インカレ決勝では悔しい敗戦。だが京産大のこの1年間の快進撃は素晴らしかった。写真:安藤隆人

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 今年の関西学生サッカーリーグ1部で、創部51年目にして初優勝を果たした実力は本物だった。

 関西王者として2021年度以来、2大会ぶりのインカレに出場した京都産業大学は、勢いそのままに初戦で東海学園大を下すと、福岡大、流通経済大と強豪をなぎ倒して、初の決勝まで駒を進めた。

 決勝では明治大に0−2で敗れ、初の全国優勝とはならなかったが、彼らがこの1年間で見せた快進撃は素晴らしいものがあった。

 なぜ、京産大がここまでの結果を残すことができたのか。まずは選手の進路選択で、ガンバ大阪ユースなどから能力のある選手が入ってくるようになった。その代表格がエース食野壮磨(東京ヴェルディ内定)と福井和樹(SC相模原内定)だ。

「関西学院大とか関西大は選手層も厚くて、1年目から試合に出ることは難しいかもしれないと思っていました。だからこそ京産大は1年から出るチャンスがあると思いましたし、ユースの先輩がたくさんいて、同期が僕より先に決まっていたので、今の結果を見るのではなく、自分が入ってからの2年後、3年後の結果を見据えたら、ここから絶対に良くなると思ってここにきました」と食野が口にしたように、数年後を見据えての決断は大輪を咲かせた。
 
 質の高い選手が集まってきたことに加え、OBで元Jリーガーである吉川拓也監督が今年から就任。吉川監督にとって恩師であり、チームを27年間率いてきた古井裕之総監督とタッグを組み、新たなアプローチで強化をし始めたことで、チームはメキメキと力をつけてきた。

 左の夏川大和(FC大阪内定)、右の福井という破壊力抜群のドリブラーを縦への突破だけではなく、積極的に中央のスペースを狙わせて、彼らのフィニッシュ能力を引き出した。

 それに加え、大串昇平と西矢慎平(カターレ富山内定)の両サイドバックも高い位置に張り出したり、インナーラップやカットインを仕掛けたりと、サイドハーフに連動していくことで、相手にとって的を絞りづらい攻撃を展開。

 両サイドからの多彩なアタックが生まれたことで、絶対的なエースの食野の能力がより引き出された。食野は中盤のフリーマン的な役割として自由に動けるようになり、豊富な運動量と高い状況判断の能力を駆使して、セカンドボールの回収や、攻撃に切り替わった時のパスのサーバー、ゲームメイク、フィニッシャーと多岐にわたるプレーでチームの心臓となった。

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 そして、この多彩な攻撃を支える守備の強固さも目を見張った。西村翔と横窪皇太のCBコンビのチャレンジ&カバーと、サイドバックが上がった時のカバーリングの質が上がり、伊藤翼と川上陽星のダブルボランチがディフェンスラインに落ちてブロックを作ったり、奪った後のビルドアップのコースを作ったりと、縦と横のスライドがスムーズになっていった。

 北海道コンサドーレ札幌U-18からやってきたGK山本透衣(FC大阪内定)も「後ろからこのサッカーを見ているのが楽しいし、みんなが共通意識を持ってやっているので、自分もその流れを消さないようにプレーしている」と、抜群の反応に加え、的確なコーチングと連動で存在感を放った。

 1年を通じてチームとしての共通認識が深まり、結果もついてきたことで、全員が自分たちのやるサッカーに対して最後まで信じ切ることができた。

 インカレ準々決勝の福岡大戦では、2−0でリードした52分に西村がPKを与え、さらに1発レッドの退場となるが、GK山本が相手のPKをストップ。「劣勢に立たされてもやるべきことは変わらないし、誰一人やるべきことを怠らなかった」と福井が語ったように、福岡大の猛攻に耐え切って勝利を掴み取った。
 
「関西のサッカーにもっと注目してほしいし、関西の大学は成長できる場所なんだというのを僕たちが示したかった」

 京産大が見せた躍進は、この食野の言葉を実証するに値するものだった。ちょうど今、第102回全国高校サッカー選手権大会が開幕し、全国の高校生たちが熱い戦いを繰り広げている。

 関西の大学に進む選手も多く、選手権に出場している、ある高校2年生の選手は京産大のインカレ準優勝に関して、「関西の大学で成長できると確信できた。かなり良いサッカーをしていたのでもっと見てみたいし、(進路の)選択肢に入ると思います」と口にした。

 京産大がインカレで示した価値は、これからさらに大きくなるだろう。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)