5試合を終えたJ1リーグの順位に、ちょっとした戸惑いを覚えている。

 上位陣の顔ぶれに、驚きはない。ACLに出場している鹿島アントラーズ、ガンバ大阪、浦和レッズ、川崎フロンターレにFC東京を加えた5チームは、Jリーグの“ビッグ6”と言っていい存在だ。ACLとの過密日程に苦しむシーズンもあるが、保有戦力のレベルは高いレベルで安定している。

 “ビッグ6”を形成する5チームを抑えて、ヴィッセル神戸が首位に立っているのも想定の範囲内だろう。昨シーズンの第2ステージで2位に食い込んでおり、就任3年目のネルシーニョ監督のもとで即戦力の補強も進められた。昨季11ゴールのペドロ・ジュニオールが鹿島へ移籍し、19ゴールで得点王となったレアンドロがいきなり戦線離脱したものの、堅守を強みに開幕から4連勝を飾った。

 “ビッグ6”のもう1チームであるサンフレッチェ広島が、いまだ勝利をつかんでいないのは序盤のサプライズと言っていい。

 佐藤寿人が名古屋グランパスへ移籍し、森崎浩司が現役を退いた。長くチームを支えてきたふたりだけでなく、昨季得点王のピーター・ウタカを失ったダメージは、チームとしての練度だけでは乗り越えられないのか。日本代表経験を持つ工藤壮人らの新戦力を加え、選手層に不足はない印象を与えていたものの……。

 気になるのは対戦相手だ。ここまでのところ、上位陣との直接対決はひとつもない。5節終了時で12位以下のチームとの5試合で、勝点を「1」しか奪えていないのである。先制点をあげたのが1試合では、ゲーム運びが窮屈になってしまう。

 大宮アルディージャの最下位も意外だ。

 J1復帰1年目の昨季は、クラブ史上最高位の年間5位でフィニッシュした。攻撃の中心だった家長昭博が川崎Fへ、ドリブラーの泉澤仁がG大阪へ移籍したが、攻撃はスケールダウンしていない。清水から大前元紀が加わり、攻撃のマルチタレント長谷川アーリアジャスールも渋谷洋樹監督の選択肢となった。W杯最終予選の予備登録メンバーに名を連ねる江坂任もいる。昨季は6ゴールに終わったFWムルジャ、同1得点のペチュニクがポテンシャルを解放すれば、家長と泉澤の穴は無理なく補えるというのがクラブ側の目算だった。

 ところが、攻撃陣が機能していない。新加入選手が多いことによるコンビネーション不足ではなく、先制点を与えることでチーム全体がリズムを失ってしまうとの印象だ。

 もっとも、序盤の戦いが難しいものとなるのは覚悟されていた。開幕戦の相手は川崎Fで、第2節はFC東京とのアウェイゲームだった。直近の5節は鹿島である。
昨季はトップ5入りしたとはいえ、リーグ内の立ち位置が劇的に変わったわけではない。チャレンジャーの姿勢に立ち返ることが、大宮には求められるだろう。

 そのうえで、シーズン初の勝点やシーズン初勝利をあげるまでは、多少なりとも割り切ったサッカーをしてもいいのかもしれない。「試合内容は悪くないけれど、勝点がなかなかついてこない」という戦いが続くうちに、降格の憂き目に遭ったチームは少なくないのだ。

 全34試合のうち5試合を終えただけだが、首位の神戸と最下位の大宮には勝点「12」もの開きがある。神戸と広島の勝点差も「11」だ。まだ5試合とはいっても、上位と下位の勝点差が無視できなくなっているのは事実だ。