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初回 高評価でも市場の反応は振るわない

早いもので、発売から5年も経過してしまった。アルピーヌA110は、登場と同時に自動車メディアで絶賛といえる高評価を獲得してきた。ところが市場の反応は振るわず、公道で目にする機会は非常に少ない。

【画像】軽量ミドシップを普段使いする アルピーヌA110 ライバルの718ケイマンとエミーラ 全100枚

軽くレスポンシブなミドシップ・スポーツカーをガレージに招こうと考えた時、多くのドライバーはポルシェを選んでしまう。素晴らしい操縦性を叶えつつ、フロントノーズには特別なエンブレムが付いているから。


アルピーヌA110(英国仕様)

確かに、ポルシェ・ケイマンは素晴らしい。筆者もファンの1人ではある。しかし、A110と同等の金額で購入できるのは、水平対向4気筒エンジンを搭載したベースモデルに限られる。

ケイマンはよりパワフルだが、車重はA110の方が軽い。パワーウエイトレシオを比較すると、大きな違いはない。より小柄で繊細なのはA110だ。運転する楽しさを、よりピュアに味わえる。

それでは、日常をともにする相棒としてはどうだろう。ポルシェ・ケイマンは、普段使いできる真のミドシップ・スポーツカーだ。これからの長期テストで、A110の資質をあぶり出してみたいと思う。

試乗レポートは何度もお伝えしているから、限界領域での操縦性や、サスペンションの巧妙さに詳しく迫ることはないかもしれない。もちろん多少は触れるだろう。だが、サーキットや峠道だけでなく、毎日の環境でも機能するのか、そこが焦点だ。

普段はどのような体験を与えるのか

郊外へ足を伸ばして、素晴らしいドライブを楽しめることを期待はしている。しかし、それ以上に現実は渋滞へ巻き込まれたり、退屈な高速道路を淡々と走るようなシーンが多いだろう。

素晴らしいドライバーズカーは、普段はどのような体験を与えてくれるのか。もし悪くない日々を過ごせるなら、1台しか所有できない場合でも、運転する喜びへ妥協する必要性は小さくなる。その逆なら、A110の評価にも影響が出るかもしれない。


アルピーヌA110と筆者、アンドリュー・フランケル

A110が発売された当初、英国にやってきた時には「ピュア」と呼ばれるベースグレードが存在した。2022年に見た目の変化が殆どないマイナーチェンジを受け、現在はA110とシンプルな呼び名に改められている。

選ばれたオプションは比較的少なく、車両価格の4%ほど。もっとも、設定するのが筆者だったら、パーキングセンサー以外のアイテムは選ばなかっただろう。逆に、ボディカラーはアルピーヌ・ブルーではなく、落ち着いたグレーにしたかもしれない。

車重1100kg程度のクルマに、大げさなブレーキは必要ない。走行時のデータを確認できる、テレマティクス・パックも強い必要性は感じない。ステアリングホイールを切った角度まで教えてくれるが、そこまでクルマ・オタクというわけではない。

車内には小物入れが少ないため、シートの側面に収まるスリムなボックスが選べたはずだが、現在はオプションから落とされたようだ。自分でなんとかしよう。

気に入っているのはシンプルなところ

マイナーチェンジ前にA110へ乗っていた同僚は、ゲームチェンジャーなモデルだと評価していた。そのクルマは、スピーカーとシートがアップグレードされていた。標準の前後へスライドするだけのバケットシートは、長距離では居心地が悪くなるかもしれない。

タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4。これは有能だが、1つ上のパイロットスポーツ4 Sが、現在では最高の高性能タイヤだと筆者は考えている。フォード・フォーカスSTやフェラーリ296 GTBなどで確かめている。


アルピーヌA110(英国仕様)

A110に標準指定されているタイヤではないが、理屈上では完璧なマッチングになると想像できる。メーカーの許しが出て、機会があれば履き替えてみたい。

乗り始めたばかりだから、まだA110をしっかり理解しようという段階にある。とはいえ、それほど時間は掛からないだろう。先日まで長期テストに乗っていた、メルセデス・ベンツSクラスのハイテクぶりと比べれば、搭載されている技術は遥かに少ない。

それで問題ない。もしA110で何が1番気に入っているのかと今聞かれたら、筆者はとてもシンプルなところ、と答えると思う。

クルマには、軸とするべき目的が存在する。ケータハムにはケータハムの、ロールス・ロイスにはロールス・ロイスの目的が。数か月を通じて、その目指すところを普段使いでじっくり感じ取ってみたいと思う。新しい発見が楽しみだ。

セカンドオピニオン

実は、わたしは似たような仕様のA110を個人的に所有している。年式は1年古いが。快適な乗り心地や乗降性の良さなど、一緒の暮らしやすに気付いてもらえるのではないかと考えている。

気になるのは、クルマの耐久性。アンドリュー・フランケルは日常的にかなりの距離を走るから、A110がどのように応えるのか興味が湧く。今のところ、印象は悪くはないようだ。 スティーブ・クロップリー


アルピーヌA110(英国仕様)

テストデータ

価格

モデル名:アルピーヌA110(英国仕様)
新車価格:4万9990ポンド(約804万円)
テスト車の価格:5万1984ポンド(約836万円)

オプション装備

18インチ・ダークグレー・ダイヤモンドターン・セラック・ホイール:936ポンド(約15万1000円)
パーキングセンサー:660ポンド(約10万6000円)
アルミニウム・ペダル:120ポンド(約1万9000円)
アルピーヌ・フロアマット:110ポンド(約1万8000円)
ブルー・ステッチ:90ポンド(約1万5000円)
ステアリングホイール・ブルーロゴ:78ポンド(約1万3000円)

テストの記録

燃費:13.7m/L
故障:なし
出費:なし