ほぼ全員がやることになる「白内障手術」で、近視も老眼も一緒に治す方法
※本稿は、赤星隆幸『ビジュアル解説でわかる! 老眼 近視 乱視 遠視も治せる 白内障手術のすべて』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■白内障は、ほぼ100%の人がなる老化現象
白内障は、目のレンズの役割を担う水晶体が加齢ともに濁ることで起こります。
病気でありながら、白髪と同じ老化現象であるため、ほぼ100%の人がなってしまうものです。しかも水晶体が濁ってくると、文字がダブって見えたり、まぶしさに敏感になったり……と、視力の低下や見えづらさが出てくるものの、老眼の症状とも似通っているため、白内障だとは、なかなか自覚できません。
実際、白内障による水晶体の濁りは、40代で約20%、50代で約50%、60代では約80%の人が発症しています。

■治せるのは手術のみで、チャンスは一度きり

誰もがいつかはなってしまう白内障ですが、完治できるのは手術のみ。治療の選択には目薬もあるものの、あくまでも症状を抑えるためのもので、点眼を続けていても確実に進行し、治ることはありません。
白内障手術では、白内障で濁った水晶体を人工の眼内レンズと入れ替えますが、この眼内レンズの選び方次第で、術後の見え方が変わってきます。
しかも白内障手術は、一生に一度。やり直しがききません。
眼内レンズの取り扱い種類や手術の方法(術式や質)は、病院や執刀医師によって違うため、どの病院で、どんな眼内レンズを入れるのか熟考し、後悔しない選択を行いましょう。
■白内障手術で視力矯正が可能な時代
白内障手術で使用される眼内レンズの進化には目覚ましいものがあります。
適切なレンズを選ぶことで、近視、乱視、遠視という生まれつきの屈折異常だけでなく、加齢とともに進行する老眼までも同時に改善。白内障を完全に治しながら、今まで以上によく見え、一生、眼鏡なしの生活も可能となったのです。
白内障手術は、早く受ければ受けるだけ、快適な時間が長くなります。もし現在の「見え方」に不自由を感じているのであれば、先送りするメリットはありません。
そのために、視力矯正を目的に、50代で白内障手術を選択する人が増えています。
■眼内レンズの選択で「見え方」が変わる
眼内レンズには、大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があり、術後に「どう見えたいか?」によって、人それぞれ、最適なレンズが変わってきます。
単焦点レンズでは、「手元にぴったりとピントが合う」「遠方にぴったりとピントが合う」のどちらかが選べ、多焦点レンズでは、「手元〜中間〜遠方まで、すべてが自然な見え方でピントが合う」状態となります。

また単焦点レンズにも、多焦点レンズにも、乱視を矯正するトーリックレンズがあり、乱視矯正を行いたい場合はトーリックレンズの選択が必須です。ただしトーリックレンズは、扱いが難しく手間もかかるため、多くの病院に普及しているとはいえない状況です。
病院を選ぶ際にはしっかり見極めましょう。
■「高額な治療=質の高い治療」とは限らない
また白内障手術の価格は、選択する眼内レンズによって変わってきます。
単焦点レンズであれば、「健康保険適用」なので、診察や投薬、眼内レンズを含めた手術一式の費用は全国一律です。これは乱視矯正機能のついたトーリックレンズであっても変わりません。
多焦点レンズの場合は、レンズによって健康保険に追加費用を負担することで保険外の治療を受けられる「選定療養」か、全て自費となる「自由診療」となります。とはいえ、「高額な治療=質の高い治療」とは限りません。
白内障手術は、保険適用内でも十分な治療が可能です。
自分の希望と沿わない、自由診療ばかりを強く勧める医師や病院には注意しましょう。
■レーシックを受けた目は白内障手術が難しい?
レーシックを受けた目は、白内障手術が難しいといわれています。
白内障手術で移植する眼内レンズは、目の大きさ(眼軸長)と角膜のカーブから、その目にぴったりの度数を算出していきますが、レーシックでは角膜の表面をレーザーで不規則に削っているため、正確な度数算出が難しいのです。
逆に、白内障手術後のレーシックは可能です。

老眼鏡デビューをしたら、誰でも白内障発症の可能性はあります。
人間の五感である「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」の中で、視覚からの情報は、全体の8割以上も占めると考えられています。
「目が脳の出張所」といわれるゆえんです。また白内障の放置は認知症のリスクにもなるといわれています。
白内障と同時に、老眼や近視、乱視、遠視までも治すことが可能となった白内障手術でベストな選択をすれば「100歳になってもよく見える」は、難しいことではなくなってきています。視力矯正について、ぜひ最良な方法を見極めることをあきらめないでください。
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赤星 隆幸(あかほし・たかゆき)
眼科医
1957年生まれ。世界67か国に普及している白内障の画期的な手術法「フェイコ・プレチョップ法」の考案者。自治医学大学卒業後、東京大学医学部附属病院、東京女子医科大学糖尿病センターなどを経て三井記念病院眼科部長をつとめた後、白内障執刀医として独立。秋葉原白内障クリニック最高顧問。現在でも年間約9000件の白内障手術を執刀している。2017年には、日本人で初めてケルマン賞(白内障治療で国際的に活躍した眼科医を顕彰)を受賞。
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(眼科医 赤星 隆幸 イラスト=加納徳博)
