バシー海峡の戦没者の遺体が漂着し、地元住民が遺骨を埋葬したとされる海岸(2025年3月、台湾・屏東県で)=園田将嗣撮影

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 【台北=園田将嗣】日本政府が7月にも、太平洋戦争中にバシー海峡で戦死した旧日本軍兵士らが漂着したとされる台湾南部の海岸で、遺骨発掘調査を行う方向で最終調整していることがわかった。

 複数の政府関係者らが明らかにした。台湾での遺骨収容は、日本と台湾の外交関係がないことから遅れてきた。遺骨の発掘は約半世紀ぶりとなる。

 発掘調査は7月下旬頃に台湾南部・屏東県の海岸で、厚生労働省から事業の委託を受ける一般社団法人「日本戦没者遺骨収集推進協会」が約2週間行う見通しだ。

 調査の対象となるのは、台湾とフィリピンの間に位置するバシー海峡周辺で米軍に撃沈された日本の艦船から、屏東県に流れ着いた兵士らの遺骨だ。多くの艦船が撃沈されたバシー海峡は「輸送船の墓場」と呼ばれ、計10万人以上が犠牲になったとされる。

 政府関係者らによると、屏東県の恒春半島には多数の遺体が漂着したと現地では伝えられてきた。台湾在住の日本人が独自で調査し、台湾の住民らによる火葬や埋葬に関する証言などを集めた。同協会は昨年、現地で聞き取りを行い、信ぴょう性が高いと判断した。日台関係が良好で、台湾側の協力を得られることも発掘調査を行う要因となった。

 発掘調査では、遺留品などから遺骨が日本人である可能性が高いとみられる場合、検体を日本に持ち帰ってDNA鑑定を実施する。火葬の影響など遺骨の状態によっては検体を持ち帰るのを見送る可能性もあるという。戦後80年が経過して遺族が減り、身元の特定は容易ではないとみられる。

 厚労省によると、台湾での戦没者の遺骨発掘は、日台断交から間もない1975年頃に行われて以来となる。当時は日本政府が対台湾窓口機関に委託し、屏東県の墓地に仮埋葬されていた遺骨242柱を収容した。台湾南部・高雄の沖合で、兵員を輸送中の船団が潜水艦の攻撃を受けて沈没した際の犠牲者らだった。

 日本政府はこれまで、沈没した艦船などに残る「海没遺骨」や、遺体の漂着後に埋葬された遺骨の調査をほぼ行ってこなかった。戦没者の遺骨収集に関する政府の有識者会議のメンバーである、帝京大の浜井和史教授は「外交上の理由から高い壁があった台湾での発掘調査が行われることは新しい取り組みで、大きな意義がある」と話している。