遂にスタートした5Gは万人向けじゃない? 一般のユーザーは「待ち」がベターな理由

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遂にスマートフォンの次世代通信方式「5G」がスタートしました。
5Gの下り最大の通信速度は、一般的な光ファイバー1Gbpsを超える3Gbps以上をうたい、ただ高速なだけでなく離れた場所とのコミュニケーションも円滑にできる低遅延も特徴です。

5Gを活用すれば、こんなことができる」
こうした夢いっぱいのデモンストレーションなどで期待は膨らむばかりです。

しかし始まったばかりの国内の5Gサービスにおいて、期待通りの使い方ができるようになるのはもう少し先の話しのようです。

現時点で積極的に「5Gをオススメできない理由」が、いくつかあります。


○利用できるエリアが狭い
新しい通信方式のサービスが開始する際、必ず悩みとなるのがエリアです。
新通信サービスを利用するには対応したアンテナを立てていく必要があるため、スタート直後のエリアは狭く、順次拡大していくことになります。
さらに、これまでの3Gや4Gと比べても今回の5Gサービスは、開始当初のエリアがものすごく狭いのです。




例えばauのエリアマップで5Gのエリアを確認してみると、その狭さに驚かされます。

東京都区内、全域を覆うオレンジ色は従来の4Gが提供されているエリアです。
期待の5Gのエリアは僅かで、ターミナル駅周辺にぽつんとピンク色の点になっている場所のみです。

これは他社もほぼ同様で、都市部の主要なターミナル駅近辺やオフィスビル内、キャリアショップといった「点」のエリアしか存在しないため、5Gの超高速の通信を体験できる場所は、現時点ではかなり限られています。

従来の4Gでも通信速度は十分に高速ですが、スマートフォンの高性能化と共に高画質な写真や動画を気軽に撮影できるようになり、また映画のストリーミング再生が以前よりも楽しみやすくなるなど「より高速な通信のほうが便利」な場面は増えています。

5Gには「もっと高速ならいいのに」と期待している人も多いと思います。
しかし、5Gの超高速な通信を実現できているエリアは、まだ「限定的」で、どこでも5Gの超高速通信が利用できるようになるのは「だいぶ先」のようです。


5G対応機種はまだまだ少ない



もう1つの課題が、
5Gを利用するにはスマートフォンを買い換えなければならないことです。
これは従来もより高速な通信を利用したければ、より新しい機種に買い換えが必須だったため「5Gだけの弱点」ではないのですが、現時点で5Gを利用できる機種の数は限られています。

携帯電話各社が発表した5G対応スマートフォン
 NTTドコモ  6機種
 au      7機種
 ソフトバンク 4機種
これだけです。
さらに各社で発売済の機種は2機種ずつ。

それぞれの会社から発売された機種で、同じ機種を「1機種」としてカウントした場合、まだ3機種しか5Gに対応したスマートフォンは発売されていないことになります。

発表済の機種は夏までに順次発売される予定ですが、それでもまだまだ対応機種のラインナップは少なく、さらにそのほとんどが「各メーカーのフラグシップモデル」となるため、本体価格は10万円前後の高級な機種ばかりなのです。

ここ最近のスマートフォンの売れ筋は3〜4万円の安価な機種がほとんどです。
これらの機種でもカメラは十分に高画質で、数百Mbpsの高速な通信も利用できます。

そうなると、10万円も出して、
「運良く繋がれば光ファイバーよりも速いかもしれない」
という理由だけで5Gモデルを購入するのは、実用的といいきれません。
スマートフォンのアーリーアダプタ層を除けば、積極的に買い換える理由が見つからないのです。

筆者自身は今まで、
・次世代通信方式のサービスが始まった
・新しく国内の携帯電話事業に参入する会社のサービスが開始された
こうした際には「必ず発売日に購入し試す」アーリーアダプタです。

しかし今回、5Gに対応したスマートフォンは、まだ買っていません。
理由としては最初に挙げたエリアの狭さがあります。
筆者の自宅は5Gの提供エリアに入っていません。
5Gで繋がる場所も自宅から徒歩や自転車で行けるような距離にもありません。

最新機種ですので、性能面で「買い換えるメリット」は少なからずあるのですが、やはり目玉の5Gが利用できない状況で、10万円前後の支出はなかなかに厳しいものがあります。
また、新型コロナウイルスの影響で外出自粛が要請されているため、5G体験ができないこともあり、現時点での購入・契約は見送っています。

とはいえ、携帯電話各社は今後1〜2年かけ、主要都市部など特に混雑する場所から徐々に5Gの利用できるエリアを全国へ拡大していく予定です。また海外に目を向けると安価で5Gに対応するスマートフォンを発売するメーカーも増えてきています。

エリア、機種、それぞれが誰にでも手の届く状態になるまでは様子見でもいいかもしれません。


執筆 迎 悟