叩かれて気持ちいい馬も?競走馬と鞭の意外な関係
CBCの江田亮アナウンサーがスポーツの一口知識を紹介する『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP•O•N』(CBCラジオ)の「江田亮のスポーツの小枝」。5月17日の放送でテーマとなったのは「競馬の鞭」。叩かれた馬の痛みや意外な役割についても説明します。
鞭の長さと構造
乗馬で使用する鞭には長い鞭と短い鞭の2種類があるそうです。
長いものは「長鞭」といって100〜110センチ。短いものは「短鞭」といい50〜75センチあります。
鞭の素材と構造ですが、昔はクジラの髭を芯にして、そこにクジラの皮を巻いていたんだとか。
現在は捕鯨問題から素材がグラスファイバーや竹製など、ある程度しなって硬さがある素材に替わっています。
鞭の使用は10回まで
鞭の持ち手のところは、バドミントンのラケットのようにグリップがあり、馬に打ち付ける鞭の先には、馬が痛い思いをしないように衝撃緩和材をつけるよう義務付けられているそうです。
鞭にも痛い鞭、痛くない鞭など何種類もあり、値段もさまざま。
練習用でも1万円以上し、レースで使うものは5万円ほどだそうです。
なお日本の競馬界では、1レースで鞭を入れていいのは10回までと決められています。
これには動物愛護の観点があるようです。
ちなみに動物愛護の意識が高いイギリスでは7回、フランスでは8回までです。
実は痛くない?
江田「そもそも馬は痛いのかどうか?もちろん、馬を打つ鞭で人間を叩いたらめちゃめちゃ痛いと思うんですけど」
馬は皮膚の厚みが人とは比べ物にならないくらいあり、体重は500キロほど。人間が精一杯叩いても、馬からすると、撫でられている感じしかないとも言われているそうです。
競馬を見る側からすると、最後の直線で鞭を入れるのは、アントニオ猪木さんのビンタによる闘魂注入のように、痛くて気合いを入れているように見えるのですが…。
江田「そういうものではないんです」
鞭はコミュニケーション
江田「馬と人間は言葉でコミュニケーション取れませんから、鞭は『ここが頑張りどころだぞ』っていう合図に過ぎないんです」
また馬は疲れてくると、左右のどちらかに寄って走ったり、斜めに走ったりするそうです。そうなると他の馬にぶつかり危ないので、鞭で合図を送って修正するということです。
馬が右に寄ったら鞭を右のお尻に打って合図を出します。
ということは、実は、騎手は手綱を握りながら、鞭を右手左手に持ち替えて、左右のお尻に打っているわけです。
江田「あのスピードだから落とすこともあるんですよ。そうなると、何もないですから手で叩くしかないですよね。直線で、手でお尻叩いてるジョッキーがたまにいますよ」
性格に合った鞭
鞭は合図なので、叩き方もいろいろ。
例えば「肩鞭」という言葉があって、お尻じゃなくて肩に鞭を入れることだそうです。
馬の性格にもいろいろあって、お尻を叩かれるのが嫌な馬もいるんだとか。そういう馬には、代わりに肩に入れるそうです。
また、見せるだけの「見せ鞭」もあります。
鞭を入れると逆にやる気がなくなる馬もいる。お尻だろうと肩だろうと、鞭で叩かれるのが嫌で、走らなくなってしまう馬もいるそうで、そういう馬には「見せ鞭」で合図。
さらに、急に鞭で打つとびっくりして走らなくなってしまう馬もいて、そういう馬には、これから打つぞっと見せてから打つんだそうです。
江田「すごいスピードで走っているので、鞭が風を切る音がするんです。この音が、合図になる馬もいるんです。だから風で音がよく鳴るように、羽を付けた鞭もあるんですって」
人に使うこともある?
江田「人間の性癖でもSM、サディズムとマゾヒズムがあるように、馬にもあると言われてるんですよ。実は馬でも叩かれるのが好きな馬がいるんです」
Mの馬は叩かれると気持ちよくなってスピードダウン、ついには走らなくなってしまう馬がいるんだそうです。
逆に言えば、こういう馬は打たない方が速く走れる馬となります。
しかし見ているお客さんからすると「スパートをかけるところで、あのジョッキー、鞭入れてないじゃないか。やる気あるのか?」となります。馬券を買った馬ならなおさらです。
江田「そう思われないために、騎手は鞭を入れるふりをする時もあるそうです。打ってるように見せて寸止め。馬に見せる鞭もあれば、人に見せる鞭もあるんですね」
馬の性格を見抜いて、鞭一本で見事勝っていくのが名ジョッキーなのです。
(尾関)
多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2022年05月17日07時40分〜抜粋(Radikoタイムフリー)
