闘莉王氏が評する大久保嘉人の魅力とは【写真:Getty Images】

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【DAZN年間表彰】サッカー界で最も熱い男・闘莉王氏が選んだ「漢を感じる熱いプレー」

 川崎フロンターレが圧倒的な強さで連覇を果たした2021シーズンのJ1リーグ。そんなシーズンを締めくくる企画として、「THE ANSWER」ではスポーツチャンネル「DAZN」とともに毎月行ってきた月間表彰で「最熱モーメント」のセレクターを務めてきた元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏に、2021シーズンを総括してもらった。

 年間表彰として闘莉王氏は、今季限りで現役引退となる元日本代表のセレッソFW大久保嘉人の今季序盤のゴールラッシュを選出。日の丸の舞台でともに戦った盟友の凄みを改めて振り返っている。(聞き手=THE ANSWER編集部)


 ◇ ◇ ◇

――今シーズンを振り返ってどんな感想をお持ちですか?

「フロンターレの強さが際立つだけのシーズンになった。これは正直、開幕前から分かっていたことだと思う。何節の時点で優勝するかを当てるか、そういうシーズン。三笘薫選手、田中碧選手という主力がシーズン途中に海外に移籍しても、他を寄せ付けない強さがある。いい若手も出てくるサイクルも素晴らしいので、この強さは当分続くと思う」

――今シーズンも毎月、Jリーグで最も熱くなった瞬間を選んできました。2と3月は大久保嘉人選手(C大阪)。4月は古橋亨梧(当時神戸)、5月は田中碧選手(当時川崎)、6月はイニエスタ選手(神戸)、7月は宇佐美貴史選手(G大阪)、8月は遠藤保仁選手(磐田)、9月は武藤嘉紀選手(神戸)、10月は東口順昭選手(G大阪)という選出でした。年間最熱アワードはどなたになりますか。

「本来はぶっちぎりな強さを見せたフロンターレの選手を選ぶべきでしょう。でも、強さではなく、熱くなったプレーやシーンというのが選考対象なので、別のクラブからの選出になります。大久保選手です!」

――選出の理由を教えてください。

「開幕序盤のインパクトが凄かった。ジュビロで結果がなかなか出ないところで、そもそも年齢的にJ1で活躍できるのかという疑いの声も移籍当初はあったと思う。期待と不安の視線のなか、実際にはゴールラッシュだった。特にフロンターレ戦で決めた2ゴールのうち、ミドルシュートは素晴らしかった。あれだけの熱、あれだけの盛り上がりをリーグ全体にもたらしてくれた。個人的には大いに期待していたけれど、序盤はあまりに凄過ぎて驚きしかなかった。あれができるのは、大久保嘉人しかいない」

――開幕後はリーグ戦5試合で5得点。大久保選手のプレーをどう見ていたのですか?

「去年までも、動き自体は悪くなかったと思う。彼はチーム状態に影響を受けやすいタイプ。波に乗れない時期にはいいボールが入ってこない。ゴールも入らない。チームの成績の悪さが重なると、メンバーから外れることもある。不動のストライカーと期待されても、ベンチを温めることもある。東京ヴェルディ、ジュビロと嘉人らしさがなかなか見えないなかで、居心地のいいセレッソに戻ってきた。チーム状況さえ良ければ、あれだけ得点を重ねることができる。J1通算191得点。歴代1位ですよ。今季序盤に見せた得点能力こそが、彼の真骨頂だと思う」

「日本にはなかなかいない」 闘莉王氏が評する大久保嘉人の魅力

――闘莉王さんと大久保選手の関係性は、ともにアテネ五輪代表で同世代です。どんな人なのでしょうか?

「彼は人間として素晴らしい。優しい心、温かい心の持ち主です。テレビの画面越しに試合中に見る彼はどこかイライラしていて、荒っぽいイメージがあるかもしれない。でも、それは勝負師、負けず嫌いな一面が表に出ているだけ。自分も同じ面があると思います。画面に映る試合中の大久保嘉人を見て、『この人いったい何だろう?』と思うのは間違いだと思う」

――得点能力以外で、闘莉王さんの見る大久保選手の凄みとは?

「本能的。読めない動きをするのが嘉人だね。対戦相手として守る側としては、彼が何を考えているのか分からない。だから大久保嘉人と聞くと、“本能”の二文字が浮かんできます。逆に味方としてはいつ退場するのか、と心配する面もありましたが、それもいい思い出です(苦笑)」

――2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会では日本代表のベスト16進出にともに貢献されましたね。

「あれだけ得点力のある選手、ゴールが欲しいという気持ちを前面に出せる選手は日本になかなかいない。それなのに、南アフリカではあれだけの守備ができる。前線での限界を超えるようなチェイシングはJリーグであまり見ることがなかったので、あれだけの献身性は驚きだった。代表のために一生懸命やってくれていた。日の丸を背負う使命の重さを感じさせてくれた」

――そんな盟友も今季限りでの引退を発表しました。

「もう少しセレッソのチーム状況が良ければ、あと1年ぐらいやれたのではないか、と考えてしまう。それでも、歴代トップのゴール数であることに違いはない。トップになれる人は1人しかいないので、本当にすごい選手だと思う。嘉人にしかできないことはたくさんあると思うので、今後も日本サッカー界に貢献していってほしいと思う。改めてお疲れ様でした。今は『ありがとう』の言葉しか出てこないですね」

(THE ANSWER編集部)