにじませた。

●動画を見返した被告人は・・・

裁判官からも「(好きと言われても)裸を撮ることには直結せず、間がすっ飛んでると思うけど」との指摘があった。検察官は、性的関心の有無について問いただした。

検察官:児童のことを性的には見ていなかったんですか?
被告人:見てなかったと思います。

検察官:撮影した動画を見て、何か感情は抱かなかったのですか?
被告人:はい…見返して…した。

より一層声が小さくなって、詳細は聞き取れなかった。被告人の反省について質問が移る。

検察官:あなたは児童5名とその保護者にそれぞれ謝罪文を作っていますが、ほぼ同じような構成ですが、どう作ったんですか?
被告人:どのように…文章を考えるのが苦手なので、まず申し訳ない気持ちを伝えたく。

検察官:事件後あなたがつけてる日記では、示談金を受け取らない保護者らに「どうしてそうなったのか気になるが」とありますが、どうしてかわからない?
被告人:何名か受け取る話にはなっていたので…。

被害者らの心情を理解しようとしていないと印象付けようとする検察官。

これに対して、弁護人は、日記には、「どうしてそうなったのか気になるが、どのような結果になっても仕方がない。本当にごめんなさい」との記述があると補足し、被告人なりに事件に向き合っていると主張した。

●弁護人も「言語道断」と非難

検察側は、欲望を満たすために保育士という立場を利用した悪質な犯行であり、被害園児も5人に及ぶこと、園の信用も失墜させたことなどを指摘し、拘禁刑1年2カ月を求刑した。

弁護側は、犯行は「卑劣で言語道断」と非難しつつ、被告人の関心は幼児一般ではなく、当初から多数人の撮影を目的としたものでないなど、一般的な小児性愛者による犯行と比べるとやや軽減されるなどとして寛大な処分を求めた。

被告人は最終陳述で、園児や保護者、自身の家族、交際相手に謝罪の言葉を述べた。

性犯罪は、その当人の性的嗜好のほか、仕事上のストレスなど心的要因が挙げられることが多い。動機は明確に示されなかったが、今後は精神科の受診を予定しており、事件にどう向き合うかが、再犯防止のスタートになると感じた。

判決は後日言い渡される。