半導体工場・データセンター建設で需要増…鹿島や大林組ではない、専門工事業者「サブコン」5銘柄の実名

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受注大幅増でうるおう専門工事業者「サブコン」

「ゼネコン」と呼ばれる建設業があります。鹿島建設(東プ:1812)、大成建設(東プ:1801)、大林組(東プ:1802)、清水建設(東プ:1803)などの大手企業のことで施主(発注者)から直接工事を請け負い、設計・施工・管理まで全体を統括します。安全・工程・品質の責任を負い、数百億円規模の大型工事もこなします。

「ゼネコン」の仕事を支える企業が「サブコン」です。Subcontractorの略で、電気、通信、水道、空調など特定の専門分野に特化した会社を指します。専門工事業者とも呼ばれます。ゼネコンから下請けとして仕事を受け、実際に現場で作業する「職人集団」のような存在です。1つの工事に数十社ものサブコンが関わることも珍しくありません。

サブコンの事業環境は非常に好調です。半導体工場・データセンター建設、再開発、インフラ更新などの旺盛な需要を背景に、受注が大幅に増加しています。

旺盛な需要は業績の裏付けになるでしょう。その恩恵を受ける「サブコン」銘柄をご紹介します。

関西電力グループにルーツを持ち、海外でも活躍

電気設備工事のトップクラス:きんでん(東プ:1944)

1944年に「近畿電気工事株式会社」として設立され、関西電力グループにルーツを持ちます。サブコンの中でも特に電気設備工事のトップクラスです。設計から施工、保守までワンストップで請け負う「総合力」が強みです。その施工実績は関西にとどまらず、東京ミッドタウン日比谷やGINZA SIXなどの有名施設、半導体工場・データセンター、インフラ整備にも多く関わっています。海外では90カ国以上に実績があります。

2026年のGW明けからは株価が下落基調にありますが、それに伴いPERが20倍を切る水準になり、過熱感が薄れてきたと感じます。株価の下落理由の一つは、大株主である関西電力が保有するきんでん株の一部をきんでんの自社株買いとして実施し、1株6,677円で買うことです。いわば、きんでんが一時的に適正な株価は6,677円と公表したようなもので、このプライス程度までの下落は仕方ないでしょう。10年以上連続増配中で、2027年3月期は特別配当年間100円を加えて1株240円配当を予定しており、配当利回りにおいて魅力的な水準になっています。

きんでんと並ぶ電気設備工事2強の一角:関電工(東プ:1942)

1944年に東京電力系の企業として設立された電気設備工事企業です。事業内容もきんでんとほぼ同様です。東京スカイツリー、新国立競技場、東京ミッドタウンなどの大型プロジェクトや、首都圏再開発、半導体工場・データセンター建設で数多くの施工実績があります。

株価の動きもきんでんと同様でGW明け以降は下落基調です。関電工には現時点で記念配当予定がないので、配当利回りではきんでんに見劣りします。

工事以外に企業向けシステムの構築・保守・運用も

通信インフラ工事大手:エクシオグループ(東プ:1951)

1954年に「協和電設株式会社」として創業し、NTTなどの通信事業者向けに通信線路・設備工事を手がけてきました。2021年に現社名に変更しています。日本株市場に詳しい方であれば、変更前の社名である「協和エクシオ」の方がなじみがあるかもしれません。

5G基地局、光ファイバー、データセンターなどの通信設備の企画・設計・施工・保守が主力事業で、NTT以外の通信業者の仕事も手掛けます。

インフラ工事の大手でありながら、通信ネットワークシステムから、製造業向けの基幹システム、教育・医療系アプリケーションまで、各種企業向けシステムの構築・保守・運用もてがけ、この分野での売上高がグループ全体の売上の約3分の1です。「工事業者」だけではない企業です。

2000年代からはM&Aを積極的に行って、人材、顧客を獲得しています。

10年以上連続増配中です。

「クリーンルーム」の構築力に強み

空調設備工事の国内トップ企業:高砂熱学工業(東プ:1969)

建築物には空調設備が不可欠です。その空調設備工事でトップシェアを持ちます。また保有する特許数が業界1位です。オフィスビル、商業施設、ホテル、病院などの一般設備から半導体工場などのクリーンルーム、精密温湿度制御が必要な研究施設、データセンターなど産業設備まで広い分野を手掛けます。単なる工事会社にとどまらず、ビルの省エネ化(脱炭素・ZEB化)や、宇宙環境での水素製造といった最先端の環境技術の開発にも力を入れています。

同業他社との技術的な最大の差別化ポイントが、半導体や医薬品工場に使われる「クリーンルーム(超清浄空間)」の構築力です。空気中のチリや温度・湿度を1ミリの狂いもなく制御する技術は業界随一で、近年の国内における半導体工場の新設ラッシュの恩恵を最も受けている企業の一つでしょう。

19%前後という高いROEでありながら、実質無借金であり、健全な財務体質であることにも触れておきます。

三井物産を母体とする「設備のプロ集団」

建物・生産・環境のインフラをトータルで支える:三機工業(東プ:1961)

1925年(大正14年)に三井物産の機械部を母体として創業し、1949年に設立された建築設備工事の総合エンジニアリング企業です。空調・衛生・電気設備を中心に、機械システムや環境システムまで幅広く手がける「設備のプロ集団」です。

主力の建築設備事業では、オフィスビル、商業施設、病院などの空調・給排水衛生・電気設備の設計・施工・保守を行っています。産業空調では半導体工場やEV電池工場向けの精密クリーンルームに強みを持ちます。

他の柱は、物流システム、搬送機器(コンベヤなど)、FA(ファクトリーオートメーション)システム、空港手荷物ハンドリングなどを手掛ける機械システム事業、上下水道処理施設、廃棄物処理設備、産業用環境プラントを手掛ける環境システム事業です。

2026年4月末に1:3の株式分割を実施し、買いやすくなりました。

過去数年、8月ごろに自社株買いを発表しています。実質無借金企業であり、2026年夏頃に自社株買い発表が期待されます。

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いずれの企業も受注環境は良好ですが、「ゼネコンが全体をまとめ、サブコンが専門技術を提供する」分業体制に変化が見え始めています。理由は人手不足です。2024年4月から始まった建設業の残業時間上限規制が人手不足に拍車をかけ、ゼネコンから依頼された「仕事を断る」ケースも増えているとの報道があります。

「サブコン」側から見れば価格交渉力が高まり、利益率が改善している追い風はあるものの、もろ手を上げて喜べる状態でもないでしょう。今後のサブコンは人手不足に対応するためのDX推進と省力化工法の開発が業績を左右するようになるでしょう。株式を保有するにしても、四半期決算を追いかけるぐらいの監視は必要と考えます。

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