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積算1万798km 先代の高性能版と比較

「思いっきり飛ばして!」。筆者の6歳の息子が叫んだ。

【画像】通勤路も楽しい ホンダ・シビック e:HEV 現行と先代のタイプR NSX タイプSも 全128枚

アメリカのアクション・アニメの見すぎかもしれない。でも、巨大なリアウイングと3本出しのマフラーが、男の子の興奮を誘わないわけがない。クルマ好きの場合は。


ブルーのホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンスと、グレーのFK8型ホンダ・シビック・タイプR

今筆者が乗っているのは、先代に当たるFK8型のホンダ・シビック・タイプR。これまでに生産された数多くのホットハッチのなかでもベストに数えられる1台で、歴代のホンダ車でも最高水準といえる完成度を備えている。

長期テストでは、ベーシックなホンダ・シビック e:HEVの優れたドライビング体験へ何度か触れてきた。そこで、同モデルの高性能版と比較してみたいと考えたのだ。

本来は最新版のFL5型シビック・タイプRとの乗り比べがベストだったが、原稿の締切とスケジュールを合わせることができなかった。それでも、充分な発見はあるはず。

秀抜のシビック・タイプRの世代交代を叶えた、ホンダを称賛せずにはいられない。FK8型が発売されたのは2017年。同時期のライバルには、フォード・フォーカスRSとルノー・メガーヌR.S.の2台が含まれるが、いずれもモデルチェンジしていない。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは新型へ交代を果たせたが、ホットハッチ自体は斜陽傾向。クロスオーバーやSUVの人気へ押され、バッテリーEVの開発へ予算が割かれていることも影響を与えている。

クルマを全身で体感できる最高のカテゴリー

先代のシビック・タイプRへ試乗したことで、自動車市場の変化には思い残りがあると改めて感じた。コンパクトなボディと、短いホイールベース。マニュアルのトランスミッションに、シャープなサスペンション。直接的な運転体験を堪能できる。

ホットハッチは、活き活きとしたクルマを全身で体感できる、最高のカテゴリーだ。アリエル・アトムなど特別なモデルを除いて。


ブルーのホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンスと、グレーのFK8型ホンダ・シビック・タイプR

FK8型には複数のドライブモードが用意されているが、実際に運転する場合は中間のスポーツ・モードが最適。適度にアクセルレスポンスが引き締まる一方で、ダンパーの硬さは我慢できる範囲に留まる。

試乗した郊外の一般道には、逆バンクが付いたコーナーや、コブが隆起した区間などが混在している。+Rモードで1度走ってみたが、少々サスペンションが硬すぎた。

筆者が年令を重ねたこともあるだろう。だが、ちょっと機敏すぎるようにも感じた。スポーツ・モードなら、適度に角が丸められ運転しやすい。

積極的に運転してみて、どちらのシビックも素晴らしいと実感した。先代のタイプRも、現行型のe:HEVも、路面が荒れた区間で見事な操縦性を保つ。終始落ち着きを保ち、ドライバーに操れるという自信を与えてくれる。舗装の穴を通過しても変わらない。

一部のライバルは、隆起部分でサスペンションが処理しきれず強い衝撃を伝え、乗員を激しく揺さぶることがある。しかし、2台のシビックに粗野な振る舞いはない。印象的なほど流暢に、カーブの連続する区間を進んでいく。

より好感を抱いたのは最新のe:HEV

スッと、ドライバーがクルマへ馴染んでいくのがわかる。アグレッシブな見た目のタイプRでも、穏やかな見た目のe:HEVでも。前者は走りに特化したホットハッチとして。後者は安楽なハッチバックとして。

長期テスト車のシビックは運転が楽しい。恐らくクルマ自体が良いからだろう。一般的なSUVやバッテリーEVより、500kg前後車重が軽いことも理由なはず。ありきたりな毎日の通勤でも、楽しいと感じさせてくれる。


ブルーのホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンスと、グレーのFK8型ホンダ・シビック・タイプR

同じ道をタイプRで走らせてみて、改めて驚いた。数年前、筆者は同様にメガーヌR.S.を運転した経験がある。カーブの続くチャレンジングな区間では見事だったが、それ以外では多少の我慢も必要だった。

ところが、FK8型にはアダプティブダンパーが組まれていることもあって、終始快適。エグゾーストやロードノイズが大きすぎないということも、大きく貢献している。

筆者は2日間、800km近くを走り込んでみたが、シビック・タイプRは予想以上の印象を残してくれた。ただし、より好感を抱いたのは、やはり長期テスト車のシビック e:HEVの方だ。FK8型は少々見た目が派手すぎる。筆者には。

日本の自動車メーカーは、世代交代でモデルの方向性がブレることがある。しかしシビックには、ある程度の一貫性が備わっているようだ。

ホンダはこの傑作、FK8型の5年後に、更に進化させたホットハッチ、最新版のシビック・タイプRをリリースしている。その過程で磨かれた技術の一部は、シビック e:HEVにも反映されていると考えていい。

テストデータ

気に入っているトコロ

クリスタルブルー塗装:曇りがちなグレートブリテン島には映える。小学校の送り迎えでも目立つようで発見が早い。

気に入らないトコロ

牽引バー:ボディ後方へ牽引バーを追加したのだが、電装のソケットを差し込むのが少々難しい。便利なのは間違いないのだが。

テスト車について


ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

モデル名:ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
新車価格:3万2995ポンド(約531万円)
テスト車の価格:3万3820ポンド(約44万円)

テストの記録

燃費:18.7km/L
故障:なし
出費:ウインドウォッシャー液/10ポンド(約1610円)