「撮影禁止」「レンゲは置かない」ルールが多いラーメン店の実力がすごかった…!
とんこつラーメン店ひしめく福岡は、ひとくちにとんこつといっても多種多様なラーメンが食べられる街だ。
そのバリエーションは、差別化によって出来上がったものもあれば、店主の「こだわり」によるものも多い。さらには、こだわりを「どう表現するか」の違いでも店ごとの個性は様々だ。
福岡市城南区、町の中心部にもほど近く、油山などの山や森を有する、ファミリー層に人気の住宅街に、「こだわり」の強いとんこつラーメン店がある。いったいどんな店なのか、実食レポートでお伝えする。
店舗内外に貼られた「撮影禁止」の掲示
目的の店があるのは、福岡市の中心部から車で15分ほどの場所に位置する、パチンコ店の1階。
外から店内を見ることはできない。しかし、それでも行列ができていることも多い。
店の名前は「ラーメン基峰」。
とんこつラーメン店が群雄割拠する福岡にあっても、名の通った人気店だ。
筆者は、ピークを外して平日13時半に来店したが、それでも数人が並んでおり、入店まで7〜8分を要した。
店舗入り口に「撮影禁止」の貼り紙がある通り、同店では厨房はもちろんラーメンや客席など、店内の写真撮影の一切を禁じており、すでに「こだわり」の一端が垣間見える。
レンゲを置かないというポリシー
店内は、カウンターが10席と、小さなテーブルが数卓。パチンコ店の敷地内ということもあり、パチンコの休憩中と思しき、一人客が多い。
「ラーメン」は、このご時世で650円というのがありがたい価格。なお、以前は撮影が可能だったようで、本記事には筆者の知人から当時撮影した写真をお借りしている(写真は「大ラーメン 750円」)。
同店の大きな特徴は、とんこつスープにある。
臭みが少なくサラッとしており、何よりかえしの甘みが印象的。いわゆる「九州醤油」と呼ばれる類の醤油の甘みがあり、地元民には馴染みのある味わいだ。
徳島ラーメンは、甘辛いスープが「ご飯に合う」ことで知られるが、同店のスープも同様にご飯が進むものだった。
なお、このスープをいただく際にも、店主の「こだわり」を感じられる。
テーブルに掲示された注意書きに「ラーメンにはレンゲをつけておりません。(中略)スープは丼を持ちグビグビっとお飲みください」との記載が。
今や、レンゲはどのラーメン店でも当たり前にあり、女性客向けに先の細いレンゲまで用意する店もある。その中で、レンゲなしというストロングスタイルを貫いているのだ。
実際に丼から直接スープを飲んで気がつくのは、レンゲよりも熱さがダイレクトに伝わってくる点だ。個人的な体感ではあるが、これによりスープのパンチをガツンと感じられた。
替玉は麺をおかわりするためではない!?
また、テーブルの掲示物には次のような注意書きも。
「替玉は麺をおかわりする為ではなく、麺を硬麺で食べるシステムなので硬麺以外は承っておりません。ちなみに『バリカタ』『ハリガネ』『ナマ』等といわれる硬さのものも出しておりません!!」
福岡で生まれ育った筆者だが、替玉は麺をおかわりするものだと思って生きてきたし、多くの人が同じであるだろう。しかし、「ラーメン基峰」では替玉のシステムがオルタナティブな意味で提供されている。
麺に対する自信も見え隠れする記述だが、それもそのはず。同店店主の実家は「姉川食品」という製麺業を営んでいるのだ。
同店に使われている麺はもちろん「姉川食品」のもので、硬麺でも粉っぽさはなく小麦の香りも感じられる。
一般的な博多ラーメンよりは、わずかに太さがあり存在感もある。そのため、ズルッと啜るのもうまいが、噛み切ることでも旨味が湧く。
最初の1杯を食べ終わる頃には、麺もやや柔らかくなっているため、替玉の一口目は改めてパツパツとした硬麺の口当たりが新鮮に感じられる。
具材は、チャーシュー・ネギ・ごまのみ。このシンプルも、甘めのスープと自家製麺への自信の表れだろう。
SNS時代以前の空気を久しぶりに感じる店内
ルールの多いラーメン店の店主は「怖い」というイメージを持たれやすい。「ラーメン基峰」では、店主は怖い雰囲気はないが、撮影禁止のおかげで、浮足だって写真を撮るような客もおらず、誰もが黙々とラーメンを食べているため、店内は少しの緊張感が漂っている。
カウンター頭上に置かれたテレビから、お昼の情報番組の軽薄な明るい声だけが聞こえる時間も長く、独特な雰囲気だ。
こうした店は、ラーメンが門外不出であることも多いが、同店では意外にも柔軟に「持ち帰り」も用意されており、自宅でレンゲを使うなど「好きな食べ方」で楽しむこともできる。
「ラーメン基峰」で設定されている様々なルールは、美味しい一杯を最高の状態で味わってほしいという思いの表れだろう。
スマホを置いて、そのこだわりのラーメンに向き合ってみてほしい。
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