形を見れば中身がわかる!「船のシルエット」に隠された機能美【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

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客船・貨物船・軍艦…… 役割で変わる船の形

目的に応じた多彩な船の姿

「船」とひとことでいっても、客を運ぶ船、荷物を積む船、戦うための船では外見も性能も大きく異なっています。

客船では、人が快適に過ごせる空間づくりがもっとも重視されます。大きな窓や広いデッキ、ゆとりある客室を確保するために上部構造が高く、まるでホテルのような外観になるのが特徴です。また、波の衝撃を和らげ、揺れを抑えるしくみも取り入れられています。

一方、貨物船で重要なのは、いかに効率よく荷物を積めるかという点でしょう。コンテナ船は四角いを甲板上から船倉内まで積み重ねやすくするために平たい形になり、タンカーは液体を大量に運ぶため船体内部のほとんどが巨大なタンクになっています。運ぶものの種類によっても、内部構造が大きく変わるのが特徴です。

軍艦では、速さと装備の運用が最優先されます。敵の攻撃を避けつつ素早く動くために、細長い形の船体が採用され、レーダーやミサイルを搭載するスペースも求められました。また、外板にはレーダーに映りにくくする工夫が施されるなど、特殊な目的に合わせた設計がなされています。

このように、船の外観に目を向けることで、その船が何を目的につくられたのかが自然と見えてくるでしょう。

役割ごとに異なる船の基本形

3種の船の外観比較

<客船>

快適性を優先した高さのある構造

<貨物船>

荷物を積みやすい平たい形

<軍艦>

速さと装備のための細長い船体

客船は快適性、貨物船は積載性、軍艦は速さと装備を優先するため、姿形が大きく異なります。外観の違いはそのまま役割の違いを表しているのです。

内部構造も用途で大きく変わる

外観だけでなく、内部構造も用途に応じた仕様になっています。どの要素を優先するかで、船の空間配分や設備はさまざまに変わります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者情報】
池田良穂(いけだ・よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学
科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。
船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。2023年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。