6月の先行投資が、大きな価値を持っている。

 7月12日に行なわれたU―24ホンジュラス代表とのテストマッチに、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航のオーバーエイジ(OA)が先発した。吉田が右センターバック、酒井が右サイドバック、遠藤が右ボランチと、近いポジションでプレーする彼ら3人は、日本代表で培ってきたコンビネーションをそのまま持ち込んだ。そこまでは計算どおりだが、U―24世代との連携も滑らかだった。

 思い出されるのは、5年間のリオ五輪のチームである。

 手倉森誠監督のもとにオーバーエイジが加わったのは、ブラジルでの事前キャンプからだった。左サイドバック藤春廣輝、センターバック塩谷司、FW興梠慎三のOAは、クラブチームとU−23ブラジル代表との2試合を経て五輪本大会に臨んだ。

 3人とも短期間でチームに溶け込んだ。しかし、チーム力アップを促したとは言い難かった。とりわけ、DFのふたりは苦戦した。

 ナイジェリアとの初戦で5失点、コロンビアとの第2戦で2失点を喫した守備陣で、塩谷と藤春はU―24世代を助けることができなかった。塩谷はナイジェリア戦でPKを与え、藤春はコロンビア戦でオウンゴールを献上してしまった。

 塩谷は15年のアジアカップのメンバーだったが、試合には出場していない。藤春は自身初の国際大会だった。OAと言っても、インターナショナルな経験は乏しい。それだけに、成功体験はもちろん失敗体験を、もう少し積みたかった。

 ナイジェリア戦で塩谷が献上したPKは、右サイドバックの室屋成と譲り合いをしたことが原因だったのだ。所属するサンフレッチェ広島で3バックを担っていた塩谷にすれば、4バックに順応する猶予が欲しかったとも言える。

 ひるがえって、今回のOAだ。

 3人ともに五輪を経験している。吉田と酒井はW杯のピッチにも立っており、遠藤もロシアW杯でメンバー入りしている。そして、3人は日本代表に欠かせないレギュラーとして、カタールW杯アジア予選にも出場している。

 経験値が高いうえに、6月からチームに合流した。すでに2試合を経験している。U―24ホンジュラス戦では個人としての確かな存在感を発揮しつつ、周囲の選手とのコンビネーションが構築されていた。早めの合流が奏功したのである。もちろん、彼らの適応能力も評価されるべきだろう。

 最終ライン中央で吉田とコンビを組む冨安健洋は、日本代表でもレギュラーポジションをつかんでいる。この日は2列目でプレーした堂安律と久保建英も、森保一監督とともに日本代表に定着している。それもまた、吉田らがスムーズにフィットした一因にあげられるだろう。U―24世代の彼ら3人を含めて、OAが6人いるかのようだ。

 U―24ホンジュラス代表戦の試合内容については、想定内だったと言えるだろう。海外でプレーしている選手は、ほぼ1カ月ぶりの実戦である。ゲーム勘とゲーム体力を取り戻す段階であり、この試合に向けた調整もしていない。後半に活動量が落ちるのは、森保監督も織り込み済みだった。22日の初戦へ向けたプロセスは、順調と言っていい。