ジーコスピリットを体現。終了間際の決勝点で鹿島ユースが勝利を掴む。見逃せない“歴戦の猛者”たちのバックアップ
鹿島アントラーズに根付く“ジーコスピリット”は、柳澤敦監督率いるユースチームにも脈々と受け継がれている。
7月26日に行なわれた第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会のグループステージ最終節。2節終了時点でグループ2位に位置していた鹿島ユースは予選突破を懸け、京都サンガF.C.U-18と対戦した。
各組2位以上に与えられるノックアウトステージ進出の条件を整理すると、鹿島は1勝1敗の2位で、2連勝中の首位・京都に対し、勝利を収めれば無条件で突破を決められる。だが引き分け以下では3位のファジアーノ岡山U-18の結果を待たなければならない。2連敗中のいわきFCU-18の得失点差や実力差などを考慮すると、突破のためには勝利が必須だった。
「アントラーズでやってきたことをやる。アントラーズ魂、ジーコスピリットを再現しよう」
大一番を前に初心に戻り、クラブのOBでチームの礎を築いたジーコ氏の言葉を指揮官は口にした。
ジーコ氏がアントラーズに関わる人に対して求める姿が「献身」、「誠実」、「尊重」という“ジーコスピリット”に宿っている。全ては勝利のために――。勝負に対するこだわりを持って、この試合に鹿島は挑んだ。
試合を振り返れば、旗色は決して良いとは言えなかった。特に前半は中盤での潰し合いとなり、ゴール前までボールを運べなかった。35度を超える気温でのプレーに加え、4日間で3試合という過密日程。疲労もあり、選手たちの足は思うように動いていなかった。それでも、焦れずに戦い、最終ラインは集中力を切らさない。
「前線の選手は結構焦っていたかもしれないけど、後ろは慌てずしっかり繋ぐ。そんなに焦っている感じはしなかった」(DF松本遥翔/2年)
攻撃陣が攻めあぐねても、気持ちは切らさない。仲間を尊重しながら、献身的にプレーする。メンタル面が成熟し切っていない高校年代ではちょっとした出来事が流れを変えるが、選手たちは動じずに戦い続けた。
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その結果、0−0で迎えた後半35+1分に決勝点が生まれる。途中出場のFW徳田誉(2年)が決勝点を奪うと、歓喜の輪が広がった。アントラーズに根付くフィソロフィーを体現した結果、勝点、得失点差、得点で並んだ京都を直接対決で上回り、鹿島は2位で決勝トーナメント進出を決めたのだ。
勝因は選手たちの頑張りに尽きる。しかし、見逃せないのはスタッフ陣のバックアップだ。
「諦めずにやる。選手にそういう言葉をかけていたし、自分もそのつもりで最後の最後まで指示を出し続け、それに選手たちが応えてくれた」
柳澤監督はもちろん、小笠原満男テクニカルアドバイザー、里内猛ヘッドオブコーチング、曽ケ端準GKコーチなど鹿島で長年戦ってきた歴戦の猛者たちが、ベンチから絶やさず声をかけ続ける。
勝負に対する厳しさを誰よりも知っているスタッフ陣が選手たちを鼓舞しながら、状況に応じて指示を飛ばす。勝負を分けるセットプレーでは、曽ケ端GKコーチがテクニカルエリアから声を枯らし、細かくコーチングしていた。
鹿島の伝統を知るスタッフたちは後輩たちを陰から支え、大一番で勝ち切るサポート役を遂行。時に厳しく接しつつ、選手たちを温かい目で見守ってきた。
1−0で勝利を収めたあと、ピッチの脇でトレーニングに励む選手たちがいた。出番がなかったメンバーを中心に汗を流すなか、炎天下で小笠原テクニカルダイレクターや曽ケ端GKコーチらも選手に寄り添って指導を続けていた。
そうした姿もまたジーコスピリットだろう。選手を尊重しながら、献身的に指導し、誠実にチームと向き合う。後輩たちのために汗を流す鹿島のスタッフ陣の戦いはこれからも続く。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
