怒りっぽいのは“性格”のせいじゃない! 医師に聞いた「子育てのイライラを減らすコツ」7つ

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子どもや夫にイラっとしたり、怒りの感情をぶつけてしまったりすること、よくありますよね。

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いったん怒り始めると、自分が止められなくなる……なんてこともありますよね?

子育てしていて、なんだか昔と比べてイライラしやすくなった、と感じる方は多いと思います。

今回は、そんな“イライラ”の感情を「脳」の観点からとらえ、怒りを上手にコントロールするコツを教えていただきます。

『脳が知っている 怒らないコツ』(かんき出版)の著者で、小児科専門医でもある「脳の学校」代表・医学博士の加藤俊徳(かとうとしのり)医師にお話を伺いました。

体の緊張で思考力が弱まり、イライラが連鎖。寝不足や過去の出来事も原因に

「母親が家の中でイライラする原因の多くは、旦那さん(笑)。それと、男の子をもっているお母さんもイライラしやすいです。

女性は比較的、話をよく聞けるのですが、男(の子)は人の話を聞かない。でも、自分と同じように、相手にも聞いてほしいという欲求が存在するから、『なんで話を聞いてくれないの!?』となる。

慢性的に怒りやすい人は、肩こりや頭痛、偏頭痛もちだったりします。さらに座ってばかりいると足がパンパンになり、その情報が脳の『思考系』の場所に刺激となって伝わります。

イライラしているときは大概、体のどこかが痛くなったり、寝不足だったりするのですが、そのときはすでに『思考系』のキャパシティが減っているんです。

そこに、考えられる枠が少ない状態で、新しい課題がガーッと入ってくると、『私わからない!』『対処できない!』となります。要するに『怒り』って、『わからない・対処できない・今困っている』というサインなんですね。

子どもの『イヤイヤ』も、『わからない』というサイン。言うことをよく聞いて、理解できれば『イヤイヤ』しません。

あとは、寝不足の解消ですね。旦那さんを待たずに寝てください。……と言っても、待っている人は今でも少ないとは思いますが(笑)。

今怒っているのは今の出来事のせいじゃない、ということも結構多いんです。生活のリズムだったり、朝の出来事だったり、昨日のことを引きずって、怒りやすくなったりもします。そういった、怒りの引き金になる部分を解消していくことも大事だと思います」

「脳の弱い部分」を刺激されると怒りやすい。怒ると脳が働かなくなる!

加藤先生によると、脳はおおまかな役割ごとに「思考系」「伝達系」「理解系」「運動系」「聴覚系」「視覚系」「記憶系」「感情系」と、8つの「脳番地」に分けられるそう。

あるものごとに対して、これらの各番地で「対応できない!」と感じると、不安になり、イライラや怒りの感情が生まれるといいます。

「脳の8つの番地のうち、『聞く』『見る』『理解する』『記憶する』は、すべて情報の受け身です。『運動する』『考える』『話す』は情報のアウトプットです。

ところが、『感情』の脳番地だけは、人の感情を受け取る、自分の感情を表出する、というインとアウトの両方にかかわっています。

そのため、聞こえない⇒怒る、見えない⇒怒る、理解できない⇒怒る、思い出せない⇒怒る、動けない⇒怒る、考えられない⇒怒る、伝えられない⇒怒る……というふうに、7つの脳番地のどれが弱くても、怒りやすくなってしまうのです。

人間は、弱いところからほころびてきます。弱いところを刺激されると、怒りになります。女性に向かって、『よく見ろよ、お前よく見てないだろ』と言うと、『ぐあぁーっ!』と怒りますよね(笑)。脳の方が敏感なんです。

苦手なところは脳が動かないので、脳が動かない瞬間って、嫌になるんです。嫌な感情は怒りの感情と混ざっていくため、怒りたくなったり、嫌だと思ったりするのは、どこかの脳が働かない、ということ」

「怒ると、脳の効率が悪くなります。怒ると脳の血流をグーッと上げるのですが、無駄なエネルギーを消費して、冷静に考えられなくなる。脳が使えていなくて、血圧が上がっているだけなので、非効率な脳の使い方になります。そうなると、1時間くらい元の状態には戻りません。

1回怒ってしまうと、自分も周りも、もう一度立て直すのに時間がかかるんです。怒らなければそのままうまく流れたのに、爆発してしまったから倍の時間がかかったりとか。よくよく考えれば、あの場面でこうすればスムースにいった、という場面はたくさんありますよね」

男女の脳の違いを知ることも、怒りを回避するポイント

「男性は『見て』怒ります。女性の場合は『聞いて』怒ることが多い。得意な脳の場所が違うんです。

例えば、『あなたはどう思う?』と意見を聞かれたとき、女性はうれしく感じるけど、男性は『なんで聞くんだ!』と怒り始める(笑)。それくらい、男女の脳は対照的なんです。だから、男女の性質をある程度理解した方が生きやすい。生きていくうえでの価値観、ものごとのとらえ方が全然違うんです。

女性の場合では、記憶力がよすぎて怒ることもあります。よく覚えているんですね、人の言ったことを。『あのときはこうだったでしょ』、と女性は覚えていても、男性の方は覚えていなくて、話の齟齬が起きたりする。

怒りって人と人との間に生じますよね。脳のつくりそのものが違うので、そこでやっぱり爆発してくのかなと。喧嘩するほど仲がいいと言いますが、そうではないような気がします」

怒りっぽいのは「性格」ではなく、「脳の使い方のクセ」のせい!

「イライラする場面は、人によって傾向があります。だから自分の傾向を知っておいたほうがいいです。怒りっぽいのは『性格』ではなく、『脳の働き』なんですね。その人の脳の使い方を、『性格』だと感じているわけです。

でもじつは怒りっぽい性格というのもあります。落ち着きがない、前頭葉が弱い、発達障害の傾向がある……この場合はキレやすくなります。

そうでなければ、脳の同じ場所を使っていたら怒りやすくなるし、体が疲れて足腰がパンパンになったら怒りやすくなる。脳の性質としても、怒りやすさはあります。それらを全部、自分の性格だと勘違いしているんですね。

性格(脳の使い方)も、比較的感染しやすいところがあって。家族が怒る人だったら、自分も大人になって同じように怒っていたり。感情も感染しやすいです。親から習った怒り方なのに、それを自分のクセだと思っていたりします。

脳には、そういう『習慣』が身に付きやすいということですね。でも、それは変えることができるのです」

怒らないための習慣で、脳の使い方のクセを変えていく

では実際の生活の中で、怒らないようにするコツは? 一例を教えていただきました。

●その場を離れる
怒りのスイッチが入る前に、その場を立って離れる。

●呼吸を整える
1から10までゆっくり数えながら、呼吸を整える。ふとんや床の上で大の字になる。
(怒るためには呼吸を早くしないといけない。逆に、呼吸をゆっくりし、体がゆるんだ状態になると怒ることができない)

●じっくり話を聞く
聞き役に回る。聞いている方が怒るチャンスが少ない。
(将棋を指したり、囲碁をしているときの状態が、一番効率が高い脳の使い方)

●怒らない人や尊敬する人を思い出す
怒りそうになったときに、その人のことを思い出し、「あの人だったらこうする」と真似をする。

●相手のいいところを3つ書いておく
怒りやすい相手でも「いいところがある」と思いながら話すと、怒りが半減。怒りがやわらかく伝わる。

●「感情」ではなく「勘定」で考える
一度怒ってしまうと、覚めるのに1時間かかる。ここで怒ったら損をする、と考える。
(脳がよく働き、すっきりしたときにものごとを進める方が効率がよい)

●ポジティブに考える
怒りたくなる場面で、いい方に転換してとるようにする。

こうした「怒らないための習慣」で、ぜひ脳の使い方のクセを変えていってみてください。