インタビュー:キノコホテル「強烈で刺激的なものを残せたら、好かれても嫌われても構わない」
――この時代の曲とは、どうやって出会うんですか?
マリアンヌ東雲:元々、音楽活動をする前から割と好きで聴いていて。10代の後半ぐらいからじゃないかしら。その頃、周りは誰も興味を示してくれなかったけど、自分の中でちょっとしたGSブームじゃないけど、変な音楽を聴いて一人で楽しむ時期があって。そういう時に色々と出会って聴いてたんですけど、2、3年くらいで飽きちゃって、しばらくは聴いてなかったんです。音楽自体を全く聴いてない時期もあったし。近年は色々なコンピレーションとか出てるので、頑張ってレコードをあさらなくても結構面白い音楽が簡単に聴けるので。むしろ、キノコホテルを始めた頃から今に至るまでは、逆に聴かなくなってしまいました。――音楽以外にも、ファッションだったりインテリアだったり、当時の文化自体が好きなんですか?
マリアンヌ東雲:あの時代そのものにタイムトリップしてみたいです。特にGSとか歌謡曲が好きというよりは、ああいった音楽もあの時代の流れの中だったから面白かったんだと思うんですよね。「じゃあ、なんで今やってんの?」だとか言われたりする事もあるけど、別になぞってそのままやってるつもりはないんで。ただ、自分が生まれるずっと前の事だし、これからも2度とああいう時代は来ないじゃないですか。あの時代に対する絶望的なまでの憧れというか、悔しくて仕方が無い、みたいな気持ちをもっている時期はありました。ファッションでもインテリアでも、当時の映画に出てくる主人公が住んでる部屋とか、ホテルのラウンジとか、ゴーゴークラブみたいな所とか。街の風景一つとってみても、ものすごく新鮮で「この景色の中に入りたい」という感覚は結構、子供の頃からあって。――逆に、現代の歌詞に対して違和感を感じることは無いですか?
マリアンヌ東雲:感じますね。上手く日本語を当てられないからって、安易に英語を使ったり。もっと前からあるかもしれないけど、そういう音楽が大々的に流行るようになったのは、90年代前半ぐらいからだと思うんですけど、私的にはすごく格好悪いと思ってしまう。最近の「私はここにいるよ」みたいな歌もすごく嫌です。「だから、なんなんだよ?勝手にいればいいじゃん」みたいな(笑)。――「ケータイ世代が歌詞に共感」などといった宣伝文句をよく目にしますが、自立した個人が感情を共有するのではなく、現実逃避的な自己陶酔に思えてしまうんですよね。時代や世代を超えて歌い継がれることはないかと。
マリアンヌ東雲:嫌ですよね。共依存傾向というか、最近の十代はそういうの好きなのかもしれないけど、私は薄ら寒いなと思っちゃう。むしろ若い子から見たら、キノコホテルなんかが逆に薄ら寒いのかもしれないけど。今は「私はこんなに愛してるのに!」みたいな、「わたしわたし」的な歌が多い気がします。昔の歌謡曲ってストーリー性があったり、映画のワンシーンみたいだったり、情景がパッと浮かんでくる、もっと引いた第三者的な乾いた視点から歌ってる詞が多かったように思うんだけど。自分がそういったものを書けているかと言うと、それは分からないですけど、共感を覚えるのはやはり後者であって。――「真夜中のエンジェル・ベイビー」のミュージックビデオのアイディアはどのように決まったんですか?
マリアンヌ東雲:監督に希望を聞かれた時に、「大体こんなのがいい」って伝えて。今回は、私とベースのエマニュエルが、「私がブリブリの格好して、立場を逆転させたら面白いわね」という何気ない話をしていたのが発端です。普段「着ろ」と言われたら絶対に嫌ですけど、私がああいう格好で出てくるとはまず考えないですよね、誰も。私のイメージから1番かけ離れたことをしてみたかったの。結果、セットも予定より大掛かりになったので監督は結構困ってたみたいですけど、「こういうのじゃないと嫌なの!」と言って、強引に進めてもらった(笑)。