今年の暑さは、梅雨明け後に急に厳しくなる可能性があります。近年のように厳しい暑さの夏となり、秋にかけて残暑が長引くおそれもあります。こうした気温推移の背景には、指摘されているエルニーニョ現象の発生だけでなく、インド洋で起きる「もう一つの海の変化」も関係してくると考えられています。

この先、梅雨明け後に暑さが急に厳しくなるおそれ 秋にかけて残暑が長引く可能性

6月にかけては前線の影響で、気温の上昇が一時的に抑えられる時期があるでしょう。
一方で、7月は梅雨明けが早まり、気温が急に高くなる可能性があります。梅雨明け後の急な暑さに注意が必要です。

気象庁が4月21日に発表した3か月予報では、5月から7月にかけて、いずれの月も平均気温は全国的に平年(1991〜2020年の平均値)より高い見込みとされています。

その後、8月も厳しい暑さが続き、近年同様に、秋にかけて残暑が長引く可能性があります。

この先の気温の傾向は、太平洋やインド洋の海面水温の変化が関係していると考えられます。今年はその動向に、例年とは少し違った特徴も見られます。

熱帯の海から読み解く今年の傾向

今年の日本付近の気温の傾向を考える上で、鍵となるのが熱帯の海面水温の変化です。

【インド洋の海面水温は夏前半まで低め】
現在、インド洋では海面水温が平常時(解析上の基準となる値)に近く、夏の前半にかけては平常時に近い値かやや低めで推移する見込みです。
インド洋の海面水温が低い年は、梅雨前線の北上が早まりやすく、前線の影響で昇温が抑えられる時期がある一方、梅雨明けは地域によって早めになる傾向があります。

【太平洋ではエルニーニョ現象へ移行する見通し】
一方、太平洋ではラニーニャ現象に近い状態が解消し、夏の後半から秋にかけては、赤道域の中部から東部で海面水温が平常時より高くなる、エルニーニョ現象へと移行していくと予想されています。

【正のインド洋ダイポールモード現象(IOD)が発達する可能性】
エルニーニョ現象が発生する時期には、太平洋からインド洋にかけての雲の発生しやすい場所や大気の流れが変化し、インド洋の海面水温分布にも影響が現れることがあります。
今年は、夏が進むにつれてインド洋熱帯域の南東部(スマトラ島沖付近)で海面水温が平年より低くなる一方、インド洋の西部では相対的に海面水温が高くなり、正のインド洋ダイポールモード現象(IOD)が発生する可能性があります。
正のインド洋ダイポールモード現象は、過去の統計では、夏の後半から秋にかけて日本付近の高温傾向と関係する場合があります。

今年は、夏の前半と後半で、熱帯域の海の状況が大きく変化していくとみられます。このため、気温の変化が大きくなりやすく、梅雨明け後に暑さが急に厳しくなったり、秋に入っても気温が下がりにくくなったりする可能性があると考えられます。

一方で、こうした見通しには幅があり、今後の海と大気の変化を注視していく必要もあります。

まだ断定はできない 気象予報士が今、確認していること

「正のインド洋ダイポールモード現象」については、JAMSTEC(海洋研究開発機構)などの長期予測でも、今後発生する可能性が示唆されています。

現段階では、夏に「正のインド洋ダイポールモード現象」が発生するかどうかは不確定です。
この現象については、今後数か月間にわたり、下層の風の流れや積乱雲の発生しやすい場所が、夏季モンスーンの循環とどのように結び付いて変化していくのかを、慎重に見極めていく必要があります。

最初の分岐点は、初夏にかけて、インドネシア・スマトラ島沖で南東貿易風が強まるかどうか、それに伴ってインド洋の赤道付近の風の流れがどう変わっていくかとされています。

私たち気象予報士は、太平洋でのエルニーニョ現象の発生だけでなく、インド洋での風や対流の変化にも目を向けながら、引き続き注意深く状況を確認していきます。