ウクライナ国旗色の和菓子を作る谷川イリーナさん=2026年3月、福井県小浜市

 約200年の歴史がある福井県小浜市の和菓子店で働くウクライナ出身の谷川イリーナさん(38)は、侵攻を受ける同国の家族を案じながら、職人として上達しようと菓子作りに励んでいる。花をモチーフにした和菓子に魅せられたのがきっかけで、研さんを積みコンテストで受賞したことも。ウクライナ国旗色のハート形の和菓子も作り「平和への願いを込めている」と話す。(共同通信=池田紳太郎)

 市中心部の港のそばにある「伊勢屋」は1830年創業。イリーナさんは普段、どら焼きやまんじゅうなどを手がけており、店の代表上田浩人さん(41)は「手先が器用で、努力家」と話す。

 ウクライナ中部チェルカスイ州出身で、米国留学中に出会った日本人男性と結婚し、2015年に小浜市に移り住んだ。

 2017年、伊勢屋であった展示会で初めて和菓子に接した。桜や菜の花、バラをモチーフにした菓子に「材料が同じでも、形や見た目が違って面白い」と感じたという。

 同店の和菓子作り教室にも参加し、職人として働くことに。当初は日本語を話せず悩んだが、見よう見まねで学び、2018年には飲食品メーカー主催のコーヒーに合う創作和菓子をテーマにしたコンテストで最高位のグランプリを受賞した。

 順調に技術を磨いていたさなかの2022年、ロシアがウクライナに侵攻。同国に残る家族とテレビ電話ができなくなった。

 不安を募らせるイリーナさんに、上田さんはウクライナ支援として国旗色の和菓子を作ってみないかと提案。白あんと餅を混ぜた生地でこしあんを包んでハート形にし、チャリティーの茶会などで提供した。今も注文を受けて作っている。

 「ウクライナは幼少期に家族と川遊びなどをした楽しい思い出の地。現在の姿を知るのは怖い」とイリーナさん。家族と連絡は取れるが、今も会えていない。心配な気持ちを抑えながら、勤務時間外でも菓子作りに励む。「和菓子の長い歴史に自分も関われてうれしい。研究して上達したい」

ウクライナ国旗色の和菓子

ウクライナ国旗色の和菓子を持つ谷川イリーナさん(右)と上田浩人さん=2026年3月、福井県小浜市