悲願の初制覇へ邁進する神戸。この勢いをシーズン最後まで持続できるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 横浜F・マリノスとの首位攻防戦(J1・29節)に勝利したヴィッセル神戸は、勝点差を4に広げて首位をキープ。他チームの戦績などの条件が揃えば、悲願のJ1初制覇は最短で次々節の湘南戦(10月28日)となる。

 優勝争いを演じている横浜と浦和レッズがACLとの過密日程を余儀なくされるなか、リーグ戦に集中できる神戸には時間的なアドバンテージがある。それを活かして一気に頂点へと駆け上がりたいところだ。
 
 だが、残り5試合はどれも難しい戦いになりそうな気配がある。吉田孝行監督が「簡単に勝てる試合は1つもない。目の前の1試合を100%で戦い、勝ちに行くだけです」と話すように、優勝への近道はない。今まで通り「一戦必勝」の構えを崩さないことが一つのテーマになりそうだ。

 神戸の残り5試合は鹿島アントラーズ、湘南ベルマーレ、浦和、名古屋グランパス、ガンバ大阪との対戦となる。ビクトリーロードの第一関門である鹿島戦に、勝つか負けるかで大きく戦況が変わる可能性がある。この試合で何かが決まるわけではないが、代表ウィーク明けの国立決戦は大きな山場だ。
 
 4位の鹿島は首位の神戸と勝点差「11」。優勝戦線からは少し後退している印象だが、まだ逆転優勝への望みは残っている。来季のACL出場権獲得(2位以内)も視野に入れると、鹿島にとっても今回の国立決戦が分岐点になりそうだ。

 それでなくても鹿島には負けられない理由がある。4月の前回対戦(8節)ではホームで1−5の大敗を喫しているからだ。さらに2020年の元日にまで遡れば、国立での天皇杯決勝で敗れてタイトルを逃している。今回の神戸戦はリベンジマッチの色合いが濃く、相当なエナジーを持って国立に乗り込んで来ると思われる。

 神戸は守護神・前川黛也が代表活動で負傷し、左SB初瀬亮が警告累積で出場停止というなかで国立決戦を迎える。残り5試合の中で最難関は今回の鹿島戦と言えそうだ。

「間違いなく、今の神戸は強い」と断言できる。イニエスタとの訣別、齊藤未月の離脱、強度が緩んだ厳しい残暑を乗り越え――
 もし鹿島に勝ったとしても、次節は熾烈なJ1残留争いを演じている湘南とのアウェーマッチが待っている。4月の対戦では2−0で勝利したが、前回よりも攻略が難しいのは明らかだ。
 
 そして翌節はアウェーでの浦和戦。この時点での状況次第では、優勝決定戦になる可能性もある。残り5試合で神戸と3位の浦和との勝点差は「8」離れている。だが、浦和は8月の名古屋戦からリーグ戦6試合負けなしと好調をキープしている。さらにルヴァンカップ決勝進出やACLのグループステージ負けなしとかなり勢いもある。真紅に染まる浦和のホームゲームだけに、苦戦を強いられる可能性は高い。

 次の名古屋戦はホームラストゲームとなる。夏場の失速で6位に後退した名古屋がこの時点でどういう状況かによっても大きく左右される一戦になるだろう。優勝やACLの可能性が残っているなら大きな壁になる可能性もある。
 
 そして最終節はG大阪との関西ダービー。ここまで優勝争いがもつれた場合、G大阪としては目の前で神戸の初優勝を見たくないはず。ホームでのダービーマッチなら、なおさら敗れるわけにはいかない。優勝を全力で阻止しに来るだろう。

 残り5試合はどれも難しい戦いになることが予想される。とはいえ、横浜と浦和のACL組に比べれば日程的なアドバンテージもある。それを活かして、目の前の一戦にフォーカスして良い準備をしていけば必ず優勝を手繰り寄せられるはずだ。ただし、優勝の可能性は50%。

 もちろん、勝点差を考えれば優勝の確率はもっと高いかもしれない。だが、監督や選手が「まだ何かを成し遂げたわけではない」と語っている通り、優勝を成し遂げるまでは常に50%である。

取材・文●白井邦彦(フリーライター)