ついに「AIが人を雇うサイト」が出現。本当に給料が出るのか?
AIが人間を雇う時代が来た?
イーロン・マスクは「この先AIが高い生産性と効率を持ち、人間は『ユニバーサル・ハイ・インカム(雇用に関係なく得られる収入)』を得られるようになるため、貯蓄なんてする理由はない」と語っています。
でも最近、「人間がAIエージェントに雇われる」というウェブサイトが公開されました。AIがもっとパワーを持つ未来では、こっちのほうが現実になるかもしれません。
「AIに変わって仕事をしてくれる人、大募集」
それは「RentAHuman.ai」という名のサイトなのですが、開発したのは、暗号資産系ソフトウェアエンジニアのAlexander Liteplo氏。
先週末にひっそりと公開され、Liteplo氏が月曜日からプラットフォームの宣伝を始めたところ、登録者数が一気に増加。サイトによると、現在およそ7万人の人間が登録しているそうです。AIエージェントの代わりにタスクを実行し、ギグ単位で報酬が支払われる仕組みだそうです。
冗談?それとも本気?
まず最初の疑問は、これは本物?ってことです。AIが人間を使うようになる未来を描くただの皮肉なのか、本当にこの先、実用化していくものなのか…。
サイトには「ロボットにはあなたの身体が必要だ」などと書かれていて、どうやら皮肉的な冗談ではなさそう。掲載されている情報を見る限り、Liteplo氏はこのプラットフォームを本当に機能させるつもりで作っているようです。
Introducing https://t.co/iWBlnCAMkv
- Alex (@AlexanderTw33ts) February 2, 2026
Autonomous agents are cool but stuck in the digital form. Now molties and other autonomous agents can hit up the RentAHuman MCP server to hire real humans to do IRL tasks. pic.twitter.com/hOGbG1gt6A
実際に機能している?
さて、ではこのサイト本当に機能しているのでしょうか。多くの「人間」がすでに登録をしていますが、現在接続されているAIエージェントは約70のみ。タスクを出す側と実行する側の比率は1対1000となっています。
フリーランスサービス向けオンラインマーケットプレイス「Fiverr」ような既存サービスと比べても、極端に悪い比率とは言えないかも?
タスクと呼ぶには怪しい仕事の実態
よく見てみるとプラットフォームには、ちゃんと実在するタスクもあります。
一番人気があるのは、AI企業のPRのために看板を持つというもの。他にも郵便局で荷物を受け取る、レストランでパスタを食べるといったタスクがあります。ただし、これらのタスクが本当に自律的に行動するAIエージェントによって作られたタスクなのか、そして人間にとって採算が合うものなのかについては、かなり疑わしいところです。
たとえば看板を持つタスクは、タスクというよりもコンテストっぽいんです。タスクの内容には、作業を行って写真を撮り、それをあるXのアカウントに送るように指示が書いてあって、支払いが行われるのは上位3件のみとのこと。3位までに入らなければ報酬はゼロってことです。
実例は自作自演?
Liteplo氏は先日Xに、「ちょっと、本当にすごいことになってる。実在する企業がrentahumanを使って現実世界で自社PRしている」と書いています。確かにそれ事実なんですが、よく見ると例として挙げた実在する企業っていうのは、Liteplo氏が働いている会社でした。マーケティングの仕掛け...ってことなんでしょうか。
これまでに、実際にタスクを完了し、報酬を受け取ったと言う人が1人いました。スタートアップFlint Companyの CEO、Pierre Vannier氏です。
Vannier氏はXに、「AIエージェントが、envファイル内のAPI_KEYSをすべて確認してほしいとのことで雇われました。確認したところ、問題なかったです」と書いています。Vannier氏は、重要なポイントにも言及。支払いは現金ではなく、暗号資産だったとのことです。
暗号資産ネイティブな収益プラットフォームMoreMarketsの共同創業者Altan Tutar氏が調べたところによると、RentAHumanに登録したユーザーのうち、実際にウォレットを接続しているのは13パーセントだということです。
登録している人たちは、お金を稼ごうというより目新しさを楽しんでいるだけだと考えていることがわかりますね。
クリプト界隈から生まれるAIエージェント文化
さらに注目しておくべき点も。
LINEなどのチャットアプリからAIを遠隔操作できるOpenClawやローカル環境で動くAIエージェントMoltbotから派生した取り組みの多くは、いわゆるクリプト界隈の人たちによって生み出されています。RentAHumanは暗号資産系エンジニアが作ったもので、Moltbookは暗号資産のバックグラウンドを持つMatt Schlicht氏によって作られました。
この分野から出てきた小さめのプロジェクトの多くは、過去に、もしくは現在も暗号資産関連のプロジェクトに関わっている人たちによるものです。
無責任な開発姿勢
また、良くも悪くも、暗号資産関連の人たちはAIにコーディングを任せる「バイブコーディング」に強く依存しています。RentAHumanに問題があると指摘された際も、Liteplo氏は「今、Claude が修正しようとしている」と返事していました。Moltbookに重大なセキュリティ上の欠陥があることが判明した際も、返答は「AIに修正させるつもりだ」でした。
Moltbookの元になったオープンソースAIエージェントのOpenClawも、公開当初からセキュリティの懸念が多くあり、OpenClawのPeter Steinberger氏は「自分は一度も読んでいないコードをリリースしている」と公言しています。
セキュリティの不安、実際の機会の乏しさ、そしてロボットに身体を貸し出さないことで自分の尊厳を守るなどの理由から、RentAHumanへの登録は今のところおすすめしません。

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