“非エリート”渡辺剛の逆襲 恩師が明かす転機となったDFコンバートと24歳の欧州挑戦
【北中米W杯 日本代表選手の恩師を総直撃】
伊東純也〈前編〉 物静かなイナズマはオランダの英雄ヨハン・クライフに憧れていた(元甲府監督・佐久間悟)
DF渡辺剛(オランダ1部フェイエノールト/29歳)
遅咲きDF渡辺剛が25年のブラジル戦、3月のイングランド戦に先発出場して勝利に貢献するなど、ケガ人続出のDF陣の中で存在感を増している。山梨学院高2年次にCBにコンバートした吉永監督に北中米W杯での期待感を聞いた──。
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──埼玉から山梨学院高に越境した経緯は?
「FC東京U-15出身者が過去にも何人か来ているんですが、その流れで夏休みに練習参加してくれました。11対11のゲームで中盤に入って『声変わりもしていない高い声でよく指示を出しているな』と感じました。小さくて目を引くような選手ではなかったのですが、前向きで雰囲気を明るくしてくれた。『この子はうまくなるんじゃないか』と直感しました」
──横森巧総監督との出会いもありました。
「1年で身長が20センチ伸びて大きくなり、ヘディングにこだわりを持っている横森総監督から、よくレクチャーを受けていました。剛も備品のペンデルボールを吊るして自主練をよくやっていた」
──高2の時にMFからCBにコンバート。
「幅広く360度を見ながらプレーするボランチよりも、180度の視野に集中するCBの方が良さを発揮できると判断しました。3月のイングランド戦で身長194センチのマグワイアと激しい空中戦を演じていましたが、コンバートは正しかったと思います」
──中央大から古巣のFC東京入りした。
「守備に関しては悪くはないけど、ボールを持ち出してビルドアップする部分は、自信なさげにやっていた。まだ安定しないという印象でしたね」
──2021年に欧州にチャレンジした。
「サッカー人生が劇的に変化しました。異国でプレーするのは容易じゃない。環境に適応しながら結果を残さなければいけない中、剛は本当の意味で自立し、今のたくましさが身についた。ブラジル戦でもイングランド戦でも萎縮したり、不安げだったところは一切なく、勇敢なプレーヤーに変貌を遂げていた。本当に頼もしく思いました」
「挫折を繰り返し…」
──W杯本大会でも十分にやってくれそうだ。
「剛はエリートではないし、挫折を繰り返してここまでたどり着いた。それは(高校)1学年下の大然(FW前田=セルティック)も同じ。2人揃ってW杯のピッチに立ってくれれば理想的です。山梨学院の関係者も喜びますし、僕自身も剛と大然の2人が、日本の躍進に貢献してくれることを切に願っています」
(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト)
※ロングインタビュー版は日刊ゲンダイDIGITALで公開中。関連記事から要チェックだ。
▽わたなべ・つよし 1997年2月5日生まれ。埼玉・越谷市出身。J・FC東京下部組織から山梨学院大付属高に進学。MFからCBにコンバートされて頭角を現し、中央大を経て2019年にFC東京入り。21年にベルギー1部コルトレイクに移籍。同1部ヘントを経て25年7月、オランダ1部の名門フェイエノールトに引き抜かれた。19年12月に日本代表初招集・初出場。3月の英国遠征2試合に出場した。身長186センチ・体重78キロ。
▽よしなが・かずあき 1968年3月17日生まれ。福岡・北九州市出身。福岡大卒業後、J鳥栖のコーチなど歴任。2009年から山梨学院大付属高サッカー部コーチ。10年から監督。16年にJ甲府コーチ。17年から新潟シンガポール監督。J新潟の監督、新潟シンガポールのGM、監督を経て現在は中国サッカー協会大連地区トレーニングセンターのトレセンダイレクター。
