【A4studio】手がけたテーマパークが続々と苦境に…森岡毅氏・刀「失敗続き」の要因となった「最大の弱点」と改善点とは【専門家解説】
「刀」が新たなテーマパークを手がける?
2010年、当時経営危機にあったテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(以下、USJ)のマーケティングを主導し、業績をV字回復させたことで、高い評価を集めた森岡毅氏。
USJ内の「ハリー・ポッター」エリアの開業や、「進撃の巨人」、「鬼滅の刃」といった人気作品とのコラボレーションを次々と成功させ、“伝説的マーケター”として一躍注目を浴びた。
その後、森岡氏はUSJから独立し、2017年にマーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立。「ネスタリゾート神戸」や「西武園ゆうえんち」、「ハウステンボス」など、数々のテーマパークのマーケティングやコンサルタントを担当してきた。
そして2024年には、刀自身がプロデュースする没入型テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」を、お台場ヴィーナスフォート跡地にオープン。しかし、業績不振から、わずか2年で閉業してしまう。
さらに昨年7月には、同社が主導するテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業するも、SNSなどの口コミでは、《つまらない》《入場料と内容が見合ってない》といった厳しい声が相次ぎ、開園当初はパーク内は“ガラガラ状態”だという報道も多数出ていた。
苦戦が続いていると言わざるを得ない刀だが、「週刊文春」によって、神奈川県横浜市旭区に2031年開業予定の大規模テーマパーク「KAMISEYA PARK(上瀬谷パーク・仮称)」に関与していることが報じられた。森岡氏率いる刀は、果たして今後“USJ復活劇”の頃のような輝かしい実績を残せるのか――。
今回はテーマパークや遊園地事情に詳しい日本遊園地学会会長の塩地優氏に、刀のこれまでの実績や、課題について解説してもらった。(以下「」内は塩地氏の発言)
最初に手掛けたネスタリゾートは…
USJをV字回復させた実績から信頼を得ている森岡氏。刀設立以降に手がけたテーマパークについて、具体的にどういった功績を残していたのか。
「テーマパーク関連の事業でいうと、最初に刀が手がけたのがネスタリゾートです。経営破綻した前施設をリニューアルして作られたネスタリゾートは、2018年から刀と協業し、テコ入れを進めました。リニューアル後に一度は減価償却前の営業利益が黒字に転化したものの、その後は赤字続きとなり、共同経営から1年で撤退しています。
また2021年に100億円かけてリニューアルした西武園ゆうえんちも、リニューアル費用の100億円はほぼ減損処理されてしまっています。ハウステンボスに関しても、2010年から運営に携わっていたHIS時代に大きく黒字であったのが、コロナ禍を経て刀が運営を支援してからも、コロナ禍以前より大きく売上と利益率を落としてしまっているのが実情です」
「刀」の最大の弱点と課題
要するに森岡氏が現状成功させたのはUSJ在籍時のUSJ立て直しぐらいで、独立して刀として携わったプロジェクトで、明確に“成功”と言えるような事例はまだないようだ。こうした背景には、刀のどういった弱点や課題があるのだろうか。
「まず刀の最大の弱点となっているのが、テーマパークには欠かせない、ワクワクするような人の心を動かす画期的なアトラクションを生み出せないということです。刀は自らテーマパーク全体のデザインとアトラクションのデザインができると謳っていますが、テーマパークらしいライド系のアトラクションに関しては監督経験がないため、実際には作れないでしょう。
刀が手がけるアトラクションというのは、人が介入するイベント型のもの、または映像を使ったシミュレーション型のものがメイン。他の大型テーマパークと比較すると、どうしても“物足りなさ”が否めないですが、チケット料金などは決して安いとは言えない価格です。こうした点は、テーマパーク全体に対する消費者の期待値や満足度を下げる結果にも繋がっているでしょう」
例えば、ジャングリア沖縄には通常のワンデーチケットのみで楽しめるアトラクションは6つほどで、それ以外のアトラクションに関しては有料チケットを追加で購入するか、抽選に当たらないと体験することができないという。またアトラクションの特徴としては、塩地氏が指摘している通り、エリア内を散策するイベント体験型のものや、座って映像を鑑賞するものなどがメインのようだ。
ちなみに、ジャングリアのワンデーチケットは、パーク利用のみで6300円(大人1名)、併設のスパ施設も利用できるワンデーチケットは8400円(大人1名)となっている。
多数のアトラクションを備える「東京ディズニーランド」のチケット料金が7900〜1万900円だと考えると、確かに強気の価格設定という印象が残る。
人員コストが高いという課題
さらに塩地氏は、刀のこんな課題も指摘する。
「刀が手がけるテーマパークは、キャパシティとコストの設計に課題があるとみていて、例えば刀のテーマパークの特徴として、園内のスタッフやアトラクションの演者など、人員コストが高いことが挙げられます。
しかし、そのコストに見合うだけの客を入れてしまうと、パークのキャパシティをオーバーしてしまうというジレンマがあるのです。このようなパーク設計のミスは、運営においては致命的といえるでしょう」
【つづきを読む】森岡毅氏「刀」が横浜“新テーマパーク”構想にも関与…年間来場者数目標1500万人達成のために「決定的に足りないもの」【専門家が解説】
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