個人事業主になってから、初めてふるさと納税をしようか検討している方も多いでしょう。実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れるお得な制度ですが、上限や手続きなど注意が必要なポイントもあります。今回は個人事業主の方が押さえておきたい、ふるさと納税のメリット・注意点・上限額の目安などを紹介します。

※画像はイメージ

個人事業主の節約方法としてふるさと納税は王道

ふるさと納税では、2,000円を超える寄付をすると、その金額に応じて税金の控除を受けられます。実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れる制度として人気があります。

その他に税金の控除を受けられる方法として、小規模企業共済やiDeCoなどがあります。ふるさと納税とも併用できるため、さらにお得です。

個人事業主がふるさと納税をするメリット

ふるさと納税をすることには、以下のようなメリットがあります。

○寄付する自治体は自由に選べる

「ふるさと」と名前についていることから、自分にゆかりのあるエリアしか選べないと思われることもありますが、寄付先に地域的な制限はありません。

北海道から沖縄県まで、自分が希望する自治体を選ぶことができ、複数の自治体に寄付することも可能です。

○返礼品で節約もできる

ふるさと納税の返礼品というと、いくらやうなぎなど、豪華な商品が多いと思うかもしれません。しかし実際には以下のように、日常生活で使える商品も数多くラインナップされています。

豚肉・鶏肉・牛肉

鮭・サバなどの魚

トイレットペーパー・ティッシュペーパー

食品は個別で冷凍されているものも多く、ある程度長期で保存ができます。返礼品を上手に活かせば、日常生活での節約にもつながります。

個人事業主がふるさと納税をするときの注意点

個人事業主の方がふるさと納税をする場合、以下の3点には注意が必要です。

○ワンストップ特例制度は利用できない

会社員は、ワンストップ特例制度によって、5つの自治体までなら確定申告をしなくて済みます。しかし、個人事業主は利用できないため、確定申告でしっかり申告する必要があります。

○控除上限額を超えると自己負担が増える

ふるさと納税には、控除対象となる寄付額の上限があります。上限を超えた分は控除対象にならず、自己負担となります。

控除上限額の範囲内であれば自己負担は2,000円のみですが、超えた分についてはそのまま自己負担になるため注意しましょう。

○控除上限額を把握しづらい

個人事業主の場合、年によって収入が大きく変動するケースも珍しくありません。ふるさと納税の控除上限額は所得によって変動するため、いくらまで寄付できるのかがわかりにくいこともあります。

少し手間はかかりますが、毎年シミュレーションを行うことがおすすめです。

2026年版・控除上限額シミュレーション

ふるさと納税では、自分がいくらまで寄付できるかを把握することが重要です。ここでは、控除上限額の目安や具体例を紹介します。

○控除上限額の目安

ふるさと納税の控除上限額は、住民税所得割額などをもとに計算されます。一般的には、住民税所得割額の20%前後が一つの目安とされています。

住民税所得割額は、自治体から毎年5〜6月頃に送付される「住民税決定通知書」で確認できます。

ただし、あくまで前年を基準とした判断方法であり、今年の所得が大きく異なる場合は注意が必要です。

○控除上限額の具体例

計算式そのものは非常に複雑なため、ここでは代表的な控除上限額の例を紹介します。

年収300万円:独身:2万5,000円、夫婦:1万6,000円

年収400万円:独身:3万9,000円、夫婦:3万円

年収500万円:独身:5万7,000円、夫婦:4万5,000円

年収700万円:独身:10万4,000円、夫婦:8万1,000円

上記の夫婦は共働きではなく、子どももいない場合です。また、年収は給与収入であり、個人事業主の場合は異なるため、あくまでおおまかな目安として捉えてください。

【2026年新常識】ポイント付与禁止で変わった「ポータルサイト選び」

ふるさと納税では「ふるさとチョイス」「さとふる」「ふるなび」などのポータルサイトがあります。これまでは、ポイントが多くもらえるサイトを選んでいた方も多いでしょう。

しかし、ふるさと納税でのポイント付与が禁止されたことにより、サイト選びの基準が大きく変わりました。

○ポイント付与禁止とは

2025年10月1日から、サイトが独自に行うポイント還元が全面的に禁止されました。総務省がポイント還元競争を問題視し、制度の健全化を目的として導入した措置です。

サイト独自のポイントだけでなく、マイル、Amazonギフト券などの還元も禁止となっています。ただし、クレジットカード決済時のカード会社によるポイント還元は禁止の対象外であり、引き続きポイントが付与される場合があります。

○どこで寄付するべきか?

ポイント還元での違いがなくなったため、その他の観点でポータルサイトを選ぶ必要があります。具体的には、以下の4つです。

使い勝手

自治体や返礼品のラインナップ

自治体の独自施策

決済の柔軟性

サイトの見やすさ・使いやすさはかなり重要です。自治体や返礼品を簡単に検索できるか、写真が豊富に掲載されているか、説明がわかりやすいかをチェックしましょう。

また、各ポータルサイトに掲載されている自治体や返礼品には違いが見られます。自分が魅力を感じるものが多く掲載されているか判断してみてください。

【個人事業主版】ふるさと納税の具体的な手順

ここではふるさと納税を行う手順を見ていきましょう。

ポータルサイトに会員登録をする

控除上限額を把握する

サイト上で寄付を申し込む

返礼品が届く

寄付金受領証明書を保管する

確定申告書を作成する

確定申告書を提出する

○ポータルサイトに会員登録をする

ポータルサイトに会員登録をしてログインをします。会員登録だけであれば、料金はかかりません。

メールアドレス、またはAmazon・楽天・Yahoo!などのIDを使って登録することも可能です。登録を済ませるとマイページを利用でき、寄付の履歴や返礼品の配送状況を確認できます。

○控除上限額を把握する

寄付をする前に控除上限額を把握しておきましょう。ポータルサイトには、控除上限額をシミュレーションできる機能があり、無料で利用できます。

社会保険料、生命保険料、地震保険料などの情報を手元に用意しておくと、より精密なシミュレーションが可能です。

○サイト上で寄付を申し込む

寄付したい自治体や、入手したい返礼品をサイトで調べて、寄付先を決定します。ほとんどの自治体はサイト上で申し込めますが、一部の自治体は電話などの窓口でも対応しています。

サイトから寄付を申し込むと、クレジットカードなどのキャッシュレス決済、コンビニ支払いなどで決済できます。クレジットカード会社によるポイント還元を受けられる場合もあるため、支払い方法も確認しておきましょう。

○返礼品が届く

返礼品がいつ届くのかは、品物によってさまざまです。申し込みから発送までは1〜2カ月程度が目安ですが、人気の返礼品の場合は3〜4カ月以上待つことも珍しくありません。

また、年末はふるさと納税の駆け込み需要が発生するため、さらに時間がかかる傾向です。

○寄付金受領証明書を保管する

自治体から返礼品とともに、寄付金受領証明書が送られてくるので、手元に保管しましょう。確定申告の時期が来たら、証明書の記載内容をもとに、確定申告書を作成・提出します。

○確定申告書を作成する

確定申告書でふるさと納税の情報を入力するのは、確定申告書Bの第一表にある「寄付金控除」の欄です。記入する金額は、寄付金額から2,000円を差し引いた金額です。

なお、ふるさと納税以外で寄付をした場合、それも含めた合計金額を記入します。

○確定申告書を提出する

確定申告では紙での提出の他に、e-Tax(電子申告)も利用できます。e-Taxの利用者は年々増加しており、税務署へ出向かなくても提出ができるのでおすすめです。

マイナンバーカードなどを手元に用意して進めましょう。

ふるさと納税の仕訳の記入方法は?

ふるさと納税に関して、会計でどのように処理すべきかを解説します。

○「事業主貸」を活用する

事業用の口座から支払った場合、以下のように仕訳を行います。

借方:事業主貸 30,000円 貸方:現金・預金 30,000円

一方、プライベートの口座から支払った場合、仕訳を行う必要はありません。

○経費にはならない

ふるさと納税は、経費扱いにはならないことに注意しましょう。事業への関連性がないため、必要経費としては認められません。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら