ハンドボール女子日本代表【写真:荻島弘一】

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おりひめジャパンにOGと現役合わせ…楠本監督が兼任する大体大から15人

 ハンドボール女子日本代表「おりひめジャパン」が、48年ぶりの自力出場を目指して11日からハンガリーで行われるパリ五輪世界最終予選に挑む。都内で強化合宿中の1日には代表メンバー20人を発表。楠本繁生監督(59)が監督を兼任する大体大から、OGと現役合わせて15人が名を連ねた。

 報道陣に配られたメンバー表、出身校の欄には「大体大」がズラリと並んだ。卒業生13人に現役学生2人。他はノルウェー出身のGK亀谷さくらに、東女体大出身2人と高校から日本リーグ入りした2人。21年の東京五輪代表でも最大勢力だったが、15人中6人だけ。大体大勢の躍進ぶりが分かる。

 女子ハンドボール界では必然のことでもある。大体大は楠本氏が監督に就任した10年に初優勝してから全日本学生選手権では昨年まで13連覇中(20年は中止)。決勝でも大差で勝つなど学生相手には無敵で、日本選手権でも準優勝2回と日本リーグ上位並の圧倒的な強さを誇っている。

 確かに、競技によっては珍しくない現象だ。日体大が学生選手権で26連覇中の水球男子は、東京五輪代表13人中10人が日体大の学生と卒業生。08年北京五輪のホッケー女子は、2000年代初めまで「1強」だった天理大勢が16人中9人を占めた。天理大単独で日本代表として大会に臨んだこともあった。

 楠本監督は「出身大学でメンバーを選んだわけではない」と強調する。東京五輪後に代表監督に就任すると、ベテランを中心に平均年齢30歳を超えていた代表チームのメンバーを一新。日本リーグ各チームとのミーティングを重ねた結果の20人。会見でも「この選手たちが今の日本のハンドボールを表現するのにベストなメンバー」と言い切った。

 結果として教え子が増えたが「大学と代表は違うということは、ミーティングでも徹底している」という。基本的な競技への取り組み方など大学での指導と共通する部分もあるが、あえて「大学ノリ」は排除。大体大4年で初代表の吉野珊珠(さんじゅ、21)は「確かに大学の先輩は多いけれど、年齢も離れているし特に意識はない。練習も雰囲気も代表は大学とは全然違います」と話した。

 実際に現在のチームは近年最強ともいわれている。昨年8月のパリ五輪アジア予選では、それまで高い壁だった韓国に肉薄。結果的には1点差でアジア代表の座を逃したが、一時は4点リードするなど五輪まであと一歩と近づいた。さらに10月の杭州アジア大会決勝では韓国に10点差で快勝。初めて金メダルを獲得した。

 昨年12月の世界選手権でも五輪金メダル3回で開催国のデンマークに競り勝つなど、欧州勢とも僅差の好勝負を展開。世界最終予選に向けて、チームは自信をつけている。

 競技としての発展を考えれば長い間「1強」が続くことは決していいことではないが、大体勢が今の日本女子ハンドボール界を席巻しているのも事実。日本協会の荷川取義浩強化育成本部長も「もちろん他の大学が力をつけて競り合うことは重要。ただ、今の時点では、これがベストのメンバーということ。十分に予選突破の可能性があるチーム」と期待した。

 スウェーデン、カメルーン、開催国ハンガリーと総当たりで対戦する予選で2位以内に入れば、48年ぶりの自力出場が決まる。大体大勢中心のチームに批判的な声がないわけではないが、楠本監督は「五輪出場を決めて、このチームがベストだということを証明したい」と決意を込めて話した。(荻島 弘一)

(THE ANSWER編集部)