「正しい道を見つけられない」 中国、日韓との格差拡大に母国記者が嘆き「外野の声に左右されすぎ」
中国のマー・デーシン記者は日本の成功がそのままアジアの成功ではないと見解
カタール・ワールドカップ(W杯)でアジア勢の日本、韓国ともに決勝トーナメント進出を果たしたが、長くアジアサッカーを取材する中国の著名な馬徳興(マー・デーシン)記者は、「日韓の進歩と中国は無関係だ」と冷静な目で見ている。
中国紙「タイタン・スポーツ」のコラムでマー・デーシン記者は、「アジア勢はグループリーグで7勝、3チームが決勝トーナメントに進出し、ドイツ、スペイン、アルゼンチンのような強国にも勝った。とはいえ、あくまでアジアトップレベルのチームの進歩であり、それは中国の進歩とは限らない」と言及。「成績からしてアジアサッカーの進歩は間違いない。ただ、これは政治的な需要に帰する。AFC(アジアサッカー連盟)が市場やビジネスを拡大するために、ストーリーが必要だった」とし、カタール開催による地の利や、カタール開催に至った政治的な側面を指摘した。
また、日本については「日本にとってベスト8は依然として高い壁として立ちはだかる。日本サッカーはアジアの最高水準だが、アジア全体を代表する訳ではない」と、日本の成功がすなわちアジアの成功ではないと触れた。
アジアの比較対象としてはアフリカだが、マー・デーシン記者は「前評判が高くなかったモロッコがベスト4に進出した。カメルーンが1990年にベスト8進出後、アフリカ勢がその記録を更新するまで32年かかった。この間アフリカサッカーは多くの蓄積があり、世界中にアフリカサッカーや、アフリカ人選手が浸透した」と、長い時間を要するとの考えを述べる。
「アジア勢は躍進したとはいえ、最下位もアジアのチームだということを忘れてはならない!(注:開催国カタールは3戦全敗かつ得失点差も最下位)」
アジアは日本、韓国、豪州、イラン、サウジの5強体制
マー・デーシン記者は「アジアは5強の争いだ」と、日本、韓国、オーストラリア、イラン、サウジアラビアの5強体制と強調。たしかに2006年のドイツ大会以降、5強以外でアジア勢から本大会出場したのは2010年の北朝鮮と、今大会開催国カタールしかない。
事実、カタールW杯アジア最終予選で、イラン(勝ち点25)と韓国(同23)のグループで、3位のUAEは約半分の勝ち点12にとどまった。もう1グループもサウジアラビア(同23)と日本(同22)が抜け出し、3位オーストラリアも早々3位の座を確定した。マー・デーシン記者も「アジア勢の中でもトップレベルと、その下の格差が広がっているのが現状だ」と見解を述べる。
「4年後、北米3か国共同開催のW杯で、アジア勢は8.5枠を得る。前述5強は確定、加えてカタールも1席を得るだろう。そのほかの2流、3流の国々で残り2.5枠を争うのなら、中国も決して希望がない訳ではない」
では、中国サッカーの問題は何か。マー・デーシン記者の考えは「外野の声に左右されすぎて、正しい道を見つけられない」。たしかに多くのメディアやファンにとって、中国代表は嘲笑の対象であり、けなされることはあれ褒められることは少ない。「問題は、決定権ある立場の人間も外野の声に左右されてしまう」と、まさに朝令暮改の中国サッカー協会や関係者を暗に批判する。
「プロサッカーは精密で、科学的で、システム化されるべきもの。悲しいのはみんな、『14億人の人口を有しながらなぜ11人のチームを選び出せないのか』という単純な思考にとどまっている。中国社会が短期的な成績のみを見るため、当面の希望を見出せない」
サッカー界に限らず、中国社会全体には蔓延する功利を重視する傾向がある。「急いてはことを仕損じる」「千里の道も一歩から」――。中国サッカー関係者が噛み締めなければいけない言葉かもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)
