ウクライナ侵攻開始だが、円高は限定的? 外為オンライン・佐藤正和氏
文字通り、地政学リスクによる「有事」の状態になってしまいました。ある程度予想されていたこととは言え、実際にロシアがウクライナへの侵攻を開始したというニュースが流れたときには、為替市場を始め金融市場は大きな変動を見せました。
ドル円は、一時的に1ドル=114円台半ばまで売られ、有事の円買いを連想させましたが、その後のニューヨーク市場では115円台後半まで上昇するなど、思いのほか底堅い動きを見せました。ただ、ウクライナに地理的に近く、ロシアとも深い関係を持つ欧州では、ユーロドルが2020年6月以来の「1ユーロ=1.1106ドル」近辺までユーロが売られました。
株式市場も、一時日経平均株価で670円ほど下落しましたが、その後のニューヨーク市場では逆に買われました。「噂で売って事実で買う」と言う市場のセオリー通りのシナリオになりました。原油市場も、WTI原油価格が1バレル=92ドル程度まで下落し、その後もその近辺で推移しています。
――今後、為替市場はどんな展開になるのでしょうか?
当初予定していたよりも時間がかかっているようですが、いずれロシア軍は首都キエフを制圧して、ウクライナ政権を転覆させ、新たに親ロシア政権を樹立するシナリオに沿って進めてくるものと思われます。
首都制圧にどれぐらい時間がかかるのか、ウクライナ国民の抵抗がどこまでもつのか。また、米国や欧州がロシアに対してどこまで経済制裁を課すことができるのか……。すでに世界の金融機関が加盟して資金決済を一元化している「SWIFT」から、ロシアの2つの銀行を排除すると報道されていますが、今後さらなる制裁があるかもしれません。
軍事侵攻や経済制裁の先を読むのは非常に難しいと思います。ロシアへの経済制裁は、ロシアから天然ガスや原油を輸入している国にとっても大きな痛手となり、欧州が分断されるのではないかという懸念もあります。どんなシナリオであっても3月の為替相場や株式市場、債券市場、商品市場はいずれも変動幅の大きなマーケットになることが予想されます。戦況次第では大揺れになるリスクもあります。
――こんな状況の中でも、FRBは金利引き上げを行うのでしょうか?
ロシアのウクライナ侵攻は、原油価格や小麦粉などの価格が上昇するのではないかというインフレ懸念を高めました。そういう意味でも、FRB(米連邦準備制度理事会)は、予定通り金利を上げて来るはずです。すでに市場が織り込んでいるように、3月15−16日にかけて開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)で金利が引き上げられるはずです。
問題は金利の上昇幅ですが、0.25%になるのか0.5%になるのか、注視しておく必要があります。とりあえず、3月4日に発表される米雇用統計の数値なども重視されるはずです。前回の非農業部門雇用者数は46万7000人の増加となっており、金利引き上げの追い風となりました。今回は40万人増の予想となっていますが、予想を大きく上回るような数値になれば、0.5%になる可能性は高くなります。
