脳科学者 茂木健一郎が語る生成AIと芸術論「プラトンに立ち返る必要がある」

「生成AIとプラトンの芸術論」と題した動画で、脳科学者の茂木健一郎氏が、最新の技術革新としての生成AIについて語った。「生成AIの進化がすごくて、ありとあらゆるイメージや映像が作れるようになった」と述べ、その影響力の大きさを強調した。現在のAI技術では、「人間がin the loopで関与しないと完全自動生成のエンタメの価値は保てないだろう」とし、AIと人間の役割の重要性を示した。

さらに、茂木氏は「AIがどんなものでも作れるからこそ、真実ってことが大事になってくる」とし、AI生成物と人間が経験した現実の違いを考える必要性を唱えた。最近の野生生物の写真を例に挙げ、「そこに本当にその事象が存在したのかという真実を考え直すべき」と警鐘を鳴らした。

また、茂木氏はベイズ主義への疑念も表明し、「人間の認知と世の中の真実は違う」との視点から、生成AIはその境界を超えるべきでないと主張。プラトンの芸術論に立ち返ることで、生成AIの技術が引き起こす倫理的な問題にも向き合うべきだと述べている。

最後に、「生成AIの驚くべき能力と、情報理論や量子力学などの数理が全部繋がっている気がする」と述べつつ、「現状の我々には根本的な間違いがあるかもしれない」との懸念も示した。動画を締めくくるにあたり、「この意見は必ずしも多数派ではないが、考慮する必要がある」と結論づけた。