スマホの4年縛りが問題化 携帯電話の「縛り」はいつからはじまった?

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最近、スマホの契約で「4年縛り」が登場し始めており、公正取引委員会をはじめ「問題」とする認識が広まってきている。

現在のスマホの契約は、いわゆる「2年縛り」が主流だ。
それをさらに延長した「4年縛り」は、ユーザーにとって何がメリットで、何がデメリットとなるのだろうか。

「4年縛り」とは、
・アップグレードプログラムEX(au)
・半額サポート for iPhone(ソフトバンク)
・半額サポート for Android(ソフトバンク)
というauとソフトバンクモバイルのサービス内容が該当する。

4年縛りは、スマホの本体代金を48回(4年)の分割払いにするサービス。
・月々の分割金を安くする
・25カ月目以降に機種変更すると、本体代金の残債が免除される
というもの。
もちろん機種変更をすれば、新しい本体の代金を支払うことになる。
しかし今まで使っていた旧機種と、機種変更後の新機種の分割を重複して支払うことがなくなる点はメリットと言えるだろう。

とはいえ上記はすべて本体の支払い方の話だ。
つまり、
「本体代金を4年の分割で払うことを条件に通常よりお得になります」
というサービスだ。

当然だが、解約する場合は、本体の残債を支払うことになる。
機種変更せず、4年間使い続けて、はじめて本体の分割支払が終了するというワケだ。

一方、毎月の利用料金については、2年契約の料金プランや割引サービスとなる。
つまり、
本体の分割支払における「4年縛り」
 +
料金プラン・割引サービスにおける「2年縛り
という形となり、それぞれ別の契約になる。


■本体の分割払いにおける「2年縛り
本体代金における支払いの「2年縛り」は、今からおよそ11年以上前の2006年9月、当時ソフトバンクグループの傘下だった「vodafone(ボーダフォン)」が、割賦販売方式(分割販売)を導入したことに始まる。

その後、KDDI、NTTドコモも追随し、割賦販売方式を導入していった。
当時の割賦販売における分割回数は、客が選択できたのだが、最大24回が主流だったこともあり、現在の2年の分割契約、つまり「2年縛り」へ集約されるようになった。

■毎月の利用料金における「2年縛り
利用料金における「2年縛り」は、本体の割賦販売方式が導入される6年ほど前にさかのぼる。
今から17年以上前の2000年12月、関西エリアでサービスを展開していた「ツーカーホン関西」が新しい料金プランとして提供を開始し、注目を集めた。
それが「ツーカーV3(ブイスリー)」という料金プランである。
ツーカーV3プランでは、
・基本使用料1,700円
・ファミリー割引適用で1,440円
と、各社における低価格帯の料金プランであった3000円台を大幅に下回る料金だった。
また通話料金は、時間帯や相手先によって変動するが、最大でも30秒で20円(1分40円)と、現在の通話料金とあまり変わらない激安なプランだった。


当時のカタログ ツーカーV3は衝撃的な低価格プランだった

この「ツーカーV3」は、低価格だけでなく、業界初となる「2年契約」を条件にしていたのも大きな特徴だった。

24カ月(2年)継続して利用することを条件に利用料金を安く設定したのである。
これは長期で利用するユーザーを増やすという目的があった。
この2年契約は途中解除することもできるが、その場合は9,900円の「契約解除料金」が発生する。


赤いラインの部分に注目 24カ月以内の解除などの場合は9,900円の契約解除料が必要だった

このツーカーV3プランが登場する以前は、NTTドコモの「いちねん割引」に代表されるように、各社とも1年契約での割引サービスが主流だった。
このため登場した当時は、業界内や利用者から「長すぎる」などの批判的な意見も上がった。

しかし翌年には、ツーカーセルラー東京が「ツーカーコンボ」という低価格帯の料金プランを打ち出す。このプランは、当時はトレンドだった「無料通話」を含めたプランだったが、こちらも24カ月(2年)の継続利用を条件にしていたのだ。

こうしたツーカーの料金プランがきっかけとなり、他社も2年縛りの料金プランに追随することになる。

そして現在の「2年契約」がスタンダードなプランに定着するに至るのだ。


■割賦販売方式は、本当に必要なのか?
今回の問題とされている「4年縛り」は、
・分割払いを何回にするかはユーザーの自由
・無理のない支払金額にできるのは客にとっても健全
といったメリットがある。

しかし、そもそも移動体通信業界における割賦販売方式は、
本体の販売と利用料金を切り離し、長期利用を促すために分割回数を増やしたという経緯がある。

とすれば、4年縛りは、長期で利用するユーザーを囲い込み、ユーザーの自由な選択、変更、自由市場の活性化を阻害するという側面もあると言える。

今回の「4年縛り」が健全な戦略と言えるかどうかは、賛否が分かれそうだ。


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