CY賞の怪腕スクーバルが認めた山本由伸の“価値” 球界騒然の中0日連投への本音を吐露「あれはとんでもないよ。本当に凄かった」

山本の快投への正直な心境を打ち明けたスクーバル(C)Getty Images
異例中の異例だった「連投」
球史に残る伝説的なパフォーマンスだった。現地時間11月1日に行われたワールドシリーズ第7戦、9回一死一、二塁の状況でマウンドに上がった山本由伸(ドジャース)の投球だ。
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異例中の異例と言える登板だった。試合後にデーブ・ロバーツ監督が「私としては投入したくはなかった」と振り返ったように、前日の第6戦で先発していた山本は96球を消化。9回を完投していた現地時間10月25日の第2戦を含めれば、約1週間で計201球を投げていた。相当な疲労が溜まっているのは想像に難くなかった。
それでも日本の怪腕は異次元だった。一死満塁となった9回を無失点で切り抜けると、10回、そして11回と完封。4シームの平均球速が96.9マイル(約155.9キロ)を記録するなど、疲れを微塵も感じさせない内容で、強打のブルージェイズ打線をねじ伏せた。
ドジャースの球団史上初となるワールドシリーズ連覇をもたらした山本。その投球は、MLBでしのぎを削るライバルの心をくすぐった。現地時間11月20日、米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』に出演したタイガースのタリク・スクーバルは「あれは彼だから出来たことだと思う」と語った。
かく言うスクーバルも2025年シーズンは凄まじい成果を上げた。31試合に先発してリーグトップの防御率2.21をはじめ、241奪三振(同2位)、クオリティスタート21回(同2位タイ)、13勝(同6位タイ)の軒並みハイスタッツを記録。アメリカン・リーグのサイ・ヤング賞も2年連続で手にした。
そんなスクーバルにとっても衝撃だった。「ただ投げ続けていたわけじゃない。連投ということもそうだけど、ポストシーズンを通したパフォーマンスレベルが本当に信じられなかった」という。
「正直に言えば、ドジャースは彼がいなかったらワールドシリーズは勝てなかったと思う。自分もポストシーズン中に第1戦と第3戦に投げる準備はできていた。本当にいつでもいけるぞって感じでね。でも、ああやって連投するとなるとどうかな……。もし僕がヤマモトと同じ立場だったら何とかして投げさせてもらうかもしれないけど、やっぱり健康面も考えなきゃいけない」
一線級の投手目線で語った山本の凄み
自らもタイガースのエースとして数多の窮地を乗り越えてきた。そんな一線級の投手目線で独特な持論を展開したスクーバルは、さらにこう続ける。
「なんとも言えないけど、ああいう状況に身を置いてみたいという気持ちはある。だから、やっぱり自分なら『投げさせてくれ』と言うと思う。あの試合は振り返ってみても、ドジャースにはヤマモトが必要だった。そういう存在になりたい。自分がベンチに座ったまま、何もチャレンジをせずに試合が終わるのを見る姿は想像できない」
エースの心を刺激した山本。「彼はただ連投したじゃないんだ」と熱弁を振るうスクーバルは、「球質やキレが前日とまったく変わらなかったんだ。自分だったら100球近くを投げた翌日に『投げろ』と言われても、たぶん97マイル(約156.1キロ)も出ない。よくて94マイル(約151.2キロ)ぐらいだと思う」と日本人右腕への敬意を語った。
「ヤマモトは出てきていきなり95マイル(約152.8キロ)のスプリットを投げていたでしょ? あれはとんでもないよ。本当に凄かったと思う。だからこそ、自分も同じ立場になって、投げてみたいと思った。あれだけの地位を確立した投手は第7戦なら『失うものはない』と持てる全てを出し切るはずなんだ。そうなった時に自分に何が起こるか、どうなるのかを、この目で確かめてみたいんだ」
球界を騒然とさせた“中0日登板”の余波。その衝撃はライバルの目にとてつもないインパクトとして焼き付いたようだ。
