知らぬが花?(習近平総書記)

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 不動産大手の「破綻ドミノ」が懸念され、若者を中心に失業率も急上昇するなど、中国の経済失速が日に日に鮮明になっている。そんななかにあって唯一、急成長を遂げている「市場」があるというのだが――。

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 現在、中国で20〜50代の男性を中心に猛烈に知名度を上げているのが「ModelTV」という動画サイトという。中国在住の日本人ジャーナリストが解説する。

「ModelTVは立ち上げから1年程度しか経っていませんが、すでにアクティブ会員数が2000万人を超える爆発的な成長を見せています。サイトの内容を一言でいえば、セクシー系動画を豊富に揃えた中国版“FANZA”といった感じ。中国政府はセクシー動画の販売などを禁止していますが、それを出し抜く形で巧妙に当局のネット検閲をくぐり抜けています」

知らぬが花?(習近平総書記)

 そのカラクリは運営会社や動画制作会社をアメリカなど海外に置き、専用アプリをダウンロードすることで初めて視聴可能なシステムを採用しているためという。会社の所在地は海外だが、制作会社などは中国系資本によって設立。アプリの販売先も中国国内に限定した仕組みになっているという。

「動画の種類は数百本におよび、1本18元(約360円)で購入(ダウンロード)可能な一方で、動画の尺は15〜30分程度と短く、理由はユーザーの多くがスマホで視聴するためといいます。最大の特徴は販売されている動画の大半が無修正という点です」(同)

日本でも撮影

 出演している女優はほぼ中国人というが、一見すると日本のセクシー女優と見紛う容姿だとか。

「日本の作品をお手本にしてつくっているのは一目瞭然で、そのため女優の化粧や演技なども日本と同レベルに近づいていると考えられます。ただ20代の美形の中国人女性が数多く出ているのも事実で、詳細は不明ですが、ギャラもそれなりの水準にあるとされます。実際、同サイトには中国のネットカジノ運営会社などが広告をバンバン出していて、資金が潤沢なのは容易に見て取れます」(同)

 撮影は中国国内でなく、主にアメリカや台湾、日本などで撮られているという。すでに今年に入ってModelTVの撮影クルーが来日したことがあると話すのは、日本側の業界関係者だ。

「その時は10人近くの中国人クルーと女優が千葉県で数日間の撮影を行ったと聞いています。彼らにとって“日本は聖地”だといい、日本で撮ったというだけで動画の売上げが伸びるそうです」

「日本人なら絶対バズる」

 急成長を背景に攻勢も本格化。最近ではModelTVの関係者が直接、日本のセクシー動画を制作するメーカーなどに声をかけ始めているという。実際に打診を受けたメーカー関係者がこう話す。

「彼らは開口一番、“日本の女優が出れば、絶対に売れる”と太鼓判を押していた。“中国人はみんな日本のセクシー女優が大好きで、リスペクトしている”とも言い、“中国は人数(人口)が違います。しかもデジタル決済が進んでいるので、動画配信との相性はメチャクチャいい”と力説していました。殺し文句として“会員数はまだまだ伸びるので、絶対に儲かります”と自信満々に話していたのが印象的でした。正直、心は揺れましたが、彼らの“中国人向けにオリジナル作品をつくってほしい”との提案は迷った末に断りました」

 理由は無修正動画が溢れるサイト内に自社メーカーの作品が出ることで、日本の業界団体や規制当局から目を付けられることを嫌ったためという。

「日本のある同人メーカーはモザイクをかけた自社作品を“二次使用”の形で、すでにModelTVに卸しているそうですが、モザイクが入っているためか売行きは良くないといいます。メーカーのなかには縮小する一方の日本市場を捨て、“金脈の眠る中国市場で勝負するべきだ”と考えているところもあるとか。実際、中国市場で大儲けできる可能性は高いと考えられ、近い将来、業界全体として“決断”を迫られる日が来るかもしれません」(同)

 日本の業界を“丸のみ”するか、それとも習近平政権に潰されるのが先か。中国に残された「最後のフロンティア」を舞台に生き残りを懸けた闘いが始まっている。

デイリー新潮編集部