「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「駆ける」、「駆使する」「先駆者」の「駆」です。昨年、十回目の記念大会を経て、また新たな歴史を刻もうとする東京マラソン。今年は二月二十六日、大都市東京をランナーが駈け抜けます。



「駆」という字は、馬と書いて「区別する」の「区」と書きます。

「区」の部分は、古い字体を見ると、隠すための囲いの中に、サイと呼ばれる器が三つ描かれています。

「サイ」は、神への祈り、祝詞を入れるための箱。

「区」という文字は、器を並べて祈る場所を意味しているといいます。

では、「馬」という文字とあわせて使われたこの箱の中には、どのような祈りがこめられていたのでしょうか。

人間と馬ははるか昔から、特別な関係を築いてきました。

交通手段となり、物を運び、農業を手伝ってきた馬。

そして、戦場で命を賭けて人とともに闘い、国の興亡に関わってきたのです。

まさに人馬一体ともいえる身近な存在であった一方で、神そのものを乗せて現れるとされていた神聖な馬。

邪悪な気や吉祥を感じとる特別な力があるとされ、古代中国においては、支配地の外へ出るとき、馬を本隊よりも先に走らせたといいます。

一行の安全を願う祝詞を身体にくくりつけ、安全な道を選び、行く先を祓い清めた馬たち……。

彼らは祈りを背負って、荒野を駆けたのです。

そこから「駆」という字は「走ること」「追い立てて使うこと」、さらに「駆除する・おいはらう」という意味をもつようになりました。

ではここで、もう一度「駆」という字を感じてみてください。

首都・東京を舞台に開催される「東京マラソン」。

過去最高の倍率をくぐりぬけて選ばれた三万五千五百名が、都心の目抜き通りや歴史ある名所を駆け抜けます。

国内最大規模の市民マラソンを、政治・経済の中心地で行うという一大イベント。

成功の影には、多くの都民による温かな支えがあります。

大会前日には東京の民俗芸能のひとつ、太神楽獅子舞が魔ものを祓い、コースを清める。

大勢のボランティアが安全を守り、沿道の人々は声援を送り続ける。

無名のランナー一人ひとりの無事を祈る気持ちが、殺伐とした東京の空気を追い払う、早春の一日。

実際のところ、道路規制が行われるため、空気がいつもより澄み渡るという、そんなおまけもついてくるようです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。

その想いを受けとって、感じてみたら……、

ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献

『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)

『東京マラソンの舞台裏』(川端康生/著 エイ出版社)

2月25日の放送では「覚」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>

番組名:「感じて、漢字の世界」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

パーソナリティ:山根基世

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/



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聴取期限 2017年2月26日 AM 4:59 まで

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