【初代の成功を再び掴めるか】日産ジューク(1) 日本未導入の2代目 長期テスト
初回 初代ジュークの成功を再び掴めるかtext:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
日産ジュークほど、世論を大きく二分するクルマも少ない。英国でも、大好きだという人もいれば、好まないという人もいる。
確かに万人受けするクルマではないとしても、日産は充分な成功を得た。2010年に斬新な初代ジュークを発表して以来、100万台以上を販売してきたのだから。
日産ジューク(英国仕様)クロスオーバー人気の中で、英国の同クラスには現在21車種のライバルが存在する。日産は初代ジュークが遂げた成功を、再びトレースすることに期待を寄せている。事実、既に10万台という台数を販売しており、出だしは順調そうだ。
2代目ジュークの開発が始まった頃、デザイナーは初代ジュークからどれほどデザインを変化させるべきか、悩んだという。日産ヨーロッパのデザインを率いるマット・ウィーバーは、2019年末のインタビューでこう答えていた。
「(2代目ジュークの)開発初期段階のデザイン案の一部には、ジュークとは分からないようなアイデアも含まれていました。新しいジュークを、ジュークらしい(斬新な)デザインにするべきか悩んでいたんです」
「一方で、初期ジュークの改善内容をまとめた資料も手元にありました。進むべき方向は、そこにあると感じたのです」
果たして登場した2代目ジュークは、間違いなくジュークらしい。ヘッドライトの造形、Vモーション・グリル、クーペのような低いルーフラインなど、主要なデザイン要素が受け継がれている。
ジュークらしいデザインに上質さをプラス
初代の場合、見た目だけでなく、インテリアの品質や後部座席空間の広さも、悩みのタネだった。「デザイナーとして、スーパー・ダイナミックなクルマにしたいと考えました。さらに荷室やリアシートなど、利便性も高めたいとも考えていました」
「スポーティで軽快なルックスと、利便性とをバランスさせることを目指しました。インテリアの水準は向上したと思います。初代は遊び心に溢れていました。2代目では、高い素材の質感を与え、洗練性と熟成を加えています」 とウィーバーは話す。
日産ジューク(英国仕様)新しい日産ジュークは、ルノー・日産・三菱アライアンスによるCMF-Bプラットフォームを用いている。ルノー・キャプチャーやクリオ(ルーテシア)も採用するものだ。
その結果、全長は初代から85mm伸びて4210mm、全幅は170mm広がり1800mmとなっている。一方の全高は30mm低くなり1595mm。ホイールベースは105mm伸ばされている。
日産によれば、リアシートの膝周り空間は58mmも広げられ、荷室空間も初代の354Lから422Lへと増えたという。こちらも日本未導入ながら、現行の日産キャシュカイより8L小さいだけだ。
シートは、新しいモノフォームと呼ばれるもので、仕立てはアルカンターラかレザーを選べる。プラスティック製パーツの質感も上がった。フォルクスワーゲン・グループの高品質な部品が用いられるスコダ・コディアックなどがライバルとなるから、プラスティックの上質化は必要な要素だ。
エンジンは116psの1.0L 3気筒ターボ一択
長期テストで導入したジュークは、116psの1.0L 3気筒ターボガソリン。こちらも欧州版となる、最新の日産マイクラに搭載されるエンジンと同じもので、6速MTと組み合わされる。エンジンは、ほかに選択肢がない。
追ってプラグイン・ハイブリッドなどの展開が期待されているが、純EV版の登場はないだろう。オプションで7速ATが選べるが、英国では60%のユーザーはMTを選んでいるという。
日産ジューク(英国仕様)トリムグレードは、売上の30%以上を占める、真ん中のテクナと呼ばれるもの。エントリーグレードから5100ポンド(68万円)の上昇となるものの、装備が大幅に充実し、他に必要なものが思いつかないほど。
日産ではおなじみの360度カメラはもちろん、ボーズ製の8スピーカー、ナビ、プライバシーガラスに、縁石に注意が必要な19インチ・アルミホイールが付く。衝突被害軽減ブレーキに車線維持支援、ブラインドスポット警告と交通標識認識など、多くの運転支援システムも採用する。
長期テスト車で選んだ唯一のオプションは、2トーンパッケージ。赤いメタリック塗装に、黒い屋根が組み合わされる。
この2トーンボディも、ユーザーの30%が選ぶ人気オプション。ジュークの見た目を最も美しく見せてくれると思う。
最新日産ジュークとの英国での暮らし
AUTOCARを定期的にお読みいただいているなら、新しいジュークのロードテストの結果もご存知だろう。星の数としては、同じクロスオーバーのフォード・プーマやフォルクスワーゲン・Tクロスなどには及ばなかった。
しかし「十分な熟成を得ている」 ことと、「初代で目についた弱点を改め、実用性と良好なマナーを獲得した」 ことは確かめている。長期テストでは、日常生活の中でのジュークを、詳しく検証してみたいと思う。
日産ジューク(英国仕様)誰もがリアシートで快適に過ごせるのか。荷室空間は必要充分か。インフォテインメント・システムの完成度は。
第一印象として、高速道路や都市部での移動を数回体験したが、日産ジュークは快適なクルマだった。今後数ヶ月をかけて、どんな場所へもジュークとともに出かけ、一緒の暮らしをレポートしてみたい。
セカンドオピニオン
2代目ジュークが発売されてからも、新しいクロスオーバーの登場が続いた。プジョー2008、ルノー・キャプチャー、フォード・プーマなど。もし自分でコンパクト・クロスオーバーを買うのなら、フォード・プーマを選ぶだろう。
しかし、新しいジュークの見た目は気に入っている。実用性が高められたことも評価している。ルノー・キャプチャーに搭載される4気筒エンジンをジュークで選べなくても、大きなマイナスにはならないかもしれない。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)
テストデータテスト車について
モデル名:日産ジューク・テクナ1.0 DIG-T 117(英国仕様)
新車価格:2万2495ポンド(303万円)
テスト車の価格:2万3640ポンド(319万円)
オプション装備
2トーンペイント(フジ・サンセット・レッド+パールブラック):1145ポンド(15万4000円)
テストの記録
燃費:13.4km/L
故障:なし
出費:なし
