バローにアミカ、ユニー…国内一強のイオンを返り討ちにする「中部地方のローカルスーパー」が強すぎる

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中部地方のスーパーに漂う独特の空気

旅先や帰省先で、いつもと違う土地のスーパーに入ると、その地域ならではの「空気」を感じることがある。住民の食生活を支える場所だけあって、ご当地商品や地域ならではの味付けの惣菜、見慣れない食材が並び、見ているだけでも面白い。

地元山梨でスーパーを経営していた筆者も、これまで全国各地のスーパーを見て歩いてきたが、とりわけ中部地方のスーパーにはどこか独特の雰囲気がある。ロピアのような"映える"商品や、トライアルのような"超破格商品"といった尖った印象はあまりない。言い方を変えれば優等生型だ。平均点は高いが、突出した個性はあまり感じない。

ただ、それは決して弱点というわけではなく、長い歴史の中で培われてきた消費者との「信頼感」が、この地域のスーパーを支えているように思える。

スーパーは「イオン一強」の時代だが…

日本のスーパー業界は今、イオンを頂点とした巨大資本の時代と言われる。かつては地域ごとに多くの地場スーパーが存在していたが、地方都市でもイオンモールを中心とした商業圏が形成され、「買い物といえばイオン」という地域は少なくない。もはや巨大モールは単なる商業施設ではなく、映画館やレストラン、専門店街、行政窓口まで備えたインフラのような存在になっている。

こうした巨大モールモデルが全国で成功したことで、日本の小売業界は大きな再編の時代に入った。多くの地場スーパーは競争に押され、統合や買収によって姿を消していった。それでも中部地方では、多くの全国チェーンが出店しているにもかかわらず地元資本のスーパーが今も確かな存在感を保っている。なぜなのか?

中部を代表するローカルスーパーたち

代表的な企業のひとつが、岐阜県発祥のスーパー「バロー」だ。特に鮮魚売り場の評価が高い同社は、いまや中部地方を代表するローカルスーパーのひとつと言える。

バローホールディングスの2025年3月期の営業収益は8544億3500万円(前年同期比5.8%増)で、30期連続の過去最高を更新。スーパーマーケット事業の営業収益は4833億5700万円(6.4%増)、営業利益は194億6900万円(4.6%増)と好調で、店舗数はグループ合計325店舗に及ぶ。岐阜・愛知・静岡・山梨・滋賀などの中部・近畿エリアが中心だが、韓国にも展開している。

バローは巨大資本を迎え撃つどころか、反対に"中部発"のスーパーとして首都圏に攻勢をかけたことでも話題になった。首都圏のスーパーが全国展開する例は多いが、地方発のスーパーが逆に首都圏へ打って出るという構図は、日本の小売業界でも珍しい動きと言える。

もうひとつ特徴的なのが、業務用食品スーパー「アミカ」だ。運営は株式会社大光で、中京圏を中心に長野や滋賀、福井、東京にも展開している。

全国展開する「業務スーパー」とは異なり、飲食店向けの食材と家庭向けの商品が同じ売り場に並ぶ独自の業態で、冷凍食品や業務用食材の品揃えが非常に豊富だ。価格は業務スーパーほどは安くないが、国産品や店こだわりの商品も多い。

業界内外でその質の高さを評価する声は多く、こうした店づくりが中部の消費者に支持されてきた理由のひとつだ。

ユニーのドンキ化が示した総合スーパーの限界

そして中部地方のスーパーとして象徴的な存在が、総合スーパー「アピタ」と中型スーパー「ピアゴ」を展開してきたユニーだ。このユニーは2019年、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の傘下に入った。

アピタのようなGMS(総合スーパー)の衰退は、2000年前後から始まった。ドラッグストアの急成長に加え、ユニクロやニトリ、ヤマダ電機といった専門チェーンが台頭したことで、品揃えでも価格競争力でも見劣りするようになったためだ。

2018年、ユニーのアピタやピアゴが次々と「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換していったのは、こうした限界を打破するためであった。それまでユニーグループ店の商品構成は食品70%、非食品30%だったが、「MEGAドン・キホーテUNY」では食品50%、非食品50%とし、リニューアル後の6店舗の2018年3〜5月売上は前年比2倍、客数は1.75倍になった。若年層をドンキブランドと品揃えの幅広さで引き寄せた結果といえるだろう。

こうした点から、一般にはよく「ドンキがユニーを再生した」と語られることが多い。実際、売り場にはドン・キホーテのプライベートブランド商品が並び、独特のPOPも増え、以前より賑やかな雰囲気になった。

しかし売り場を歩いてみると、全面的に"ドンキ化"しているわけではない。ノウハウを取り入れながらも、中京圏で長く支持されてきたユニーらしい、総合スーパーの落ち着いた売り場の雰囲気や、家族連れが安心して買い物できる空気は今もしっかり残っている。

一方で、ドン・キホーテ側にも変化が起きている。もともと雑貨や衣料を中心としたディスカウント店だったドンキは、ユニー買収以降、食品売り場の強化を進めてきた。

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【つづきを読む】中部地方のスーパーがいま熱い!おにぎり85円・惣菜100円台、ドンキ新業態「ロビン・フッド」が変えるスーパー最前線

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