「大切にしている車の上に野良猫が乗っていた!」猫は、高い所や暖かい所を好むため、車のボンネットは絶好の休憩場所となります。しかし、野良猫が車に傷を付けてしまったら、その責任をどこに問えば良いのでしょうか。

本稿では、国内大手自動車保険会社の代理店責任者である筆者が、責任の所在や自動車保険の使用可否についてお伝えします。

ポイントは飼い猫ではなく野良猫であること

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結論からいうと、野良猫がつけた傷を第三者に請求することはできません。飼っている人がわかるのであれば、飼い主に請求することは可能です。

しかし、写真や動画など物的証拠がない限り、飼い主に請求するのはご近所トラブルの原因にも繋がります。猫がつけたひっかき傷による車の損傷は、飼い主がわかっていても請求をすることが難しい事例です。

様々なケースが考えられますが、動物による損傷が起きた場合、修理にかかる費用は自己負担となるでしょう。

車両保険が適用される範囲を確認してみよう

大切な車に傷が付けば修理したくなりますね。しかし、その修理費用は決して安くありません。そこで、確認したいのは、自身の自動車保険契約に車両保険が入っているかということです。

車両保険には、一般条件とエコノミー型の2種類があります。自損事故で車が損傷しても補償できる一般条件に対し、相手がわかる車と車の衝突や、物の飛来・物の落下・火災・爆発・盗難・台風などによって車に損害が生じた場合の補償ができるのがエコノミー型です。

では、野良猫等の動物がつけた傷がどこに該当するのでしょうか。

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一般条件に加入していれば、問題なく補償できます。しかし、エコノミー型は全て事故による損傷には対応していません。エコノミー型でも【いたずら・落書き・窓ガラス破損】は補償範囲内ですが、野良猫のつけた傷がこれに該当するか否かは保険会社により対応が異なります。

実際にどのような判断が行われるのかは、事前に加入保険会社へ確認しておきましょう。

近年では、大手の自動車保険会社にて、エコノミー型の補償範囲が車対車Aに加えて「車動物A」という新しい規格が新設されています。こちらの保険であれば、エコノミー型の車両保険でも動物が関連した事故による車の損傷への補償が可能です。

自分に非がなくても等級ダウンとなるので注意

以前、車両保険を使う事故のうち、自分に非がない事故では、等級据え置き事故として等級ダウンはありませんでした。しかし、2013年に保険制度改定で、等級据え置き事故が廃止されたのです。

この改訂により、飛び石やいたずらで保険を使って車を直した場合でも等級が下がってしまいます。これらは自分で防ぎようがない事故ですが、保険の取り扱いとしては、1等級ダウン事故となるのです。

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同様に、野良猫がつけた傷も自分に非がなくても等級ダウンとなり、保険料が上がります。

傷の具合ではコンパウンドで磨けば落ちる場合もあり、保険を使うまでもない可能性があるので、まずは専門業者に傷の程度を確認してもらい、保険を使用して直す必要があるのかを確認しておきましょう。

繰り返しますが、野良猫のつけた傷を第三者に責任を追求することはできません。飼い猫や飼い主のいる動物でも、その請求は難しいのが実情です。自己責任となってしまう可能性が非常に高いため、日常的にクルマの周囲へ、猫除け対策などを講じておくといいでしょう。

保険を使用したいと思っても、使えないケースもあるため、まずは、加入している保険会社へ確認をおすすめします。

保険会社によって見解の違いが生じる事案ですので、保険が適用できるかの判断はプロに相談しながら行うのがよいでしょう。