怒涛のように漢字が並ぶ、契約駐車場の看板。中国語で書かれているのかと思いきや、よく見るとちょっと変...?


圧がすごい(画像はらぶあーす@lovearthさん提供、一部加工)

「契約駐車場」と大きく書かれた文字の上には、小さくこう書かれている。

「道路置車通行妨害困私考同but此所私所有パーキング
無断駐車私困契約者困 無断駐車禁止 謝謝」

迫力ある漢字の羅列の中に、突然のbut...。なんだか違和感のあるその文章、実は中国語でもなんでもない。伝えたいことを漢字で並べてみただけの文章だ。「無断駐車私困契約者困」を見るに、よほど困っているのだろうか。

ツイッターユーザーのらぶあーす(@lovearth)さんには「あまりに堂々とした偽中国語っぷりで痺れる...」とこの看板の写真を投稿。ほかのユーザーからは、

「butとパーキングが一番草www」
「最後の『謝謝』で笑いのダムが決壊したwwwwそれしか知らなかったんだろうな」
「誰かグーグル翻訳教えてあげて」

といった声が寄せられ、話題となっている。

看板が設置されているのは、長野県高井郡山ノ内町の湯田中温泉街。昔ながらの落ち着いた温泉街に、なぜこんなにも弾けた看板が設置されているのだろうか。

Jタウンネットは2019年9月30日、駐車場の所有者と看板の制作者に話を聞いた。

「インパクトがあるんじゃないかと」

駐車場の所有者によれば、この看板は1998年に設置された。ちょうど長野オリンピックが開催された年で、海外の人もたくさん来るということから看板の設置を依頼したという。

依頼したのは古くから付き合いのあった設計士の丸山均(69)さん。中国語風の看板を作った理由を聞くと、

「うちの人(所有者)も寛大な人だけん、『無断駐車1万円』とか書くよりも、遊び心で描けば、人もあんまり悪いことしないかなーと思ってやった記憶があるんだけんな」

とのことだ。なぜ中国語風にしたかについては、

「中国はあの頃から世界進出してきて、中国語を習えば世の中のためになるかなーとかいう時代だった気がするんで。英語で書くよりも、中国語で意味わかるようなわかんないようなことを書けば、それはそれでインパクトがあるんじゃないかと」

と話している。

20年以上も前に作成したため内容はあまり覚えていないというが、丸山さんは楽しそうに話してくれた。ちなみに制作する際、オリンピックは特に意識していなかったようだ。

これまでのこの看板に対する反響は「なかった」という丸山さんだが、こういったユーモアのあるものを作るのは好きだとのこと。20年の時を経てツイッターで話題になったことについては、

「世の中の人が楽しく思ってくれるんだったらいいことじゃないですか」

と話している。

当時来日していた外国人には伝わらなかったかもしれないが、看板は2019年になって多くのツイッターユーザーの目に触れ、心を和ませてくれた。みなさんも湯田中温泉街に行った際はぜひ探してみてほしい。