報道陣に囲まれメディア対応をする長谷部。ミーティングの変化でチームの方向性は固まってきているようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 選手とのコミュニケーション不足をひとつの理由に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督に代わり、西野朗現監督になってからはピッチに立つプレーヤーの声が積極的に取り入れられている。
 
 だが、監督交代後の結果はガーナ戦、スイス戦と、0-2で連敗。結果がついてこないだけでなく、プレッシャーのばらつきも目についた。実際、キャプテンの長谷部誠は「スイス戦に向けて前からのプレッシャーのかけ方とかを結構やった。でも、前の選手はすべて行かなければいけないのかなという感じがあった」と振り返る。
 
 コミュニケーションは改善されたかもしれないが、それが結果にも内容にも表われていないのが現状だ。「みんなサッカー観が違うから、ミーティングでもいろんな話し合いが出る。今まではモヤっとやってみようという感覚だった」という主将の言葉からは、選手たちの意見がまとまっていなかったことが窺える。
 
 しかし、本大会前のテストマッチがパラグアイ戦の1試合のみとなったタイミングで、そのミーティングに変化が起きたと長谷部が語った。
 
「監督は選手のやり方や考え方を聞いて採り入れてくれるけど、今はもうそこから『じゃあ、こうやってやろう』というのを出すようになってきた。最終的に決めるのは監督だし、それはみんな分かっていること。やっとその段階に入ってきた。初戦(19日)まで10日切ったなかで、まずは明日の試合でそこを出していきたい」
 
 選手の意見を採り入れ最適解を打ち出す“西野流ミーティング”が、完成形に近づいているのだろう。チームの方向性がまとまり、試合のなかでのシーン別にどういうプレーをするべきか、今では「監督がパッと言ってくれる」(長谷部)ようだ。
 
 そのため、スイス戦で見えたプレッシャーの課題も改善策が明確になったとキャプテンは言葉を続ける。
 
「監督がゲームコントロールという意味では全部が全部(プレッシャーに)行けるわけではないから、それはブロックを作ってリスクを背負わずにやる時間も作らないといけないと言っていた。試合の流れを読んでやっていかないといけないという話があって、もうクリアになりました」
 
 選手の声を集約し、チームの戦い方は導き出された。パラグアイ戦では明確になった西野ジャパンのカラーが見えそうだ。

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