ある男性が35ドル(約3800円)で購入した中古の陶磁器が、なんと15世紀の中国で作られた非常に貴重なものであることが判明し、30万〜50万ドル(約3200万〜5400万円)もの値が付く可能性があると報じられています。

Yard sale find turns out to be artifact worth up to $500,000

https://apnews.com/article/yard-sale-find-porcelain-bowl-worth-500k-6afe3261a5b4b74e9c02a533e0403081

A man bought a $35 bowl at a yard sale. It turned out to be a rare 15th-century artifact worth $500,000. | Live Science

https://www.livescience.com/china-artifact-bowl-sold-yard-sale.html

2020年、アメリカに住む骨董(こっとう)品愛好家の男性が、コネチカット州で開かれていたガレージセールを訪れました。男性は販売されていた古い陶磁器を見た際に「これには特別な価値があるのではないか」と感じて、3800円で購入したとのこと。

男性は陶磁器の写真などを撮影し、オークション会社・サザビーズの専門家に対して評価を求めるメールを送信しました。サザビーズで中国の陶磁器や芸術品の専門家を務めるAngela McAteer氏とHang Yin氏は、毎週のように骨董品の評価を求めるメールを受け取るそうですが、今回のメールは2人にとって夢のようなものだったそうです。

McAteer氏は、「私たち2人はすぐに、本当に特別なものを見ていることに気付きました。絵画のスタイル、ボウルの形、そして青の色さえも、15世紀初頭の陶磁器の特徴です」とコメント。2人は男性に連絡して陶磁器に直接触れて鑑定を行い、陶磁器は15世紀のものであることを確認したとのこと。「明の初期に作られたものを識別する全ての特徴と証拠がありました」と、McAteer氏は述べています。

今回発見された陶磁器がどんなものなのかは、以下のムービーを見るとよくわかります。

$500,000 Bowl Scored at Yard Sale for $35 - YouTube

登場したのは、人の手によって描かれたらしい模様が入った陶磁器。



専門家の調査により、この陶磁器が15世紀の非常に貴重な品であることが判明。価格は30万〜50万ドルと見られており、ガレージセールで購入した価格の1万倍もの値が付く可能性があるそうです。



陶磁器の直径は16cmほどであり、普通のお茶わんのような形をしていますが、工業生産品にしては全体の形や模様の柄が均一ではないように見えます。



陶磁器の内外には、きれいな青色でハス・ボタン・キク・ザクロの花などが描かれています。





陶磁器が作られたのは1402〜1424年ごろ、明の第3代皇帝であった永楽帝の時代にさかのぼるそうです。



永楽帝の宮廷は、陶磁器の産地として有名な景徳鎮市に新たなスタイルの陶磁器を持ち込み、主に宮廷で用いるための特殊な陶磁器を生産させたとのこと。宮廷は窯で作られる陶磁器の設計や流通を管理し、陶磁器の複製品を作らないように命じたそうです。



記事作成時点では、永楽帝の時代に作られた特殊な陶磁器は非常に限られた数しか現存しておらず、台湾の国立故宮博物院に2個、イギリスの大英博物館とヴィクトリア&アルバート博物館に1個ずつ、イランの国立博物館に1個、香港のオークションハウスで売買されたものが1個と、計6個しか確認されていないとのこと。



現存するもので7個目となる貴重な陶磁器は、2021年3月17日にニューヨークで開催されるサザビーズの中国美術オークションで出品される予定となっています。