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新茶が値上がりし、初セリで最高値をつける地域もあります。背景にはお茶をめぐるブームや中東情勢があるようです。ブームの恩恵にあずかれない業者や、輸出が止まった生産者もいます。日本茶専門店の名物若女将に、お得でおいしい楽しみ方を教わりました。

■静岡の最高級ブランド、驚きの値段

森圭介アナウンサー
「これから新茶のシーズンです。おいしいお茶が飲める時期になってきますが、緑茶は飲みますか?」

斎藤佑樹キャスター
「飲みますね。ペットボトルで飲むことが多いですが、急須に入れて飲むお茶もおいしいですよね」

森アナウンサー
「今、ペットボトルのお茶もびっくりするぐらい値段が上がっていて、コンビニで二度見してしまう時もあります」

「静岡では20日、セリが行われました。出された中で注目されたのが、静岡が誇る最高級ブランド、その名も『高嶺の香(はな)』。お値段は去年1キロ88万円で落札され、今年は118万円です。去年より30万円高値で取引されました」

「単純計算で急須1回あたり約1万2000円くらいなので、湯呑みでお茶1杯3000円ぐらいになるかな、というところです」

■静岡以外でも初セリで「最高値」

鈴江奈々アナウンサー
「初セリということで高値がついているとは思いますが、なかなか簡単には味わえない値段になってきているんですか?」

森アナウンサー
「初セリで過去最高値をつけたのは、静岡だけではありません。農林水産省によると、お茶の生産量ランキングで静岡は全国2位です。1位は鹿児島で、(3位以下は)三重、宮崎、京都、福岡と続きます」

「高級ブランド以外も含めた新茶の1キロあたりの平均価格は、鹿児島では6573円。前年比で約2500円、38%ほど上がっています。4位の宮崎では8583円、八女茶が有名な福岡県八女市では1万851円と、過去10年で最高値になっています」

■影響は?…老舗の名物若女将に聞く

森アナウンサー
「高級品になってきているということですが、街のお茶屋さんでは、価格はどうなっているのか取材してきました。訪ねたのは横浜市にある、80年ほどの歴史がある老舗のお茶屋さん『いしだ園 港南台本店』です」

「店では新茶がもう並んでいます。毎日着物で接客をされている3代目の名物若女将の石田由美子さんに聞きました」

石田さん
「250グラムで1890円で販売しているものですが、新茶に切り替わると、2200円くらいになる可能性はあります。袋(包装)の価格も急に上がってきている。40%くらいは上がると(連絡があった)。それも影響してくると思います」

■抹茶が人気、重油が高騰…苦境も

森アナウンサー
「ではなぜ、お茶が高くなっているのか。日本茶業中央会によると、主に2つの要因があります。高値の理由は抹茶ブームと、原油の高騰です。海外でも抹茶の人気がものすごいことになっていて、海外旅行客の皆さんが抹茶をたくさん買われています」

「緑茶の原料がせん茶です。抹茶の原料はてん茶ですが、抹茶が人気になることで、せん茶を作っていた農家さんが儲かるてん茶にシフトしています。すると、緑茶の原料のせん茶が少なくなり、人気が出て値段が上がってくるという仕組みになっています」

「加工の段階で大量に重油も使います。この重油も値上がりしているので、この分値段が上がってしまっているということです。生産が減ってしまったせん茶の奪い合いが発生しているので、結果的にペットボトルのお茶も値上がりしてしまっています」

「世界中のニュースが、身の回りのこういったところまで影響を及ぼしているというのがよく分かります」

■輸出ストップも…製茶業界への影響は

森アナウンサー
「消費者としてもお茶(の値段)が上がっているのが苦しいよという方が多いと思いますが、業者の皆さんはどう思っているのか。苦しい業者もあるそうです」

「帝国データバンクによると去年、製茶業界での廃業・倒産は14件と、過去最多でした。仕入れから製品化まで一括でできる大きな企業はかなり儲かっている部分もあるそうですが、それ以外はあまり抹茶ブームなどの恩恵を受けられず、二極化してしまっています」

「また海外で人気となったら、輸出すればたくさん買ってもらえると思いますが、輸出も今ピンチです。中東情勢の悪化で届けられなくなってきているんですね」

「福岡の八女茶を生産している『大石茶園』では6割を海外に輸出していますが、3月に中東情勢の悪化で飛行機の運航が難しくなりました。サウジアラビアやヨルダンなど中東の5つの国への輸出を止めているということです」

「この農家さんでは輸出額年間が2億円なので、経営のダメージが小さくないことが分かりますよね。10年20年かけてじわじわというより、一気に国際情勢によって値段が上がってしまったという部分もあるかもしれません」

■お得においしく飲むコツは?

森アナウンサー
「お茶が高級品になってきて大事に楽しみたいということで、1回(分)の茶葉で長く楽しむ方法を若女将の石田さんに聞きました」

「お茶っ葉を急須に入れた後、いきなり熱湯を注いでは茶葉が傷んでしまいます。石田さん曰く、1回目はお湯ではなく冷たい水を入れるということです。水出しの緑茶は甘くておいしいですよね」

「2回目も30℃くらいのぬるま湯、3回目に60℃くらいのお湯を入れます。私は今まで、お湯なら2回が限度でしたが、3回楽しめます。温度をどんどん上げていくことで、最初は甘みを、少しずつ渋みを楽しんでいくという味のグラデーションを感じることができます」

「緑茶がちょっと高いなという方は、くき茶がおすすめだといいます。くきの部分などを集めた商品で、一般的なお茶と比べてちょっとお安く手に入り、味はやや渋めということです。渋いお茶もおいしいですよね」

鈴江アナウンサー
「甘いお茶菓子と一緒に、というのもいいですよ」

森アナウンサー
「これまでとはちょっと違った楽しみ方をすることで、新茶のシーズンを楽しめるかもしれません。新茶にも世界中の影響が出てきているので、まずは冷たい水、30℃ぐらいのぬるま湯、そしてお湯と、いろんな楽しみ方をしてみてもいいかもしれません」

(4月21日『news every.』より)