今月5日、タンザニアの島でウミガメの肉を食べた子ども8人、大人1人が死亡した。ウミガメの肉はタンザニアにおいて珍味とされているが、“ケロニトキシズム”という致死性の食中毒を引き起こすことがあるという。米ニュースメディア『ABC News』などが報じている。

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食中毒事故が発生したのは今月5日、タンザニアに属するアフリカ東海岸ザンジバル諸島のペンバ島だ。この日、同島で80人以上がウミガメの肉を食べ、体調不良を訴えて病院へ運ばれた。一部の報道によると、彼らは観光でこの島を訪れていたという。

病院で処置が行われたものの、子ども8人と大人1人の死亡が確認され、他78人が病院で治療を受けたと今月9日に公表された。同島ムコアニ地区で医師として働くハジ・バカリさん(Haji Bakari)は、病院に運ばれてきた人々の全員が5日にウミガメの肉を食べていたと話している。また、亡くなった大人は、命を落とした子どもの1人の母親であったという。

ウミガメの肉は“ケロニトキシズム”という毒素に汚染されていることがあり、これを摂取してしまうと食中毒を引き起こす。ウミガメは絶滅危惧種に指定されており、国際的に捕獲や食用にすることが禁止されて保護されているため、ケロニトキシズムによる食中毒は珍しい。しかし今回のタンザニアの他にも、マダガスカルやフィリピンなど一部の地域では珍味として扱われているため、イベントなどで提供されることがあり、集団発生することがあるという。

生食でも火を通しても発症する可能性があり、摂取してから数日以内に口や喉のかゆみ、嘔吐、腹痛などの初期症状が起きる。症状が悪化すると、痙攣や昏睡など神経障害を起こすこともあり、重症の場合は今回のように死に至ることもある。特に子どもが発症しやすく、母乳を介して発症することもある。2018年1月にはマダガスカルで、ウミガメを食べてしまった子ども8人が犠牲になり、そのうち2人は生後数か月の乳児であった。

解毒剤は開発されておらず、点滴や呼吸のサポートなど対症療法を受けることになるが、発症しやすい地域ではこうした高度医療を受けられないケースも多い。また、違法にウミガメを摂取したことに責任を問われることを恐れ、医療を拒否する人もいるため、ケロニトキシズムによる食中毒は死亡率が高くなっているという。

今回のニュースに人々からは、「絶滅危惧種を食べたのだから、自業自得だよ」「彼らにとっては伝統的なものだから、今後も食べることはやめないだろうね」「自然の逆襲を受けたのかも」など、ウミガメを食用にする文化に対して批判の声があがっている。

画像は『Sky News 「Eight children and one woman die after eating sea turtle meat on Zanzibar island」(File pic: AP)』『The Guardian 「Eight children and an adult die in Zanzibar after eating sea turtle meat」(Photograph: Pandarius/Alamy)』『CGTN Africa 「8 children die after eating turtle in Madagascar」』『New York Post 「Fish eater dies after cooking deadly pufferfish given to him as present」』『SAYS 「Experts Warn Against Eating This Octopus As Its Venom Can Kill A Person Within Minutes」(Cover image via DMCR via The Phuket News)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)