イラン情勢の緊迫化によるエネルギー供給の混乱をめぐり、日本政府は需要抑制の呼びかけに二の足を踏んでいます。経済活動や景気への悪影響を懸念するためとみられますが、フィリピンではエネルギー供給非常事態宣言が出されるなど、燃料不足に喘ぐアジア各国は緊急対策に乗り出しています。4月6日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、世界と異なる日本のエネルギー節約に対する態度は正しいのか、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。

シャワーも洗濯機も制限

世界的にエネルギー問題が生活を直撃しています。

韓国ではシャワーの時間を短くする、洗濯機や掃除機の使用を週末に限定するといった要請が出されました。フィリピンでは政府職員の週4日勤務が導入されるなど、各国で対策が進んでいます。

東南アジア諸国は日本と同様に中東からの石油への依存度が非常に高い一方、備蓄や対応の準備が十分ではありません。

そのため韓国や東南アジアの国々はすでに節電・節約を国民に求め始めました。

「大丈夫」と言い続ける政府

一方、高市政権は節電・節約の呼びかけを避けたい考えです。

政府は備蓄石油の放出を進めているほか、中東以外からの代替ルートの確保にも動いています。アラビア半島のパイプラインを使ってホルムズ海峡を通らずに反対側の紅海側へ石油を運び出すルートや、他の地域からの購入も模索中です。

こうした対策と備蓄放出を合わせれば、当面は持ちこたえられるというのが政府の見立てです。

石塚「来年の年明けぐらいまでは節電とか節約とか言わなくても大丈夫ですよ、ということを今一生懸命アピールしています」

節電を呼びかけない理由は?

政府が節電を呼びかけない背景には、経済活動が停滞することへの懸念に加え、こんな理由もあるといいます。

石塚「節約しろとか節電しろとか。夜、例えば街の街灯が切れるとか、エスカレーターが止まるとか、そういうことになっていくと支持率にも影響するんだよね」

「日本政府はちゃんとやってきた。慌てなくてもいいとアピールしたいのだ」と石塚は語ります。むやみに危機を煽る必要はないとしながらも、政府が冷静にきちんと分析しているのかどうかには疑問が残ると述べました。

出せば出すほど減る備蓄

備蓄の石油は放出すればするほど減っていき、いずれは底をつきます。

代替ルートの確保も、戦争が悪化すればホルムズ海峡以外の海域からの輸送がうまくいかなくなる可能性もあります。

石塚「そういうところはしっかりと対応して。近い将来どうなるかわからないってとこはちゃんと見といてもらわないと」

こうした不安は世論調査にも表れています。共同通信社の調査では、中東情勢の悪化が生活に与える影響について「懸念している」「ある程度懸念している」と答えた人がおよそ9割に上ります。

TBSの調査でも、ガソリンや石油製品が不足するのではないかと不安に感じている人がおよそ7割に達しました。

補助金は誰のためか

現在、ガソリン価格を抑えるために多額の補助金が投入されていますが、財源の問題が浮上しています。

石塚「かなりの人たち、政治家が言い始めているのは、補助金をむやみやたら出すんじゃないということ。値段が上がったら上がったで使わずに我慢する人も出てくるわけ。その方が長持ちするんじゃないかと」

安くガソリンが買えることで遊びで使う人も含めて消費が進み、結果的に石油が減っていくという問題です。

すべての人に満遍なく出すのではなく、本当に必要な業者に重点的に支援した方がよいのではないかという指摘も出始めています。

注射器も手袋も足りない?

リスナーからも影響を訴える声が届きました。

岐阜県海津市のAさんはハウス農家で、注文したビニール資材が業者になく代替品を提案されたと報告。原油問題がガソリンだけでなく、農業の現場にも及んでいることを実感したといいます。

石塚は、石油由来のプラスチック製品であるナフサの問題に加え、カタールから輸入されるヘリウムの不足にも触れました。医師からは、チューブや手袋、注射器といった必需品が足りなくなるのではないかという不安の声を直接聞いたといいます。

原油問題の影響は、ガソリンにとどまらず暮らしのさまざまな場面に広がっています。
(minto)
 

CBCラジオ #プラス!
2026年04月06日07時20分〜抜粋(Radikoタイムフリー)