保険料が高くなってしまう車両保険、付けるべき?

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任意保険は自賠責保険と違い、契約者自身が補償内容や補償範囲を決めることができます。

特に、車両保険の付帯について悩む人が少なくありません。車両保険は、事故等で車が壊れてしまい、修理や乗り換えが必要な時に保険金が支払われるものですが、任意保険の保険料は大きく上がります。

今回は、整備工場を営み自動車保険マスターとして保険業に携わる筆者が、車両保険の特徴や実際に起きた事故事例について解説していきます。

車両保険への加入率は約半分。安くするコツは?

自動車保険は、対人賠償、対物賠償、人身傷害、車両の4つに分けられます。損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」によると、車両保険への加入率は2021年3月末時点で46.2%となっています。

車両保険を付帯しない理由として、ほとんどの人が「保険料の高さ」を挙げます。例えば、あるネット系自動車保険でアクアの自動車保険に加入すると、保険料は車両保険なしでは31,690円であるのに対し、車両保険の一般条件を付帯すると51,900円となってしまいます。

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しかし、一般条件をスリムにしたエコノミー(車対車+A)であれば40,580円と保険料を抑えることが可能です。必要に応じた使い分けが、良い自動車保険契約を結ぶためのカギになります。

エコノミータイプの車両保険でカバーできる範囲は、どのようなものでしょうか?

エコノミー型車両保険でも当て逃げへの適応はできる?

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これまでの車両保険のエコノミータイプでは、保険料は安く抑えられるぶん、補償範囲が狭いことが難点でした。分かりやすく言えば「事故相手が分かっている案件しか、車両保険が支払われない」という制限があったのです。

自損事故の場合、自分に非があるという心情もあり、エコノミーでは補償範囲外であることに納得できるという声が多数でした。一方、自分に非がない当て逃げが補償範囲外ということに納得できない人も多かったのです。

このような声に応えるように2021年以降、当て逃げ事故への車両保険対応を、エコノミー型でも可能とする保険会社が増えていきました。

そのため、保険料が上がることを抑えつつ、必要範囲をカバーできるエコノミー型の車両保険を選ぶメリットが増えたといえます。

調査結果によっては当て逃げに該当しないケースもあるので注意

一方で、エコノミー型車両保険での当て逃げ事故については、注意しなければいけない点もあります。

筆者は、先日、契約者様から「車を当て逃げされました。保険請求対象となりますか?」と連絡を頂きました。契約者様はエコノミータイプに加入されていたので、当て逃げも補償範囲であることを伝えると保険で修理をしたいという回答でした。

翌日、保険会社からアジャスターがクルマの傷を確認しにやってきました。アジャスターは細かく損傷箇所を調べたのですが、後日、保険会社から「あの傷はコンクリートのような硬いもので擦れた傷である」という旨の連絡があったのです。

コンクリートで擦れた傷であれば自損事故扱いとなり、エコノミータイプの車両保険では補償適用外となってしまいます。契約者様は「自分で当てた覚えは全くない」「わたし以外に運転する人はいないので他の人が当てることもない」とのことでした。

結局、本人立ち会いのもとリサーチ会社の調査が入りました。結果は「硬いものにぶつかった損傷」と変わらず。しかし、契約者様は「当て逃げ」を主張しているため、事故から1ヶ月経過した現在も車は修理のできない状態となっています。

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契約者にとって愛車に付いた身に覚えのない損傷は、当て逃げと判断したくなります。しかし、傷のつき方などによっては保険会社から当て逃げと判断されないため、エコノミー型の補償を適用させるのは一般条件よりハードルが高いといえるでしょう。

ちなみにこういった案件は、一般条件であれば即、保険対応での修理が可能です。「エコノミータイプでの当て逃げ事故処理はスムーズに適用されないケースもある」というデメリットも加味しながら、車両保険のタイプを選びましょう。