新婚家庭に入りびたり、僕にやたらとなついてくる「義妹」がおかしい…妻はなぜ甘やかすのか 39歳夫が“わが子誕生の夜”にハメられて
【前後編の前編/後編を読む】穏やかな再婚生活を送っていたのに、6年ぶりに元妻と再会。「間違っていた」と泣かれて…「まだ間に合うのか」39歳夫の乱された心
結婚生活において何より大事なもののひとつは、信頼関係かもしれない。そしてその信頼は愛情に裏打ちされたものでなければならない。だからこそ、強固なのだ。だが、信頼関係というものは何かあれば一気に崩されるものでもある。いまや婚姻届という「紙切れ」を振りかざして結婚の継続を求める女性も少なくなっている。形より中身が大事なのだ。
「結婚してからのたった7年で、人生のさまざまな辛酸をなめた気がします。あのとき妻が僕を信頼してくれさえすれば、こんなことにはなっていなかったと思う。でもそれを今さら責めてもしかたがないのもわかっています」

力なくそう言う田所祐汰さん(39歳・仮名=以下同)だ。祐汰さんの話を聞くと、「そんなことがあるの? 誰かがきちんと筋道立てて話を交通整理していればよかったんじゃないの?」という気持ちになってくる。だが当時、それをする人がいなかったし、祐汰さんが何をどう言っても誰も信じてくれなかったのだ。
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妻の7歳下の妹
祐汰さんが結婚したのは32歳のときだ。地方出身の彼は、都内の大学に入学、卒業するとある中堅企業に就職した。「田舎の兼業農家」の三男坊、帰る場所はなかったし帰ったところで仕事もなかった。
「たまに帰ると実家もいいところだなと思いますが、ずっと生活する場ではない。両親が亡くなって長兄が跡取りになってからは、ほとんど帰っていませんね。次兄は関西にいます。結婚して子どもが3人、楽しそうにやっていますよ」
祐汰さんの結婚相手は、友人主催の飲み会で知り合った3歳年下の由希乃さんだ。友だち関係から始まり、2年つきあって結婚を申し込んだ。由希乃さんもその場で承諾してくれ、トントン拍子に結婚に至った。
由希乃さんには7歳年下の美冬さんという妹がいる。最初に彼女の実家に行ったとき、妹は留守だった。
「ちょっと変わってると思われがちだけど、とてもいい子だと由希乃から聞いていました。でもその後、会ったときはそれほど変わった印象はなかった。若干、無愛想だったけど、姉が結婚する相手にやたらと懐いたりはしないでしょうし。由希乃がわざわざ変わった子だと言ったのが理解できなかった」
双方の家族が集まって食事会をし、友人知人を集めてパーティをおこなった。結婚式に費用をかけるより新生活にお金を使いたいとふたりの意見が一致したのだ。そのパーティ直後、祐汰さんには2週間ほどの出張が入っていた。そのため、婚姻届は新居でふたりで書いたが、提出は由希乃さんに頼んだ。
新婚なのに気の利かない…
出張から帰宅すると、義妹の美冬さんがいた。新婚なのに気の利かない義妹だとちょっとイラッとしたと祐汰さんは言う。
「由希乃が、『美冬、彼にフラれて落ち込んでるの。今日だけいさせてあげて、お願い』って。まあ、頼りになるのは姉だけなんだろうと思ったし、僕も疲れていたのでさっさとひとりで寝室に引き上げました。朝起きると、美冬はすでに帰ったあとで、由希乃は両手を合わせて『ごめんね』と。早くふたりきりになりたかったんだよと由希乃に甘いことを言ったのを覚えています」
そのときすでに結婚生活が義妹に邪魔されるのではないかと不安を覚えたかもしれないと祐汰さんはつぶやいた。
なぜか妹に気を遣っている…
数週間後、祐汰さんが代休で家にいると、昼頃、勤務先の由希乃さんから連絡があった。美冬さんが今から行くから話を聞いてやってほしいというのだ。ずっと忙しかったからひとりでゆっくりしたい、家事もしたいしと祐汰さんが言うと、「なんだか妹がひどく悩んでいるの。私じゃ相談に乗りきれないし、彼女はあなたをすごく信頼しているみたいだから聞くだけ聞いてあげてほしい」と由希乃さんは悲痛な感じの声で言った。
「そこでふとおかしいなと思い当たったんですよ。由希乃は、なぜか妹に気を遣っていると。妹のほうは姉に気を遣ってはいないのに。まあ、でも由希乃のたっての願いなので、その日は美冬の話を聞きました」
せつせつとフラれた話をして泣いたり愚痴ったり怒ったりする美冬さんを、祐汰さんは持て余しつつも「若いときはよくあることだよ」と軽くいなしていた。自分が食べようと思っていたので、簡単なチャーハンを作って義妹にも出した。美冬さんは泣きながらそれを食べ、「私もお義兄さんみたいな人と結婚したい」と言いだした。
「それを機に、美冬は僕に心を開くようになったんです。由希乃はとても喜んでいました。あの子はなかなか人に心を開かないから、家族の中でもなんだか浮いてしまう。本当はいい子なのにって。どうしてきみはそんなに妹に気を遣うのかと聞いてみたら、姉妹だから気にかけるのは当然でしょと言われました」
そのときは自分が男兄弟だから、姉妹のことはわからない。女同士は複雑なものなのかなと思うにとどまった。それからもときどき、美冬さんは自宅に遊びに来たし、夕方、「今、仕事が終わったところなんだけど会える?」と連絡が来たこともある。そんなとき、祐汰さんはいちいち由希乃さんに連絡して「断りたいんだけど」と相談した。由希乃さんは「少しでいいからつきあってあげて」と言うのが常だった。
姉妹の“真相”
結婚して1年近くたったところで由希乃さんの妊娠がわかった。いよいよ自分も父親になるんだと思うと、気持ちが引き締まったと祐汰さんは言う。
「ところが由希乃はつわりがひどくて、見ているだけでかわいそうだった。仕事は続けていたんですが、職場では大丈夫なんだそうです。その代わり、家では動けなくなることさえあった。一時期はプルーンしか食べられなくて、栄養のことも心配しましたね」
そんなときでも美冬さんから、「おねえちゃんに相談にのってもらいたい」と連絡があった。姉妹なら姉の体調も考えろ、いいかげんにしろと言いそうになったが、由希乃さんは「私は具合が悪いから無理。祐汰さんに行ってもらう」と勝手に決めてしまう。
「そのとき、きみたち姉妹は何かがおかしいと言ったんです。すると由希乃は観念したように『実は妹は、父がよその女性に産ませた子なの。女性が亡くなって、父が引き取ったのよ。母は最初、あの子に冷たかった。母にしてみれば納得いかなかったんだと思う。だから私がかわいがった。あの子に罪はないから』って。言いづらそうでした。できれば知られたくなかった、だから結婚するとき自分の戸籍謄本をあなたに見せなかったでしょって。どたばたにまぎれて、僕は自分の謄本を由希乃に渡したけど確かに由希乃のは見ていない。おそらく妹のところは養女となっているんでしょう」
たとえ養女であっても父は同じだ。母の意向はともあれ、由希乃さんが妹に過度な遠慮をする必要はないと祐汰さんは感じた。だがそこは姉妹の、そして家族の長い時間やそれぞれの葛藤があったのかもしれない。
「由希乃は、黙っていてごめんねと言いました。全部話せてホッとした、とも。いずれにしても美冬は、僕の妻の妹。それだけの関係だからと僕は妻に言いました。僕が愛しているのも信頼しているのも妻だけだからと」
「今すぐ来て、来なかったら死ぬから」
安定期に入ると、由希乃さんはすさまじかったつわりが嘘のように元気になった。お腹の子もすくすくと育っているらしい。あとは出産を待つばかりだ。
「予定日近辺になると、由希乃より僕のほうがそわそわしてしまって。いつでも病院に行けるよう準備も整えていました」
だが予定日になっても兆候はなかった。「のんびりした子なのね。私も10日遅れで産まれたらしいから遺伝かな」と由希乃さんは笑っていた。数日後の夜、美冬さんから祐汰さんの携帯に連絡があった。
「お義兄さん、今すぐ来てというんですよ。でも僕はなんだかそろそろ産まれるんじゃないかと予感があった。だから行けないと言ったんです。そうしたら『来なかったら、私、死ぬから』って。由希乃が行ってあげて、私はまだ大丈夫というから、しかたなく指定されたファミレスに向かいました。僕と会うと美冬はいきなり僕から携帯をとりあげた。そんなことをするなら帰ると言うと、テーブルの下でナイフをちらつかせて『私、もういつ死んでもいいの』と言いだした。何が目的なんだと腹が立ちました」
結局、ファミレスでしばらく話を聞かされ、その後、夜道の散歩につきあわされ、さらに公園のベンチで迫られた。いつかはそういう態度に出てくるかもしれないと感じていたので、彼は美冬さんを突き飛ばして逃げた。
「途中で携帯を取り返すのを忘れたと思ったんですが、それよりもう義妹から逃げたかった。結局、家を出てから5、6時間、美冬に時間をとられて焦っていました。公衆電話を見つけたので由希乃に連絡したけどつながらない。きっと病院だと思ったので、そのまま駆けつけました」
娘を抱いた矢先の悲劇…
案の定、由希乃さんは自らタクシーを呼んで病院に行っていた。もう分娩室に入っているという。由希乃さんが夫の立ち会いを望んでいなかったので、祐汰さんは分娩室の前の廊下でひたすら待った。そして数時間後、まるまるとした女の子が産まれた。産まれてすぐ分娩室に入り、疲労の色は濃いが晴れやかな顔をした由希乃さんを見て、彼は思わず涙ぐんだという。抱いた娘の柔らかさは今も感触として残っている。
「それからなんだかんだとあって、義母がやってきた。その後、義父が義妹を連れてきたんですよ。そして僕を廊下の端まで連れていくと、『祐汰くん、あんた、何をしてるんだ』と声を殺して怒り始めた。なんのことかさっぱりわからなかったけど、義妹は僕に乱暴されたと言ってるらしい。『今は着替えたけど、こんな状態だったんだ』と義父は、義妹の服がボロボロになっている写真を見せてきました。写真の義妹は泣きはらした顔をしている」
はめられたと感じた。義妹は逃げた祐汰さんを恨んだのだろう。義父は義妹のスマホを示した。そこには祐汰さんから「今まで言えなかったけど、子どもが生まれる今だからこそ言う。僕は由希乃より美冬のほうが好きだ」などというメッセージが並んでいた。
「携帯を美冬に取り上げられたんですよと言ったんですが、いつの間にか着ていたジャケットのポケットに携帯が入っている。美冬が隙を見て入れたんでしょう」
そこからあれよあれよという間に、祐汰さんは妻を裏切って義妹を襲った張本人になってしまった。乱暴したというなら警察を呼んでレイプ検査してもらえばいいと言ったのだが、そんな不名誉なことはできないと義父は猛り狂った。
もちろんその話は由希乃さんに伝えられ、祐汰さんはそれきり娘に会うことも許されなかった。弁護士を立てて話し合いもしたが、由希乃さんの心が祐汰さんのほうに向くことはなかった。
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本来なら幸せの絶頂にいるはずの“わが子の誕生”の夜に、祐汰さんは悲劇に突き落とされてしまった。【記事後編】では、なんとか人生を立て直そうとした彼の前に、あまりにも酷な選択肢が突きつけられる。
亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。
デイリー新潮編集部
