動き出した「皇室典範改正」 議論の行方を最も注視する「女性皇族」と宮内庁の本音
まとまらない中道改革連合がようやく、皇族数の確保について政府有識者会議が示した2案を認める党見解をまとめた。現在の皇室典範は、皇位継承を「男系男子」に限定し、未婚の女性皇族は一般男性と結婚後に皇籍を離脱、そして養子を迎えることを認めないと定められている。中道の党見解は、女性皇族が結婚後も身分を保持でき、旧宮家出身の男系男子を皇族の養子とする案を容認する、与党と同様のものとなった。これにより高市早苗首相が意欲を見せる、今国会中の皇室典範改正が加速する。では、宮内庁や当の皇族は、この動きをどう思っているのだろう。
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中道の小川淳也代表はかつて「女性天皇を生きているうちに見てみたい日本人の一人だ」と発言したこともあった。だが、結局、党見解案には、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下という皇位継承の流れを「ゆるがせにしてはならない」と明記された。世論調査では国民の9割が期待する「愛子天皇」の実現は遠ざかったようだ。皇室記者は言う。

「そもそも安定的な皇位継承を目指す議論が高まったのは、小泉純一郎政権の時でした。1965年の秋篠宮文仁親王の誕生以来、皇室では40年も男性皇族が誕生していなかったためです。2005年に皇室典範に関する有識者会議が17回にわたって開かれ、女性・女系天皇を容認する報告書がまとめられたため、愛子さまシフトで皇室典範改正が進められるはずでした。ところが、06年に秋篠宮妃紀子さまのご懐妊が明らかになり、改正案の国会提出は見送られたのです」
この年の9月に誕生されたのが41年ぶりの男子皇族となる悠仁親王であり、皇位継承順位は父・秋篠宮に次ぐ2位となった。
「ゆるがせにしてはならない」
「そして再び議論の俎上に乗ったのは、上皇陛下が天皇を生前退位するに当たり2017年に天皇退位特例法(天皇の退位等に関する皇室典範特例法)が定められ、安定的な皇位継承を検討するよう附帯決議として求められたためです」(皇室記者)
それが今の皇位継承問題に繋がるのだが、
「令和における議論は、皇位継承のあり方そのものには踏み込んでいません。議論されているのは、皇族数の確保策だけと言っていいでしょう」(同)
なぜだろうか。
「付帯決議を受けた有識者会議が“悠仁様までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない”としたからです。その報告書をベースに、国会で皇室典範改正の議論が進んでいるわけです」(同)
中道がまとめた党見解は、それに沿うものだった。
「宮内庁は皇位継承の不安定さを訴えてきたわけですが、その議論が避けられているため、不安定な状況は改まりそうにない。そのため、しかるべき立場の人たちは“本質を避ける議論だ”と呆れています」(同)
80年も皇族を離れた旧宮家
ただし、喧々囂々(けんけんごうごう)と皇位継承順位論争を戦わせることができない事情もある。
「宮内庁としては、皇位継承を一番にやってもらいたいというのが本音でしょう。とは言っても、“愛子天皇待望論”があることは知りつつも、悠仁さまが現行の皇室典範下で皇位継承者である以上、その流れを覆すことは国論を二分しかねません。皇位継承のあり方を議論することは、どうしても悠仁さまや愛子さまといった具体的な人物をイメージしてしまうので、議論がしにくいと思っているはずです。当のお二人にしても、自身に対する国民の評価となるわけですから、酷な話です」(皇室記者)
だからといって、旧宮家の男系男子を養子に迎えるという案が可能なのだろうか。
「旧宮家と言っても、1947年に離脱した11宮家は80年近く一般人だったわけです。そういう人が皇室に加わることに国民の理解が得られるのか、という声もある。養子に入る人のスキャンダル、身辺調査も徹底的に行われるでしょうし……」(同)
尊敬の念を欠いている
皇室典範改正が女性皇族に与える影響を報じたのは朝日新聞だ。
《自らの将来の立場がどうなるのか、皇族方は期待や不安が入り交じる中で公務に向き合っている。中には、結婚を想定した相手がいながら、宮家の今後を見据え、議論の行方を見守っている方もいると聞く。》(朝日新聞5月5日付)
「この“見守っている方”とは、高円宮家の承子(つぐこ)さまのことでしょう。40歳になられた承子さまは、10年にわたり交際されているお相手がいることが報じられていますが、現行の皇室典範では女性皇族は結婚すれば宮家を離れなくてはなりません。母親の久子さまは高円宮家が途絶えることを気にかけており、承子さまも皇室典範改正の動きを見守っていると聞きます」(皇室記者)
デイリー新潮は3月8日配信の「高円宮家『承子さま』が40歳に 高まる存在感 “10年彼氏”と『鳥貴族』デート 母・久子さまとの絆も深く…」で、仲睦まじいお二人の様子を報じているが、女性皇族だって決して多いとは言えない状況だ。皇室に生まれた女性皇族は現在わずか5人である。
「宮内庁のある幹部は『皇室の方々の生き方に関わる課題が宙ぶらりんのままだ。皇室に対する尊敬の念を欠いているのではないか』といったことを口にしたそうです」(同)
宮内庁の黒田武一郎長官は4月23日の定例会見で「何らかの制度改正がされた場合は、皇室の方々のお気持ちを十分に踏まえながらできる限り対応をしていく」と述べている。
「皇室と言うからには、そこには陛下も含まれているわけです。陛下のお気持ちを政府や内閣官房に伝えていきたいという宮内庁長官の決意表明ですね」(同)
天皇陛下はお気持ちを表明されるのだろうか。
「お気持ちは忖度するしかないでしょう。皇室の方々、特に陛下は、物事に対するご自分の意思について、白黒をハッキリつけてはいけないものですから」(同)
デイリー新潮編集部
