レクサス新規モデル『TZ』世界初公開の現場で分かった、プレスリリースから読み解けない事実 プラットフォームはEV専用に非ず
『そこそこ大きなクルマ』という印象
5月7日、レクサスの新規EV『TZ』のワールドプレミアがトヨタ・テクニカルセンター下山で行われた。
【画像】レクサス新規EVモデル『TZ』、トヨタ・テクニカルセンター下山で世界初公開! 全33枚
発表の模様はYouTubeでライブ配信されており、トヨタのチーフ・ブランディング・オフィサーのサイモン・ハンフリーズ氏が世界市場に向けた英語のプレゼンテーションが和訳付きで公開されている。

5月7日にトヨタ・テクニカルセンター下山で初公開された、レクサスの新規EV『TZ』。
トヨタ自動車
実は、その後にTZのチーフエンジニアと担当デザイナーによる技術解説や、部品やホワイトボディを見ながらTZに導入された様々な技術について、それぞれを担当するエンジニアと意見交換する場が設定されていた。
こうした流れの中で、筆者はプレスリリースからは読み解けないTZに関する事実を確認することができた。
では、発表会見の現場で感じた、TZの注目ポイントについて紹介していきたい。まず、大きさだ。
ハンフリーズ氏のプレゼンの中に登場したTZは、『そこそこ大きなクルマ』という印象だ。ところが、開示されたデータを見ると、全長5100mm、全幅1990mm、1705mmと、かなり大きなSUVである。
コンセプトモデルであれば、このくらいのサイズがないと存在感がないし、また北米市場向けとすればミッドサイズSUVのイメージなので、決して大き過ぎるとは言えない。
しかし、TZは日本でも今年冬頃に発売予定であることが明らかになっており、日本の道路環境下での実用性が問われる商品である。
ラウンジとして上質なエクステリアとインテリア
そんな日本市場では大型SUVに属するTZの商品コンセプトは、『ドライビング・ラウンジ』。
ラウンジ感はエクステリアデザインでもはっきり見て取れる。興味深かったのは、担当デザイナーが実際にTZのラフスケッチをその場でしてみせたことだ。ベースの要素は、3列シートとホイールベース(3050mm)。ここからボディを下から上に積み上げていくように描いていく。

ダッシュボードは水平基調で、インパネ類も上質な薄さを感じさせる仕立てとなっている。 桃田健史
具体的には、EVであることでフロントショートオーバーハング(1000mm)とし、リアオーバーハング(1050mm)は荷室の広さと全体プロポーションとのバランスを取った。
さらにボディのウエストラインや、ルーフなどのイメージや角度、存在感を強調するホイールアーチ形状などを考慮していくという流れだ。
また、大きなSUVとして電費を考慮して空気抵抗を減らし、セダン並のCd値0.27を実現している。
インテリアについては、まさにラウンジを実現。シートがシートバックでの意匠と安全性のバランスにより見た目として薄くて上質という印象をもたせた。
ダッシュボードは水平基調で、インパネ類も上質な薄さを感じさせる仕立てとなっている。センターコンソールのシフト類などは特殊なデザインではなく、シンプルさの中でのラグジュアリー感を印象付けた。
自慢のオーディオは、マーク・ロビンソンによりレクサス史上で屈指の没入感あふれるサウンド空間を目指した。実際に車内で聞いたが、後席重視のモードだと空間全体に音が上手く広がる。
あえてEV専用プラットフォームを採用せず
さて、プラットフォームについてだが、発表前の段階では報道陣を含めてユーザーの中にもEV専用を想像した人が多いだろう。
つまり、『トヨタbZ4X ツーリング』や『スバル・トレイルシーカー』と共通性が高いという発想だ。これら2モデルが発売開始されてからTZが今回登場したことで、そんなイメージを持つのは致し方ないかもしれない。

TZはEV専用ではない、『GA-Kプラットフォーム』を採用する。 桃田健史
だが、実際にはトヨタがいうマルチパスウェイプラットフォームのひとつ、『GA-Kプラットフォーム』を採用している。
今回、量産型の『ES』も実車を詳しく見たが、こちらもGA-Kプラットフォーム。ただし、ESにはEV(FWDとAWD)のほかにHEV(ハイブリッド車)の設定があるが、TZはAWDのEVのみを設定している。
さらにTZを詳しくみると、バッテリーはスタンダードモデルが76.96kWhで、航続距離がより長い『ロング』では95.82kWhを搭載。どちらも、いわゆる三元系のリチウムイオン電池であるが、ロングはバッテリーのセルやモジュールが新設計となっている。
さらに、フロントモーターは最大出力167kWの1種類だが、リアモーターはフロントと同じ167kW以外に88.3kWの仕様が用意されている。
レクサスは『2035年までに、全ラインナップでEVを導入する準備を進めている』としているものの、モデルによってEV専用、またはマルチパスウェイプラットフォームを使い分ける戦略であることが今回、改めて分かった。
