ドイツ政府 EUエンジン車禁止に「待った」かける CO2ニュートラルな合成燃料の免除要請
合成燃料について検討を要請
ドイツ政府はEU(欧州連合)に対し、2035年以降、カーボンニュートラルな燃料「eフューエル(合成燃料)」を動力源とする新車の販売を認めるよう要請した。
【画像】フルノーマルで合成燃料に対応【マツダMX-5(ロードスターの欧州仕様)を写真でじっくり見る】 全53枚
欧州議会は最近、2035年以降のエンジン車の新車販売を実質的に禁止する法案を採択した。EU圏内で販売されるすべての新車のCO2排出量を100%削減するよう義務付けるもので、自動車メーカーはEV(電気自動車)へのシフトを迫られる。

合成燃料を使用すれば、理論的にはCO2ニュートラルになるとされる。
しかし、ドイツのミヒャエル・トューラー運輸大臣は声明で、「欧州委員会はeフューエルの使用方法、あるいは気候変動に影響されない燃料で作動する内燃機関の組織化について提案すべきである」と述べ、eフューエルについて改めて検討するよう求めている。
eフューエルは、CO2と、風力や太陽光などの自然エネルギーによって生産される水素を使った合成燃料である。自動車から排出されたCO2を回収してeフューエルを生産するため、理論的にはCO2ニュートラルとされる。
現在、スポーツカーメーカーや内燃機関メーカーなどさまざまな自動車関連企業がeフューエルに注目し、その可能性を探っている。
ポルシェは、昨年末にチリで年間約13万Lを目標とするパイロット生産を開始した。当初はポルシェの体験型店舗やレースなどで使用される予定だ。2020年代半ばには年間1200万ガロン(5500万L)、その2年後にはさらに10倍まで生産量を増やす計画である。
ポルシェのeフューエルは完全なカーボンニュートラルではないが(ほぼCO2ニュートラル、と表現される)、ポルシェの元スポーツカー製品責任者、フランク・ワライザー氏は2021年に「粒子も(NOxも)少なくなっており、正しい方向に向かっています」と語っている。
また、マツダは石油会社や自動車メーカーなどで構成されるロビー団体「eフューエル・アライアンス」に自動車メーカーとして初めて参加するなど、積極的な姿勢を見せている。
2022年12月、マツダは英国のコリトン社が農業廃棄物から作ったeフューエルを用いて、無改造のMX-5(ロードスターの欧州仕様、2.0L車)でイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドを約1600km走行し、平均燃費19.4km/lを記録した。
参考までに、従来のマツダMX-5の2.0L車の平均燃費は、WLTPサイクルで17.4km/lとなっている。
コリトン社のデビッド・リチャードソン社長はeフューエルについて、「非常に優れた性能を持ち、既存の車両にも適合します。従来の化石燃料と比較して、現在のCO2排出量を大幅に削減する可能性を持つソリューションです」と述べている。
合成燃料にはまだ課題も
しかし、eフューエルが2035年以降も使用を許可されるかは、まだ疑問の余地がある。前述の通り、ポルシェのeフューエルは現状「ほぼCO2ニュートラル」であり、フランク・ワライザー氏によればガソリン車と比較してCO2排出量を85%削減できる程度だという。
EUが2035年にエンジン車の新車販売を事実上禁止するのは、2050年までに完全なカーボンニュートラルを実現するという目標に向けたものであり、現状のままではeフューエルの規制回避は難しいだろう。しかし、地球温暖化防止という目標をクリアしながら、エンジン車の使用寿命を延長することは可能だ。

ポルシェやマツダなどさまざまな企業が研究開発を続けている。今後の動向に注目だ。
英国政府は以前、2030年にエンジン車の新車販売を禁止すると発表していたが、先月、農業・工業で使われる軽油の代替となるeフューエルの研究プロジェクトに3250万ポンド(約54億円)の助成金を出すと発表している。
エネルギー・気候を担当するグラハム・スチュアート大臣は「今回の資金援助は、産業の脱炭素化を加速させ、産業界と消費者に軽油に代わる効果的な低炭素燃料を提供すると同時に、英国産業の回復力を将来にわたって支えるためのグリーン投資を後押しするものである」と述べた。
また、EUが少量生産車メーカーに禁止措置の延期や免除を設けるなど、柔軟な姿勢を見せている点にも注目すべきだろう。年間生産台数が1万台未満のメーカーは2035年末まで免除され、年間生産台数1000台未満のメーカーは恒久的に免除される。
