KNB北日本放送

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今月、福島県の磐越自動車道でバスがガードレールに衝突し乗っていた高校生ら21人が死傷した事故では、学校の部活動のバス運行に対する課題が指摘されています。県内の高校ではどのような安全管理を行っているのか、その現場をきょう取材しました。

高岡市にある高岡向陵高校です。

「アルコールチェックお願いします」
「はーい」
「はい 大丈夫です」
「お願いします、ありがとうございます」

きょう午後4時ごろ、教員がマイクロバスを運転する準備をしていました。きょうは女子バスケットボール部の部員たちが、射水市にある練習場所へ向かいます。出発前のアルコールチェックや車内車外の点検など、生徒たちを安全に送り届けるために欠かせない作業です。

「シートベルトした?」 

高岡向陵高校には全部で22の部活動があり、ハンドボールやレスリングなど強豪チームも多くあります。学校はマイクロバスを4台保有していて、遠征や学校外での活動で頻繁に利用します。バスの運転は、主に顧問や外部のコーチが務めています。

記者
「磐越道のバスの事故を受けて、県内の学校でもバスの安全管理について緊張感が高まっています」

高岡向陵高校 宮袋校長
「(磐越道事故を受けて)率直に本当に大変な事故が起きたなと」

高岡向陵高校では、バス会社の規定を参考に2023年に独自の運行管理規定を作りました。運転する人1人あたりの走行距離や休憩回数などを定め徹底しています。また安全管理を主な仕事にする職員を配置し、バス運行後にも安全管理者が点検を小まめに行います。

記者
「これが記録簿になるんですか?」 
教師
「こちらが運行の予定表になります。5月のまとめたものになっていて、こちらが実際に運行・運転の報告書、運転前と運転後に書くような形になっています」

運転報告書には、運転手の名前や出発時間、アルコールチェックの結果などを記入し、第三者が確認する形をとっています。磐越自動車道で起きた高校部活動の遠征バス事故を受けて、今月11日には運行規定の一部を改定したり、規定とマニュアルに分かれていたものを合わせて一元管理するなど、安全対策の強化を進めています。

高岡向陵高校 宮袋校長
「100%防げるということはないんですけども、限りなく事故を起こる可能性をいかに少なくできるかということが、我々としての、特に未来ある生徒を預かっている教育現場の者としては、そこの努力はしないといけない」
「事故を防止する意識を高く持たなきゃいけないというのは、改めて感じたところです」

今回、磐越道で起きたような事故の再発防止に向けて現時点での県内各高校の動きをまとめました。
まず県立高校です。今回の事故を受けて県教育委員会は、部活動での運行をどのように行っているか各高校の実態調査を行う方針です。
一方、私立高校を管轄する県の学術振興課は、各校に対して安全管理の適切な見直しを呼びかけた一方で、調査をするかどうかは未定としています。
KNBは、VTRで紹介した高岡向陵高校をはじめ県内の私立高校10校の対応を取材しました。
特徴的な安全対策としては…
・富山第一高校は、学校に安全管理者を置きバスの運行記録をデジタル化して確認しています。
・龍谷富山高校や富山国際大学付属高校では、遠方へ遠征する時に運転手を複数人乗せて交代で運転しています。
・不二越工業高校や片山学園高校では、貸し切りの観光バスで移動することもあるということです。
また今回の事故を受けて、不二越工業高校や高岡第一高校、高岡向陵高校はバス運行のルールを強化するよう学校内で協議を進めています。

一方で県内のバス会社が、今回の事故をどう受け止めているのか、そして運転手の体調を万全に整える取り組みなど、安全対策の今をお伝えします。

富山市にある富山地方鉄道のバスの営業所です。上口享宏所長は今回のバス事故に衝撃を受けたと話します。

富山地方鉄道 上口享宏所長
「今回の事故はレンタカーで業界的には違うが、今回のような死亡事故は大変ショックで、我々の業界とすれば絶対に起こしてはならない。改めて強く感じる」

この会社では中型や大型のバスを30台近く所有していて、県内の学校から部活動の遠征や修学旅行などで運行を依頼されることもあります。会社では、運行記録の確認や車両の点検に加えて、運転手の技術向上など安全性を高めるための意識を強く持っているといいます。

上口享宏所長
「運転手は全員社員で、社員以外に運転させることは100パーセントないが、運転手の技術は定期的な検査もしながら高い水準を保つように努力している」

さらに、運転手の体調を整えるため先月から新たに始めた取り組みも…。

記者
「会社の2階には、バスの運転手がリラックスできる空間が新たに整備されました。さらにこちらには、しっかりと仮眠が取れる個室も設けられています」

リニューアルした休憩室には仕切り付きの机のほか、2台のマッサージチェア、さらに仮眠ができる男女別の個室を設けました。

上口享宏所長
「バス乗務員の待遇改善、バス運転手のなり手が少ない中で、こういう場を提供して、なってみようという方がいてくれれば」

今から14年前、2012年に群馬県の関越自動車道で起きた高速ツアーバスの事故では高岡市の女性3人を含む乗客7人が死亡しました。運転手の居眠りが原因とされたこの事故をきっかけに国は、バスの運行の安全基準を強化しました。上口所長は、安全を守るために運転手の状態を把握することなど、普段からの取り組みが欠かせないと言います。

上口享宏所長
「私たちは安全を売る商売ですので、大前提となるドライバーの負担を少しでも和らげて、安全を提供していきたい」

今回の部活動バスの事故では、事故の後になってずさんな対応や管理の実態が次々と明らかになっています。
このような事故が繰り返されないよう、県内でも学校やバス業者それぞれの安全管理のいっそうの徹底が必要だと感じます。