冬季限定「ぼたん鍋」は必食!京都・大原で『平家物語』ゆかりの寺を歩く

運気を高め、旬の美食で体を整えて美景も堪能する初冬の京都の旅。比叡山のふもと、山に囲まれた大原で、お寺をめぐったあとは、美食を求めて歩きます。
庭園を眺めながらいただく、イノシシ肉の「ぼたん鍋」
『宝泉院(ほうせんいん)』のお庭でたっぷり心を癒したら、大原の食でお腹にも気合を入れます。昼食は山里ならではの旬をいただきに『野むら山荘』へ。

『野むら山荘』は修学院村(現・京都市左京区)にあった老舗呉服商の山荘を保存したいと大原に移築したのが店の始まりで、食事のお部屋は庭園を眺める書院造の広間のほか個室があり、気候の良い時期はテラス席、冬は囲炉裏の部屋も人気です。



「軍鶏鍋」が名物のお店ですが、11月の狩猟解禁とともに始まるのが冬季限定イノシシ肉の「ぼたん鍋」。季節のお料理に鍋と手打ち蕎麦が付くコースで、一人前の小鍋でいただけます。

季節替わりの八寸もゴージャス。若狭鯖の燻製や小浜の伝助アナゴ、揚ギンナンや蒸し栗など、近隣で獲れる美味全部盛りのような献立です。
「大原は野菜で知られていますが、鯖街道のルート上にあり小浜や琵琶湖の食材も近いのです。せっかくここまで来てもらうのですから大原の里にふさわしいものをお出ししたい。そんな思いが詰まった献立です(笑)」と店主の中島一彰さん。


京都のぼたん鍋は白味噌が一般的だそうですが、こちらはしょうゆベースの澄んだお出汁を使います。
「イノシシ肉は脂の甘みがおいしいのでロースにこだわって提供しています。炊けば炊くほどおいしくなりますよ」と教えてくれました。

お肉に火が通る頃には付け合わせのゴボウと九条ねぎもしっとりいい感じになり、あっという間に完食! 冬はぼたんのほかクマ肉も扱っているそうで、次は食べ比べコースで決まりです。
建礼門院ゆかりの寺で『平家物語』の世界を感じる
ぼたん鍋でパワーをつけたら大原の奥深く、『寂光院(じゃっこういん)』へも足を伸ばしてみましょう。
聖徳太子が推古2(594)年に建立したと伝わる由緒ある尼寺であり、壇ノ浦の戦いで生き残った、平清盛の娘・建礼門院(けんれいもんいん)徳子が隠棲した場所としても知られています。

印象的な石段の参道を上ると山門の正面に本堂が現れます。その右手には回遊式でどこから見ても正面に見えるよう植栽が施された「四方正面の池」があり、背後の山から引いた三段の小さな滝が優しい水音を響かせています。


本堂の前にある庭は『平家物語』に描かれた往時を偲ばせる風情ある一角。小さな心字池「汀(みぎわ)の池」とそのそばに立つ「汀(みぎわ)の桜」は、後白河法皇が建礼門院を訪ねた際に詠んだ和歌に描かれる景色です。

池の奥、鬱蒼とした木立の中が建礼門院の住居跡。「来る人まれなる所」と描写された庵はすでになく今は碑が残るのみですが、当時使われていた井戸はいまも清水が湧き続けています。

大原の名産品、柴漬けは建礼門院が「紫葉漬(しばづけ)」と名付けたと伝わり、また、大原女の姿は建礼門院に仕えた阿波内侍(あわのないじ)がモデルとも言われており、その存在は今日にも足跡を遺し、里人に親しまれています。
紅葉の名所は、初冬だからこそ楽しめる散りもみじも見応え十分……雪も舞うかもしれない大原で、静かに心やすめて、来たる新年へ思いを巡らせる……そんなひとときが待っていますよ。
■野むら山荘
住所/京都府京都市左京区大原野村町236
電話/075-744-3456
営業時間/昼12:00〜15:00、夜17:30〜21:00
備考/木曜定休、完全予約制、サービス料別途
■寂光院
住所/京都市左京区大原草生町676
電話/075-744-3341
拝観時間/9:00〜17:00(冬季は16:30まで)
拝観料/大人・高校生600円、中学生350円、小学生100円
備考/写経受付は9:00〜15:00頃まで、1200円
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/渡辺美帆、成田孝男
写真/奥田正治
※情報は令和5年12月12日現在のものです


