宮粼駿監督『君たちはどう生きるか』が『金ロー』で5月2日に初放送 翌週に『紅の豚』も

宮粼駿監督によるスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて5月2日にノーカットで初放送されることが決定した。
参考:宮粼駿、『君たちはどう生きるか』で2度目のオスカー 作家性と功績が評価される結果に
『風立ちぬ』(2023年)以来10年ぶりに宮粼監督が生み出した『君たちはどう生きるか』は、2023年7月の公開時には「先入観なしで映画を楽しんでほしい」という思いから、ポスタービジュアルのみの露出を行い、話題を呼んで大ヒットを記録。さらに同年12月に全米で公開されると、週末興行ランキングで1位を獲得したほか、第81回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞、第96回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞し、2度目のオスカー獲得という快挙を達成した。世界での興行収入で、スタジオジブリ作品の中でも1番の成績を残した。
舞台は第二次世界大戦中の日本。主人公の少年・眞人は火事で最愛の母親を失い、父と共に東京を離れ、疎開先の大きな屋敷に引っ越す。しかし、新しい環境になじめず、複雑な感情を抱える眞人は、屋敷で出会った不思議な青サギに導かれ、大伯父が建てた古い塔へと向かい、もうひとつの世界へ迷い込む。その世界で出会ったのは、漁師の女性キリコ、火を操る謎の少女ヒミ、そして眞人を追う奇妙なインコたち。やがて眞人は大伯父と出会い世界の秘密を知ることに……。
本作では、いままでの宮粼監督の作品では描いてこなかった主人公像に挑んだという。従来のスタジオジブリ作品では、明るく元気な女の子や、正義感の強い少年を中心に描かれることが多かったのに対し、本作の主人公・眞人は、“心の中に、複雑な感情を抱えながら生きる少年”として登場。最愛の母を失い、新しい母親の夏子との関係に戸惑い、新しい学校にもなじむことができないという11歳の眞人は、子どもながらに様々な感情を抱え、葛藤しながらも、まっすぐに生きようとしている。宮粼監督は、眞人を自身の少年時代の記憶を参考に描いたという。それは、両親との関係性の悩みや、自分の感情への戸惑いなど、誰しもが多かれ少なかれ経験する心の葛藤をもつ少年でもある。そんな多感な時期の等身大の少年が、生と死が混然一体となった世界を巡るファンタジーに仕上がった。
そして、その翌週5月9日には、1992年に公開された『紅の豚』がノーカットで放送。2週連続でスタジオジブリ作品がオンエアされる。
舞台は、第一次世界大戦後のアドリア海。主人公は、どこか憂いを帯びた賞金稼ぎのポルコ・ロッソだ。なぜ彼が豚の姿をしているのか秘密を知ってるのは、飛空艇乗りたちのマドンナで昔なじみのマダム・ジーナだけ。かつては空軍のエースパイロットとして名を馳せたポルコだが、今では空賊退治に明け暮れている。そんなポルコに対抗すべく空賊たちが雇ったのは、アメリカ人パイロットのカーチス。ポルコは、飛空艇のエンジントラブルが原因で、カーチスに撃墜されてしまう。ひょんなことからポルコの飛空艇を修理・設計することになったのは、17歳にして天才的な腕を持つ整備士の女の子フィオ。彼女の前向きな明るさと困難に立ち向かう行動力がポルコを変えていく。そして、宿命のライバルであるポルコとカーチスの決闘が始まる……。
本作は当初、日本航空の機内上映用の短編アニメーションとして企画。『風の谷のナウシカ』(1984年)以来長編の劇場アニメーションを作り続けてきた宮粼監督は、スタッフのリフレッシュも兼ねて気楽な小品を作りたいと考えていたという。原案は監督自身が模型雑誌に発表した漫画『飛行艇時代』。この趣味のつまった原案からストーリーを練るうちに、構想が膨らみ劇場公開作品になった。
また、『君たちはどう生きるか』の初放送を記念して、4月29日15時55分からジブリ特番の放送も決定。作品のあらすじや、眞人をはじめとする個性豊かなキャラクターを映像を交え紹介する。また、これまでの宮粼監督の足跡を振り返り、『君たちはどう生きるか』の魅力に迫る。さらに、眞人の声を務めた山時聡真が、愛知県長久手市にあるジブリパークを訪問し、展示や貴重な資料を巡る。(文=リアルサウンド編集部)